儚き者達
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屋敷の離れの庭は本邸程では無いが季節の花が咲き乱れている。
「凄く綺麗。」
感嘆の声を上げ、笑顔で花を見る津奈に恭矢は喜んでもらえたと嬉しそうだ。
『もうすぐこの子と婚約して結婚か。寧ろ婚約なんかすっ飛ばして結婚したいんだけどね。』
流石に無理な話だがそのくらい恭矢は津奈を望んでいた。
「津奈。最近何か両親から聞いてない?」
「?特に何も聞いてませんけど?」
「そう。」
まだ津奈の両親は話してないのかと恭矢は苛つき僅かに眉を寄せるが苛つきを津奈にぶつけても意味はないし、どのみち自分の嫁になるんだから良いかと納得させる。
そんな恭矢の様子に津奈は?マークが頭の中で飛び交っていた。
「あっちの方にも可愛い花が咲いてるから見に行こうか。」
「はい。」
手を繋いで歩いて行く二人を見て静香はいつも無愛想で笑うときも獰猛な笑みしか見せない恭矢が津奈には普通に笑うのかと唖然としていたがこれなら問題なく進むだろうと微笑んだ。
勝栄家では家三と利庵が向き合って話をしていた。
「申し訳無い!この話は無かったことにしていただきたい!」
「安倍川家三。流石に呆れたぞ。」
頭を下げる家三に利庵は腹を立てながらも仕方ないと受け入れた。
家三が勝栄家を出た後、利庵は息子の闌丸を呼んだ。
「安倍川家の縁談は白紙になったのですか!?」
「安倍川の娘には既に雲瀬家の息子との縁談が進んでいるらしいぞ。」
「なっ!」
勝栄家の力を更に強く出来ないと焦る闌丸に利庵は案があると話始める。
「流石に雲瀬家に喧嘩を売るわけにはいかねぇ。此方が潰されるからな。」
勢力が強くいざとなったら本家と分家が一丸になる雲瀬家に勝てる程の力がないのは分かっている闌丸は静かに頷く。
「数年後には子を産むだろうから隙を見て子を奪えば良い。男児なら此方の女と、女児ならお前には悪いがその子供と契れば良い。」
「しかしそれでは力が手に入らないのでは?」
「子を奪う際に安倍川で力のある者を殺して我々が乗っとれば勝栄家は安泰だ。」
「成る程。念の為安倍川家に『草』を送り込んでおきましょう。」
「そうだな。俺の愛人で『草』に適した女がいるからそいつにやらせる。」
利庵と闌丸はその時まで隙を窺いながら待つと醜悪な顔で笑っていた。