儚き者達
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「緊急事態?」
晶を慰めてながらも怪訝そうにする憐也に美樹は話は後にと部屋から出るようにと言い、憐也と晶は出ると隣の部屋では津奈と恭矢が出てきていて、家三と弥生、泊まっていた渚、使用人数人もそこにいた。
「誰かはまだ分からんが何者かが潜んでいる!とりあえず津奈と憐也と晶、渚さん、使用人は屋敷から出ろ!美樹、頼んだぞ。」
家三の指示で武道の心得がある美樹が津奈と憐也と晶、使用人を外へと連れ出す。
「恭矢殿は俺と一緒に潜んでいる奴を見つけて欲しい!もしかしたら安倍川家を良く思っていない陰陽師の仕業だ!」
『九十九神が知らせたように見せ掛け雲瀬恭矢を別館へ行かせろ。その後は佐々川良平と闌丸が始末する。家三は離れで俺と合流だぞ。』
分かりましたと答える恭矢に家三は上手くいったと安堵し、利庵に言われた通りに動こうとする。
「お父様。」
正夢になりそうな気配に晶は恭矢に抱き付く。
「大丈夫。すぐに終わらせるからそれまで津奈と憐也と一緒にいるんだよ。」
コクンと頷く晶の頭を撫でる恭矢。
「憐也、晶を守ってね。津奈、お義母様、子供達をお願い。」
「恭矢さん気をつけて下さいね。」
津奈は不安な心を押し殺し家三と駆けていく恭矢を見送った。
ーーーー
恭矢は二手に別れて探そうとしたが家三がただの物取りなら良いが陰陽師だったら恭矢が危険だと諭し渋々家三の言うことを受け入れた。
家三は何とか恭矢を離れの方に連れていき利庵の作戦通りに動いた。
「何!怪しい人間が別館にいるだと!?離れには陰陽師か!」
上方を見て話す家三を見て恭矢は九十九神と話していると推測し、「僕は別館の方に行きます!」と走り去った。
「上手くいったようだな、家三。」
離れから出てきた利庵だが妖しく笑いながら表れたが家三は何だと思った瞬間地面に叩きつけられ、自分の体を見て驚愕した。
家三の体を押さえているのは安倍川家で使役している九十九神や小鬼達。
妖しく笑っている利庵は表情をそのままに家三に語りかける。
「安倍川家の九十九神達はかなりの上物だな。」
「なっ!まさか?!」
「そのまさかだぞ。」
利庵は家三が封じていた九十九神達の封印を解いて更に利庵が操っていた。
家三はどういうことだと利庵を睨み付ける。
「安倍川の力とお前の娘と孫を奪いにきたのだ。」
「安倍川家を乗っ取るつもりで近付いたのか!」
利庵に騙され利用されたことに気付いた家三は何とかしようと体を動かそうとするが九十九神達に押さえつられ身動きが取れない。
「その通りだぞ!乗っ取り、血を取り込めば勝栄家は栄えるからな。何せ安倍川には元貴族や武家、大企業との繋がりもあるし。」
利庵はもう家三に用は無いとニヤリと口角を上げて冷笑する。
「九十九神達よ、その男の鼻と口を塞げ。」
利庵に操られた九十九神達は家三の鼻と口を塞いだ。
「ふぐっ!」
家三は身を捩るがどうにもならず、利庵に憎しみを込めた目を向けるが利庵は嘲り笑う。
「ぐ、うぐ・・・ぐ・・・・・・」
「自分が使役していた九十九神に殺されるんだ。陰陽師としては最悪な死だな。」
動かなくなった家三を見て利庵はせせら笑う。
自分の娘の幸せ、孫の成長より家の存続を優先してきた家三の最後だった。