FOG&MIST


クロームは走りながら学校を出た。

制裁をしたという獄寺と山本。罵るリボーンや了平や京子、黒川、クラスの生徒達。

ボスが無事で帰宅していれば良い。だがもし何処かで倒れていたりしていたら・・・。

嫌な予感がする。

クロームに超直感は無いが、今日の出来事を思い出しクロームは、このままだとツナが危険だと感じた。
歪んだ笑顔のセーラと同じ顔をしたリボーンや獄寺達。そして悪意を隠しもせずツナを罵る姿を見て、ツナはそんな中で過ごしていたとしたら・・・。


『理由は分からないけど、バードンさんがボスに何かした。』


クロームはツナに話を聞こうと沢田家に向かった。



沢山の買い物袋を持って自宅に入ろうとしている奈々を視界に入れたクロームは奈々に声をかけた。

「あら?クロームちゃん?久しぶりね。」

奈々はいつもの優しい笑顔。だが。

「あの、ボス・・・じゃなくて、綱吉さん帰ってますか?会いに来たんですけど。」

「ツッ君は帰って来ないわ!セーラちゃんを毎日苛めてるからお仕置きとして昨日追い出したわ!」

奈々は目を吊り上げて、怒鳴るように言った。

「追い出したって・・・。」

「何度言っても止めないし、一緒にセーラちゃんの家に行ってあげるから謝罪しに行こうと言っても嫌がるし。」

何であんな子になってしまったのかと、ため息をついた奈々。

「クロームちゃんも、ツッ君がセーラちゃんを苛めてたら、セーラちゃんを助けてあげてね。」

クロームは奈々が自分を棄てた両親と重なって見えた。自分の子供を蔑ろにする目。

そんな奈々にもう何を言っても無駄かもしれないと思いつつ口を開いた。

「でも、綱吉さんは貴方の子供でしょ?」

「クロームちゃんは優しい子ね。ツッ君みたいな子に会いに来てくれて。でもあの子は悪い子よ!今度会ったら無視して良いから。それに、クロームちゃんっ?」


クロームはこれ以上聞いていられないと話している奈々を無視して走り去った。



アルコバレーノ達だけじゃなく、母親までボスを信じないなんて!



もうあんな人達は信用出来ない!




早くボスを探さないと!



クロームはツナを探し回った。


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