儚き者達
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恭矢は呆れた顔をした。
「また来てたの?君は仕事を終わらせたの?」
少将としての仕事を終わらせ帰宅した途端、良平が応接室にいた。
「安倍川家の娘と婚約したとは本当なのか?」
「うん。」
あっさり答える恭矢に良平は眉を寄せ睨み付ける。
「その娘はお前の家にとって有益なのか?佐々川との方が超絶有益ではないのか?」
「問題ないよ。安倍川家の先祖は天皇に支えていたからそれなりに軍人や元貴族とかの繋がりもあるよ。中には陰陽師を辞めて企業を起こした家もあるしね。」
遠回しに有益だと言う恭矢に良平はお前自身はどうなんだと聞いてきた。
「僕の問に答えず、聞いてばかりだね。」
「恭矢自身はどうなんだと超絶に聞いている!」
良平は思わず恭矢の胸ぐらを掴むが恭矢は無言で振り払った。
「僕かい?僕は津奈が好きだよ。可愛いからね。」
「なら杏子で良かろう!」
「津奈は敵わない相手にも立ち向かう強さがある。何より心地が良い空間を自然に作ることが出来る。君の妹には無い魅力だよ。」
杏子には魅力を感じないと言い切った恭矢に良平は声を荒げる。
「しかしあの娘は杏子と違って料理も裁縫も出来ないと聞いたぞ!そんな娘が妻として務まるのか!」
良平の言葉に恭矢は何故そんなことを言われなければならないんだと腹を立てる。
「料理なら使用人が作るし、母上か津奈の母親に聞けば教えると思うけど?それに君の妹が茶を飲みながら母親に裁縫を教わったり料理を教えてもらってる時、一人娘で跡取りだということだけで津奈は血が滲むような修行をしていたんだ。家事が不得手で当たり前でしょ?」
でもそんなことは関係ない!と言う恭矢は本気で津奈に惚れていると悟った良平。だか妹の為にと食い下がる。
「何とかして安倍川の娘との婚約を破棄出来ないのか?杏子は毎日お前を想って泣き暮らしているのだ。ここまでお前を想う杏子を無下にしないでくれ。」
頼むから杏子と一緒になってくれと言う良平を横目に恭矢は吐き捨てる。
「君もしつこいね。明後日には結納を交わす。時間切れさ。」
「結納・・・。」
「君が今することは妹に似合う男を探すことじゃない?それに僕は好きじゃないのに?」
「杏子はそれでも良いと言っている。」
恭矢は成る程と笑う。
「君の妹には時々嫌悪感を感じていたけど理由が分かったよ。僕と近い人種だ。たとえ津奈が僕を好きでなくても良いと思ってるからね。幸い僕らは想い合ってるけど。」
同族嫌悪だったんだと杏子を嘲笑う恭矢に良平は殴りかかるが恭矢は拳を簡単に受け止める。
「くっ!」
悔しそうにする良平に恭矢は睨みをきかせる。
「さっさと出ていきな。言っておくけど君の妹みたいに津奈に何かしたら噛み殺すよ!」
良平は杏子の力になれなかったと項垂れて出ていった。