儚き者達
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
津奈と恭矢、渚の後ろ姿を見ながら泣き続ける杏子に華はとりあえず帰ろうと声をかけるしかなかった。
俯きながら歩く津奈を見て恭矢は内心杏子に舌打ちしたい気持ちだ。
『津奈を傷付けて!噛み殺したいね!』
屋敷に着き恭矢は着物を用意させ、津奈と渚は着替えに行った。
着替え終わった津奈と渚は使用人に言われ客間に行く。
津奈は客間にいる恭矢を見た途端に俯く。それに少しだけ傷付く恭矢。渚は二人で話し合った方が良いと判断し津奈の手を引いて恭矢の側に連れていく。
「津奈ちゃん。雲瀬さん。ちゃんと話して。」
そう言い残し渚は客間を後にした。
「津奈。」
恭矢は優しく津奈の顔を持ち上げ目線を合わせると津奈は大きな目から涙がポロポロ流れる。
「なっ!そんな泣くほどあの女に酷いことを言われたの!?」
慌てる恭矢に津奈は小さい声で違いますと答え、津奈の顔を持ち上げている恭矢の手を優しく外す。
「雲瀬さんと私の婚約は白紙にしませんか?」
恭矢は目を見開く。
「私と違って料理や裁縫も出来る。私は料理や裁縫は出来ないし佐々川さんみたいに美人じゃないし。」
恭矢はどこかで聞いた内容だなと姫奈の話を聞いていたが機嫌が悪くなっていく。津奈はそれに気付かず続けていく。
「それに私にしたことも雲瀬さんを慕っていたからしてしまっただけで。きっとずっと前から佐々川さんは雲瀬さんが好きだったんだと思うんです。だから白紙にして佐々川さんともう一度婚約してください。」
恭矢は津奈の言っていることに腹を立てた。
「黙って聞いてれば言いたい放題だね。聞いていなかったの?僕が好きなのはあの女じゃない!津奈だよ!絶対に婚約解消なんかしないから!」
「雲瀬さん・・・。」
津奈は杏子の想いの強さを見てしまい不安になっていた。
「初めて会った時から好きだった僕の気持ちをわかってるの?君と婚約出来てどれだけ僕がどれだけ喜んだかわかってるの?津奈が応えてくれてどれだけ嬉しかったかわかってる?」
恭矢は切ない声で自分の思いを津奈に伝えていく。
「僕と結婚しなよ。」
「でも・・・。」
「君は僕くらいの男で丁度良いんだよ。」
恭矢はそう言うと有無を言わさず津奈を抱きしめた。
抱きしめてくる恭矢が側にいてと言っているようで津奈は恭矢の背中に腕を回す。
「私も初めて会った時から雲瀬さんが好きです。」
暫く抱きしめ合った二人。
恭矢は体を少しだけ離して津奈の顔を見て何処と無く拗ねたように言う。
「ねぇ。そろそろ名前で呼んでくれない?」
他人行儀みたいで嫌なんだけど?と言う恭矢に津奈は恥ずかしそうに頷く。
「き、き、き、きょ、」
恥ずかしさのあまりに上手く言えない津奈に面白そうな表情の恭矢。
「猿の真似?」
「ち、違います!」
先程の雰囲気は何処に行ったのか。お腹を抱えて笑いだす恭矢に顔を真っ赤にして怒る津奈がいた。