儚き者達
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翌日ーーー
女子学校の津奈の組は騒がしかった。
「安倍川さん婚約したの?」
「津奈さんおめでとう!」
「おめでとう津奈!」
津奈の席に集まる女子達は次々とお祝いの言葉を述べ、津奈はありがとうと返す。隣にいる渚は嬉しそうな津奈を見て笑顔だ。
津奈と恭矢の婚約話は隣の組の杏子の耳にも入ってきた。
「嘘・・・。」
茫然とする杏子に華は大丈夫?と声をかけると同時に杏子が恭矢のことが好きなのを知った。知った所で何も出来ない華は悲しそうな顔をしていた。
授業が終わり津奈と渚が校門を通ろうとすると杏子に呼び止められる。
「えっと佐々川さん?」
「安倍川さんに聞きたいことがあるの。」
首を傾げる津奈と渚に多少苛立つ杏子。
「恭矢さんと婚約したって本当に?」
「本当だよ。」
杏子は津奈の肩を掴み強く揺さぶる。
「何で貴女が恭矢さんの婚約者なの!どうやって取り入ったのよ!」
「取り入ったって・・・何のこと?」
杏子が恭矢の元婚約者だと知らない津奈は訳が分からず戸惑う。
「落ち着いて!雲瀬家が安倍川家に持ってき来た縁談で婚約したのよ!」
渚が慌てて理由を言うが杏子はそれをはね退ける。
「おかしいわ!あの恭矢さんが婚約者なんて!私は恭矢さんと婚約したけど解消されて直ぐ貴女と婚約なんて!有り得ないわよ!」
杏子が恭矢の元婚約者だと知って津奈と渚、華は驚いた。
「ちょっと!杏子今の話は本当なの!?私は聞いてないわ!」
杏子は津奈の肩を掴んだまま首だけを華に向ける。
「恭矢さんは大々的に発表するまで言いふらすなって言われてたの。」
「でも何で解消なんか・・・。」
「私のことが気に入らなかったみたい。でもそれでも良かったのに・・・。」
呟くような声で言う杏子に華は言葉が見つからない。
杏子は津奈に向き直り睨むような目で聞いた。
「ねぇ。貴女は婚約した日恭矢さんは婚約者だって言いふらすなって言われなかった?」
これで津奈が言わなかったと答えたらと思うと怖い。でも言われたなら杏子はまだ希望があるかもしれないと。
言われたのに言ったなら津奈は恭矢に嫌われるだろう。そしたら言わなかった自分を認めて貰えるかもしれないと杏子は思った。