儚き者達
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パシン!!!
津奈、憐也、晶、弥生は何かが弾けるような音に気付き、渚は津奈達の様子がおかしいと気付き声をかける。
「津奈ちゃん、弥生お義母様どうしたの!?」
「渚ちゃんあのね、封印が解けるような音がしたの。でも何かおかしい。封印した物は既に無いのに。」
安倍川家の先祖の時代には邪悪な妖魔の類いの封印があったが今はもう調伏されていた。
「くっ・・・!」
弥生が顔を青くし家三の仕業と気付いた。
「この騒ぎは家三さんが起こしたようね。家三さんが九十九神達を術で一時的に力を封じていたみたい。」
「お父様が何故!?」
自分達が使役している九十九神と小鬼を押さえ込んで何になるのだと津奈はただ混乱する。
理由が分かった弥生は怒りを覚えた。
「家三さんは津奈と恭矢さんの結婚に反対していたのよ。あの人は勝栄家の息子と結婚させ安倍川に新たな血筋を入れて存続を計ったの。」
「えっ!?」
家三が恭矢との結婚を反対していたと知って津奈は愕然とした。
「津奈おそらく家三さんは勝栄家と手を組んだ。勝栄家は以前から安倍川家の血筋しか使えない秘術を欲していたから。家三さんは騙された。狙いは貴方と憐也と晶よ。今すぐ逃げなさい!渚ちゃんと美樹さん達も!勝栄家に捕まったらどんな仕打ちをされるか分からない!」
いつも穏やかで笑みを絶やさなかった弥生が初めて津奈に見せた厳しい表情。
「早く逃げなさっ・・・!?」
「お母様!?」
「弥生お義母様!?」
「「お祖母様ーーーっ!!」」
「「「「奥様ーーっ!」」」」
いきなり崩れ落ちていく弥生。憐也と晶は悲鳴を上げ津奈と渚は弥生に駆け寄る。使用人達はどうしたことだと慌てる。
弥生の背中から血が滲み出しそれは止まらない。
「フフフ・・・。気が付くとは。さすが安倍川家に嫁げるだけの陰陽道の力があるってことね。安倍川弥生。」
「美樹さん!?」
笑う美樹の隣にいるのは狂暴な顔をした小鬼。小鬼の手には刃渡りの長い刃物。刃には弥生の血が付着していた。
「勝栄家の屋敷に来て貰いましょうか。津奈様、憐也様、晶様。勝栄家引いては利庵様の為働いてちょうだい。ああ、渚さんもね。貴方の伴侶は大企業の社長ですもの。利用価値はあるわ。」
美樹は愛している利庵の役に立てたと妖艶に微笑みそして式神を飛ばす。
『貴方達、津奈様達を保護して!』
式神は津奈達がいる場所から離れている勇斗と武司の所に飛んで行った。
式神が飛んでいくのを確認した美樹は呼吸が弱くなっていく弥生を見やる。せめて弥生の半分くらいの陰陽道の力があれば利庵の正妻になれたと弥生の持つ資質に軽い嫉妬を向けて。
「残念ながら安倍川弥生は助からないわ。諦めてね。津奈様。」
「こんな酷いことをして何になるの!」
「貴方達は勝栄家の生け贄。憐也様は勝栄家の女と結婚。津奈様は闌丸様と再婚して安倍川の実権を渡すこと、晶様は闌丸様の子を成す為の道具かしら?まあそれは津奈様もだけどね。」
ああ、渚さんは金のなる木ってやつかしら。伴侶を脅迫したらねと笑う美樹。
人としての尊厳を奪い取り道具にすることを平然と話す美樹に渚と使用人達は嫌悪感を顕し津奈は横たわる弥生を涙を流し見詰めながら泣く憐也と晶を抱きしめた。