儚き者達
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この土地の外れの方に少し寂れた屋敷があり、ドカドカと足音をさせて苛々し歩いているのは勇斗。
『何でだよ!何で雲瀬恭矢なんだ!』
勇斗は恭矢との面識はないが恭矢の性格くらいは聞いていた。
群れを作っていると暴れ回り、笑う顔は獰猛な肉食動物のような雰囲気を醸し出す。
そんな恭矢と津奈が婚約したとは信じられないと勇斗は苛立った。
初めて会ったのは4才くらいの子供の頃。
弥生に連れられて来た津奈。勇斗はその時点では特に何とも思わなかった。
勇斗の母親は弥生と津奈を家に上がらせ、お茶を出し、弥生は薬を渡していた。
津奈は退屈し始めていてそれに気づいた勇斗の母親は一緒に遊んであげてと勇斗に言い付けた。
勇斗は何で俺が!と思って口を開こうとしたら津奈が遊ぼうと庭の方に行ってしまい、勇斗は仕方なく津奈の後を追った。
庭には小さな池があり錦鯉が泳いでいる。
「うわぁ。鯉がいっぱいいるー!」
感激している津奈を横目に勇斗はちょっとした悪戯を思い付く。
『コイツ、弥生おばさんの子供ってことは陰陽師だよな?ちょっと脅かしてやるか。』
勇斗の家は元陰陽師。ただ曾祖父母を最後に血が薄まり廃業していた。
勇斗は先祖帰りをし微々たる物だが陰陽道の力を持って産まれ庭にいる小鬼や九十九神を使役していた。
『九十九神に攻撃させるだけじゃ面白くないから九十九神に軽く力を注いで増幅させるか。』
勇斗が九十九神に力を注いでいたが失敗し、正気を失った九十九神が勇斗に襲いかかった。
『しまった!!』
勇斗が身構えた時、パシーンと音がした。
勇斗の前に大きな三本足の烏が現れ羽を広げ九十九神の攻撃を防御し、九十九神は正気を取り戻した。
「大丈夫だった?」
三本足の烏を使役したのは津奈だった。勇斗は自分のしたことを悔いた。
「大丈夫です!ありがとうございます!!」
可愛らしい笑顔で良かったと言う津奈に勇斗は好きになった。
『せめて家がまだ陰陽師として存在してたら、俺の能力が高かったら津奈さんと婚約出来たかもしれない!!』
何で陰陽道と関係無い奴と婚約なんて!
勇斗は悔しさのあまりガンッと壁を拳で殴った。