儚き者達
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「ただいま帰りました。」
「津奈様、お帰りなさいませ。」
使用人達に出迎えられ津奈は「いつもありがとう。」と笑顔で声をかけ母親の部屋へ足を向ける。
「お母様、山野屋さんに渡して参りました。」
「ありがとう。豪さんは最近手首が痛いと言っていたから気になっていたのよ。料理人が手首を痛めると一大事ですもの。」
津奈の母、弥生は薬師として腕が良い。この地の住民達は『病院より安倍川の奥方様の薬を!』と言うくらいだ。
「お母様、雲瀬 恭矢さんと言う方をご存知ですか?」
弥生は目をパチクリとする。今まで津奈が男性の名を出したことがない。幼なじみの勇斗や武司は別だが。
「確か、雲瀬 恭一上級大将の一人息子よ。最近少将になったみたいだけど。」
「し、少将ーーーーーっ!!」
津奈は自分より少し年上の恭矢の階級に驚き絶叫し弥生は耳に手を当てる。
「その雲瀬 恭矢がどうかしたの?」
「助けて貰いました。」
津奈は弥生に助けて貰った経緯を話した。
「津奈。今年で歳は15よね?」
「はい。」
唐突に年齢を聞かれ津奈は首を傾げる。
「そう。今日は色々あって疲れたでしょう。ゆっくり休みなさい。」
「はい、お母様。」
津奈は弥生の部屋を出ていく。
弥生は津奈がようやく『初恋』をしたんだと苦笑い。恭矢の話をしている時の津奈は幸せな顔をしていた。
雲瀬邸ーーー
恭矢は津奈が気になっていた。服装は地味だが着物や袴の生地が上質な物だったからそれなりの身分だろうと思う。
「安倍川ってどんな家?」
恭矢の問いに雲瀬家に支えている草加部 哲哉が答える。
「安倍川は代々陰陽師の家系で平安時代から天皇家を陰で支えていた一族の一つです。今は陰陽師の家系がかなり絶え能力を守る為に血が濃くなって来てる陰陽師の家もあるようです。中には血族結婚に近いこともあると聞いたことがあります。」
「陰陽師の家系、ね。」
恭矢はどうやって津奈に近付こうかと思案し始めた。