儚き者達
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津奈は静かに答えた。
「言われなかったよ。」
恭矢は寧ろ言いふらせと言ってきたくらいだ。
杏子は愕然としたが津奈を更に揺さぶる。
「嘘言わないで!大体訳のわからない術とか使って気味が悪い貴女が選ばれる訳がないじゃない!」
杏子は津奈を突き飛ばし、津奈は尻餅をついた。
「きゃっ!」
「津奈ちゃん!」
津奈を起こそうと駆け寄る渚。
「気持ち悪い!!!」
憎悪を込めて吐き捨てる杏子は更に津奈に怒鳴る。
「貴女なんか恭矢さんに似合わないわ!恭矢さんを返して!!」
津奈は杏子の瞳に宿す憎悪の奥に恭矢を慕っているのが見えて顔を下に向ける。
「今直ぐ恭矢さんと別れて!」
杏子が肩で息をしていると冷たい声がした。
「何してるの?」
津奈と杏子は声が聞こえる方を見ると恭矢がいた。
恭矢は眉を寄せ鋭い目付きで見る。
尻餅をついている津奈に起こそうと膝をついている渚。ぜいぜいと息をする杏子と心配そうにしている華。
「津奈大丈夫かい?」
恭矢が津奈を気遣いながら立たせる。
「着物が汚れてる。家においで。使用人に代わりの着物を用意させるから。」
「ありがとうございます・・・。」
津奈の沈んだ声の原因であろう人物を見る。
「佐々川の妹が津奈に暴力を振るったの?」
佐々川の妹と呼ばれた杏子はショックを隠せない。
「ねえ、質問に答えなよ。」
氷のように冷たい声で聞く恭矢に杏子は泣きそうになる。
「私です・・・でも!」
「僕は君の物になった覚えはないよ。弱い生き物に興味ないしね。」
恭矢ははっきり言うけどと前置きした。
「津奈は勝てない相手に立ち向かう強い人間だ。そんな津奈に僕は結婚を望んだ。それにこの子は受け入れてくれた。」
「!?」
恭矢が津奈を望んだ。そのことに杏子は涙を流す。
恭矢は涙する杏子を気にせず言う。
「本当なら噛み殺したい所だけど君の兄がまた家に乗り込んで来たら面倒だから今回は見逃す。でもまた津奈に何かしたら容赦なく噛み殺すよ!」
恭矢は杏子に言うと興味が無いとばかりに杏子の存在を無視し、津奈の手を取る。
「行こうか。・・・ああ、津奈の友人もついてきな。君も服が汚れてるからそのまま帰ったら津奈の母親が心配する。」
渚は津奈のことだけを考えてる恭矢に苦笑いするが杏子との婚約、婚約破棄のことには驚いていた。