儚き者達
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「雲瀬さん!」
津奈は広場で待ち合わせしているが恭矢の元に走る。
走る津奈を見て恭矢は転ぶんじゃないかと津奈に向かって行く。
「わっ!」
津奈は案の定何も無い所で転びそうになり恭矢は津奈を抱き止める。
「ドジだね。」
抱き止められた津奈は顔を赤くして恭矢から離れた。
『助けて貰ったけど男の人に密着なんて・・・』
「すみません。あの頓服薬です。」
津奈は鞄から頓服薬を出し恭矢に渡す。
「あんパンと頓服薬のお礼がしたいからちょっと付き合って。」
「へ?」
津奈は間抜けな声を出した。
津奈からすればあんパンは半分しか渡してないし、頓服薬を調合したのは弥生だ。お礼なら母の弥生なのではと思う。
恭矢はそんな津奈に構わず手を引き歩いていった。
途中人力車に乗り、辿り着いた場所は恭矢の屋敷だった。
「あの、此処は?」
「僕の家だけど?」
津奈は目を真ん丸にして恭矢の屋敷を見ている。
『雲瀬さんのお屋敷大きい!!』
安倍川の屋敷もかなりの規模の大きさだが雲瀬の屋敷はそれ以上だった。
恭矢は屋敷の中に入って行き津奈はついていった。
通された部屋で座って待っていたら紅茶とケーキが出される。
茶葉は最上級、ケーキは人気を独り占めする名店の物だ。
「食べなよ。」
「でも、薬は母が煎じた物であんパンだって半分だけでしたし。」
それだけでそんな最上級の紅茶やケーキは食べれませんと断る津奈に恭矢は「君の為に用意したし僕はケーキは食べない。」と言われ津奈はそれならとケーキを食べる。
「美味しいです。」
ケーキを方張る津奈を見て恭矢は笑みが溢れる。
『小さな口を動かして小動物みたいだね。』
恭矢は紅茶を飲みながら思った。
そんな二人の様子を見ていたのは恭矢の母、静香とその隣りにいる恭矢の父、恭一だ。
「あなた、私は幻でも見てるのかしら?」
「静香の気持ちは分かるが現実だ・・・。」
雲瀬夫婦は驚いていた。