儚き者達
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「津奈(つな)さん!」
「勇斗(はやと)君?」
呼ばれた少女は振り向き、少女を呼び止めた少年ははにかむ。
「今日のお着物とてもお似合いです!」
「声、大きいよ。」
「本当のことですから!」
溢れんばかりの笑顔で大声で言う勇斗に津奈は困ると止める。
ここは人々が生活の為に買い物したり飲食したりする店が並ぶ所だ。
当然津奈と勇斗のやり取りも見られてしまう。と言っても毎度のことなのでこの地の住民は慣れっこだ。
「でも、着てるの普段着だよ?」
津奈が着ているのは淡い桃色の無地の着物に紺色の袴に黒いブーツ。髪には白いリボン。
この時代の普段着だ。
「桃色の着物と白いリボンがとても清楚で津奈さんにぴったりです!!それに」
「勇斗君もう良いから!」
恥ずかしくなって勇斗の言葉を遮り両手で顔を隠す津奈とその津奈を見て内心デレデレの勇斗。
「津奈さん。買い物ですか?」
「お母様に頼まれて山野屋さんに薬を届けるの。」
「御供します!」
津奈がもうすぐ山野屋に着くからだから大丈夫と言うが勇斗は聞かない。
津奈は苦笑いしながら勇斗と山野屋に向かった。
「すまないね津奈ちゃん。おっ、勇斗君も一緒かい。」
山野屋の主、豪(つよし)はお茶とお茶請けを出す。津奈は遠慮するが豪は店を開けるにはまだ時間があるから気にするなと豪快に笑う。
津奈と勇斗はお茶を啜り、お茶菓子を食べているとおおらかで元気な声がした。
「親父、仕込み終わったのなって津奈来てたのな?あっ勇斗もいたのか。」
「武司(たけし)君こんにちは。」
「ついでみたいな扱いすんなよ!」
笑顔で答える津奈と悪態をつく勇斗にニカッと笑う武司に豪はごくろうさんとお茶を出す。
「ありがとうなのな。」
しばらくの間津奈と勇斗、武司は楽しそうに話をしていた。