儚き者達
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「雲瀬家は確かに陰陽道とは無縁だが新たな血を入れなければ安倍川は終わりだ!血の弊害で弥生さんは二人の子供を無くして悲しい思いをさせてしまった!そんな思いを津奈にもさせるつもりか!!」
「ですが過去に安倍川家と勝栄家は婚姻したもの者はいない筈です!血の弊害もおそらくはないでしょう!」
食い下がる家三に日野江は呆れ、怒鳴った。
「過去に何度も卑劣な手で成り上がってきた家に自分の娘を嫁がせるとは当主としての自覚を持て!雲瀬家とは話が進んでいる。さっさと勝栄家の縁談を破棄しろ!」
孫娘は雲瀬家に嫁がせる!と言い切った日野江に家三は項垂れ居間を出ていき、娘を道具にする家三に日野江は悲しい目をしていた。
授業が終わり津奈と渚が帰宅する途中、恭矢がいた。寧ろ、津奈が帰宅するにはこの場所を通らないと帰れないと分かっていた恭矢が待っていた。
「雲瀬さん!?」
驚きながらも顔を赤くする津奈を見て渚は『津奈ちゃんの好きな人は雲瀬恭矢ね。』と目をキラキラさせた。
「津奈、時間ある?」
「有りますけど一回帰ってお母様に言わないとっ!?渚ちゃん?」
渚は津奈の鞄を取り上げてニッコリ笑う。
「津奈ちゃんの鞄は私が持って帰る。ちゃんと弥生さんに伝えるから。」
二人の邪魔をしたくない渚は歩いていく。
渚は家から追い出される前に恭矢と会っている。母親に言われて同席した時に恭一と恭矢がいた。多分あれは嫁探し、婿探しだったんだろうと渚は思った。
津奈と恭矢の後ろ姿を見て『それにしてもあの雲瀬恭矢が優しく笑うなんて思わなかった。』と笑う渚。
渚が会った時、恭矢は終止無表情だったから無理はないだろう。
恭矢は津奈の手を引いて歩き出す。
「今日は離れにある庭に案内したくてね。花が綺麗に咲いてるから気に入ると思うよ。」
実際は口実だ。恭矢は津奈と出掛けようと考えたが闘い以外は不器用だ。
見かねた草加部が離れの庭に案内しては?と助け船を出した。草加部は群れ嫌いの恭矢が暴れないだろう場所を考えたら雲瀬家の庭しか思いつかなかっただけだが。
武司と勇斗は安倍川家に向かっていた。
豪が薬の礼に刺身を届けようとしたが武司が買って出た。
そこに勇斗が出会せ自分も行くと言い出し毎度の漫才のような会話をしながら歩いていると渚の姿が見えた。
「渚なのな?津奈がいないけど?」
「津奈さんは?」
いつも学校帰りの時は津奈と渚は一緒なのにと不思議に思う勇斗と武司は渚に駆け寄る。
「津奈ちゃんは雲瀬恭矢と出掛けた。」
「「はぁ?」」
ポカーンと口を開けて、間の抜けた声を出す勇斗と武司に渚は苦笑いした。