FOG&MIST


休み時間になるたび獄寺と山本、京子達はセーラを慰め、励まして、クロームは遠くから見ていた。

「クローム、お前も来るのな~。」

山本がクロームを誘うがクロームは自分はいいと断る。

「クロームッ!てめぇは!」

獄寺がクロームに怒鳴るとセーラが、

「隼人~、無理強いは駄目だよ~。クロームちゃんは、風邪引いて休んでたんだし~。」

きっとクロームちゃんも体が辛いんだと思うの~。とセーラは獄寺に注意する。

「セーラさんは本当にお優しいですね。」

獄寺はセーラを絶賛して山本達も頷いている。


クロームは授業が早く終わればいいと願った。そうしたらツナを探せると。


しかしそれは黒衣の赤子によって先伸ばしになってしまった。



放課後、帰ろうとしたクロームは「ちゃおっす」と声を掛けられた。

「アルコバレーノ・・・。」

これから守護者達に話すことがあるとクロームはリボーン達に連れられ屋上に向かった。



屋上に着き、リボーンはクロームに向き合って言った。

「流石に女の京子達に話せと言える内容じゃねえからな。」

と言い、実はなと話し出した。

「ダメツナは、セーラに告白して、振られてな。あろうことか逆上したツナがセーラを襲いかけたんだぞ!幸い、セーラの悲鳴を聞いて駆け付けた生徒達によって未遂に終わったがな。」
リボーンは苦々しい顔で言った。

一緒に来ていたセーラは体を震わせて京子は抱き締めて慰め、獄寺、山本、了平はツナに怒りを感じていた。


「嘘よ・・・。」

クロームに呟く。

クロームはおかしいと思った。
本当なら何故逃げなかっただろうと。悲鳴を聞いて駆け付けたとしても2~3分は掛かるだろう。
しかもその間自分を襲った人物と一緒に要るだろうか?
それだけではない。襲われたのに何故、獄寺達、つまり男が側に居ても平気なのか?
普通なら怯えるはずだ。


クロームは、セーラに問い掛けた。

「バードンさん、貴方はボスに襲われた時、何故逃げなかったの?」

誰も居なかったら、貴方は襲わてたのよと。


セーラは京子に抱き締められながら、

「怖くて、足が動かなかったの・・・」

更に震えなから答えるセーラを見て京子が目を吊り上げてクロームに言った。

「酷いよクロームちゃん。セーラちゃんは怖い思いをしたのに、何でそんなこと言うの!」

クロームはそんな京子に愕然とする。普通なら這ってても逃げるはず。なのに留まってるのはおかしい。

そんなクロームに獄寺達が罵倒し始めた。

「てめぇ!セーラさんに謝れ!」

「いくらなんでも酷いのな!」

「セーラに極限に謝るのだ!」

「クロームちゃん、同じ女の子なのに!信じられない!」

クロームを罵り出した獄寺達にクロームは怒鳴り付けた。

「なら皆に聞くわ。本当にボスがバードンさんを襲ったの!?それをちゃんと見たの?」

「見てはいねーが、駆け付けた連中の奴らから聞いた話だと沢田は尻餅をついてたけどよ、セーラさんは泣かれていておられていたと言っていたぜ!」

獄寺が吐き捨てるように言う。


獄寺達が見たのは尻餅を着いているツナと泣いているセーラ。ツナがセーラを襲った証拠にはならない。

「結局、見てないのね・・・。」

現場を見てないのに勝手に決め付けた獄寺達にクロームは呆れた。
そして、セーラがツナを突き飛ばすか何かしたのだろうと、クロームは睨みながらセーラに聞く。


「バードンさん、何故ボスは尻餅を着いたの?」


「それは~沢田君と揉み合いになっちゃってぇ、思わず突き飛ばしちゃって~。」

「揉み合いになって突き飛ばした?貴方は怖くて動けなかったのに?」

クロームに指摘されてしまったと顔が青くなるセーラ。

青ざめるセーラを、クロームに怯えていると捉えたリボーンは拳銃をクロームに向けて言う。

「いい加減しろ、クローム。」


これを見てクロームは失望した。
リボーンに。獄寺に。山本に。了平に。京子に。

黙ったクロームを見てリボーンはお前らにはこれからセーラを守って貰うぞと。

獄寺達は勿論ですと頷く。

リボーンがクローム、おまえもだぞと命令してくる。


「・・・嫌よ。」

「何だと!」

「絶対に嫌!私はあんな人、信じられない!」

クロームはリボーン達を睨み付けた。

「クロームちゃ~ん、セーラを信じてくれないの~。」

「ええ!貴方の話は信憑性が全く無いもの!」

「アルコバレーノ達も同じよ!その人が泣いてただけでボスを犯人扱いして!」

「私は貴方達なんか信じられない!」

クロームは走り去って行った。




残されたリボーンは怒りを更にに大きくしてクロームを毒づく。

「ったく、アイツは何を考えてるのか分からねーぞ!」

泣きじゃくるセーラに獄寺達は慰める。

「セーラさん、クロームには絶対に謝らせますから!」

「セーラちゃん、元気出して。」

「セーラは極限に守るからな!」

「セーラは笑ってた方が可愛いのな!」

「野球馬鹿!それは俺が言おうとしたのにテメェ!」

「皆ありがと~。セーラ元気でたよ~♪」


リボーン達が元気が出て良かったと喜んでいる時、セーラは笑顔をみせながらも、腹を立てていた。

『沢田君といい、クロームとか言う女といい、何なのよ!綺麗で可愛いセーラに反抗するなんて!一生セーラの奴隷にしてやるわ!!』

セーラはそう思って怒りを静めた。


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