FOG&MIST
「全員揃ったようだね。全校集会を開いたのは沢田綱吉がセーラ・バードンを苛めていることについてだ。」
雲雀の言葉に生徒達、特に2-Aの生徒達は口々に言い出した。
「風紀委員が動き出したってことはダメツナは俺達の前で制裁されるんだな!」
「自業自得だわ!」
雲雀はドスの効いた声で生徒達を黙らせた。
「煩い!何勝手に喋ってる?咬み殺されたいの?」
雲雀は黙りこむ生徒達を横目にセーラに聞いた。
「セーラ・バードン、君は沢田綱吉にレイプされそうになった。そうだよね?」
「はい。そうです~。」
『雲雀さんてばセーラの為に、全校集会でダメツナを制裁するなんて~。セーラの騎士として素敵よ~♪』
セーラは生徒達が言っていた通り、ツナを痛めつけるのだと思い喜んだ。
「でも、君は他の生徒達が来るまで沢田綱吉がいるのに留まっていたんでしょ?普通なら這ってでも逃げると思うんだけど?」
雲雀の問いにセーラは何でそんなことを聞くんだろうと思いつつ答えた。
「怖くて~、動けなかったんですぅ~。」
「それはおかしいよね?生徒達が駆け付けた時、君は駆け寄ったんだよね?動けるなら何故逃げなかったの?」
「そ、それは~、皆が来て安心して動けたんですぅ~。」
セーラは雲雀さんはセーラの騎士なのに何でそんなことを言うのかと不思議に思った。
「ふぅん。まぁ良いや。君は沢田綱吉に苛められたらしいけど、本当に苛められたの?」
雲雀の態度にカチンときた獄寺が怒鳴った。
「ヒバリ、てめぇ!セーラさんを疑ってんのか!」
「愚犬は引っ込んでな!」
雲雀の殺気に渋々引き下がる獄寺。
「雲雀さぁん、セーラを疑っているんですか~?」
セーラはまだ雲雀を落としきれてないと勘違いをし嘘泣きをした。
「以前、君に聞いた日時や場所、時間帯を調査したんだけどね、中々面白いものがわかったよ。」
草壁がスクリーンを操作し写し出された映像を見ながら雲雀は説明していく。
「●月〇日の朝は殴られたと言ってたけど君に暴力を振るう人間はいなかったよ?」
どの防犯カメラにもセーラは映っていてもツナは映っていない。ツナはその日ヘルシーランドに居たからだ。
「そんなの防犯カメラが設置されてない場所で沢田がセーラを殴ったのな!」
山本が雲雀を睨み付け怒鳴った。
「野球馬鹿、煩い。」
獄寺同様雲雀の殺気に引き下がる山本。
「この日は帰宅時に沢田に怒鳴られたと言っていたけど、君は笹川京子とラ・ナミモリーヌにいるけど?笹川京子に聞くけどこの日は沢田は姿を表したの?」
「いいえ。でもその後に沢田君がセーラちゃんを怒鳴ったんだと思います!」
京子の言い分に雲雀はさらに追及する。
「何それ。セーラ・バードンを守るとか言ってるのに帰りは自宅まで送ってあげなかったってこと?薄っぺらい友情だね。」
鼻で笑う雲雀に了平が京子を庇う。