儚き者達
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一方、渚は。
このまま帰宅しようと自分の着物を取りに行こうとしたら静香に会った。
「確か大樟渚さんよね?着物は後日届けるようにするから。良かったら一緒にお茶でも如何か?話も聞きたいし。」
「はい。」
別室の客間で渚は静香に紅茶を飲みながら津奈と杏子のことを話した。
「そうだったの・・・。」
静香は自分達のせいで杏子を傷付けてしまったことを改めて感じた。しかし恭矢と結婚しても幸せになれないからと敢えて感じた感情に蓋をした。
「大樟さん。恭矢と津奈さんは話し合ってるのよね?」
顔合わせの時に津奈の性格を知った静香は杏子とのやり取りで津奈が婚約を解消を求めてしまうのではないかと不安になる。
「多分。でも大丈夫だと思います。」
「?」
「津奈ちゃんは雲瀬さんが好きで雲瀬さんも津奈ちゃんが好きだから。」
笑顔で言う渚に静香は少しだけ安心した。
暫くすると庭の方から楽しそうな声が聞こえてきて渚と静香は小さく笑った。
ーーー
「えっ!津奈さん婚約されたんですか!?」
「いきなりで驚いたのな!?」
「こりゃ目出度いな!おめでとう津奈ちゃん。」
津奈は豪に薬を届ける途中、勇斗に会って一緒に山野屋に行った。
「で、相手は誰だい?」
豪が聞くと津奈は照れながらも言う。
「雲瀬恭矢さんです。」
雲瀬恭矢の名を聞いて三人は驚く。
「でも、雲瀬は陰陽道の資質とかはありませんよね?」
「そうだよな。大丈夫なのな?」
疑問を感じる勇斗と武司。事情を何となく知っている豪は血筋の問題で敢えて関係のない人間と結婚するんだろうと思った。
「大丈夫だよ。お祖母様も賛成してるし。」
幸せそうに報告する津奈に勇斗と武司はズキリと胸を抉られる。
「そろそろ行かないと。」
「お!津奈ちゃん、雲瀬恭矢さんと約束でもあるのかい?」
軽快に聞く豪に津奈は笑顔で頷き山野屋を後にした。
勇斗も山野屋を出て豪は武司に辛そうに言った。
「武司。元々津奈ちゃんは陰陽道の人間と結婚するのを分かってただろう。それが地位の高い軍人の家の人間になっただけだ。最初から叶う想いじゃなかったんだ。諦めろ。」
「・・・・・・。分かった。」
武司は自室に入り豪は「こればかりは仕方ねぇ。」と呟いた。