儚き者達
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「お前は杏子をどう思っているのだ!」
「別に。どうも思っていない。」
「なっ!!杏子はお前の事が好きなんだぞ!」
「僕は好きじゃない。弱い生き物に興味は無いからね。」
「杏子の何が不満なのだ!超絶に美人だし料理も刺繍も出来るし和楽器だって奏でられる!」
恭矢は良平の重度の妹思いにウンザリしてきた。
「これだけは言っておく。僕は君の妹は好みじゃない。」
恭矢は喚く良平の腕を力任せに掴んで部屋から追い出した。
追い出された良平は両手を握り締め玄関に向かう。恭一が声をかけるが良平は何も言わず雲瀬家を後にした。
数日後、津奈に縁談の話が来た。
弥生は嬉しそうだ。相手は雲瀬家の息子、恭矢だ。
「あの子の思い人なら大歓迎。家三さんが怪しい縁談を持ってくる前に婚約させてしまいましょう!お義母様に了承して頂かないと。」
弥生は家三の母、日野江の部屋へ行く。
「お義母様、弥生です。」
「弥生さんか。入りなさい。」
弥生は日野江に雲瀬家から縁談が来たことを話し日野江は暫し考えた後了承した。
「陰陽師の家系に嫁いだ所でどこかしら安倍川の血が混ざっておる。ならば全く関係のない家に嫁いだ方が安全だろうよ。」
日野江は安倍川を潰したくはないが違う血筋を入れないと危険だと気付いていた。
他の家は濃くなりすぎた血の弊害か障害を持った子供が産まれたり、短命な子供が増えている。
現に安倍川にも表れ始めていた。弥生は津奈を出産した後、子を二人産んだがどちらも数日でこの世を去っている。
「血族結婚に近いことを続けたせいでしっぺ返しと云わんばかりに血の弊害が表れておる。津奈は雲瀬家に嫁がせる。返事は私が出そう。」
雲瀬家ーーー
「静香、安倍川家から縁談を受けると返事が来た!」
雲瀬家は恭一と静香を始め使用人達が両手を挙げて万歳をするような勢いで喜んでいた。
婚約が白紙になった今どうやって津奈を自分の伴侶にするか考えていた矢先に恭一から津奈との縁談を申し込むと言われて恭矢はまさかこんな短期間に事が運ぶとは思っていなかった。
婚約さえしてしまえばこっちの物だと恭矢は機嫌が良かった。