儚き者達
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「渚(なぎ)様、こんな所でどうされました?」
使用人の声に渚は顔を上げる。
「津奈ちゃんの所の人。」
見知った人物を見て安心したのか渚は泣き出した。
「実は・・・追い出さ・・・れて・・・。」
「追い出されたって御屋敷をですか!?」
「お母様、が、もう、私のこと・・・鬱陶しいって、ヒック・・・。」
渚の言葉に使用人は言葉を失う。
渚の母親は他人から見ても良き母親では無い。気分屋で渚をほったらかして世話は使用人にさせていた。
安倍川の使用人は渚の母親の性格を知っていた。過去に何度か渚を外に放置し一人で買い物をしているのを見かけていた。
そんな母親に追い出されたなら簡単に戻れないだろう。
「渚様、一旦安倍川家に行きましょう。」
使用人は渚を諭し、渚は何も言わず頷いた。
弥生は使用人の隣にいる渚を見てただ事ではことを知る。
渚の目は赤く、手にした大きな鞄。事情を聞かないとと渚を客間に通した。
「渚ちゃんいらっしゃい。」
「こんにちは。」
「使用人に聞いたけど渚ちゃん、お母様に追い出されたって聞いたけどどういうこと?」
「お母様が再婚して。でも私が再婚相手の人と上手くいかなくて。そうしたらお母様に鬱陶しいから、私がいたら幸せになれないから出ていってて荷物を纏めさせられて・・・。」
渚の母親が半年ほど前に再婚したのは聞いていた。
しかし自分の娘が再婚相手と上手くいかないからと追い出すとは。弥生は渚の母親を情けないと思った。
「そう。なら暫くこの家に居なさい。津奈も喜ぶわ。」
津奈と渚は女子学校で知り合い親友になった。
弥生は使用人に渚の部屋を用意させ、九十九神を津奈の元へ向かわせた。
雲瀬家の庭の桜を愛でていた津奈は四枚の翼を持った小鳥が飛んできた。
津奈は安倍川で使役している九十九神だと気付いて指を出し小鳥を止まらせる。
『そろそろ帰って来なさい。大樟(おこのぎ)渚さんのことで大事な話が有ります。』
そう弥生の声で話すと小鳥は姿を消す。
九十九神の話を聞いていた恭矢は送っていくよと津奈を送った。
屋敷に着くと恭矢に御礼を言って屋敷に入っていく。
恭矢はどうやって津奈を自分の妻にするか考えながら帰宅する。
「お帰りなさいませ。旦那様と奥様が大間で御待ちです。」
恭矢は大間に向かった。