儚き者達
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入学式は厳かに行われ何事もなく終わって津奈と渚は他の入学式委員と片付けをしていた。
その頃恭一と静香は佐々川家に行き、恭矢と杏子の婚約を無かったことにして欲しいと頭を下げていた。
「一体どういうことだ?」
杏子の父が眉を寄せ険しい顔をし、母は困惑している。
「杏子さんは息子に尽くしてくれるが恭矢は杏子さんと会話一つしないのだ。」
「婚約して約一年ずっとそんな調子で。このまま息子と結婚しても杏子さんが辛い思いをするだけです。」
「息子との婚約を解消し、杏子さんが幸せになる道をと思っている。」
恭一と静香の言葉に佐々川夫妻は一年で会話一つ成立していないならと了承し、恭一と静香は佐々川家を後にした。
入学式の片付けが終わった頃には十三時を回っていた。
「渚ちゃん寄り道しちゃおうか?」
「お腹空いちゃったものね。」
二人は帰り道にパン屋に寄り津奈と渚はあんパンを買い食べていた。
『雲瀬さんあの時初めてあんパン食べたんだっけ。美味しいって言ってたなぁ。』
津奈が恭矢にあんパンを分けたことを思い出していると渚が不思議そうに津奈の顔を見る。
「津奈ちゃん?どうしたの?」
「え!?何でもないよ、うん。」
慌てる津奈に渚は目をキラキラさせる。
「津奈ちゃん、好きな方がいるのね。」
「えっ!?いないよ!うん。渚ちゃん気のせいだよ!」
「慌てて否定するのは怪しい証拠。」
大人しい渚でも年頃の女の子だ。恋の話は大好きだ。
あたふたする津奈に渚は追い打ち(?)をかけるように「どんな男性なの?」と目を輝かせる。
「何でそんなに食らいつくの~?」
津奈は顔どころか首まで赤くしていてはバレてるのも同然だ。
津奈と渚が騒いでると勇斗と武司が「津奈/津奈さん。」と声をかけてきた。
「勇斗君、武司君こんにちは。」
「お、渚も一緒なのな。」
「学校帰りですか?」
「うん。お腹空いちゃったから渚ちゃんを誘ってパン食べてるの。」
津奈と勇斗、武司の会話のやり取りを見て渚は『この二人は違う。』と感じた。
確かに勇斗と武司が津奈を好きなのは見てとれるが津奈は幼馴染みとしか見ていないのが窺える。
この後、勇斗と武司が屋敷まで送ると言い張り、二人のどつき漫才のような会話を聞きながら帰宅した。