FOG&MIST


ツナは目を見開き、涙した。

わかっていたことだけど、悲しかった。

ダメツナだけど、自分なりに頑張って来たと思う。
マフィアになりたくないけど皆を守れるならと思っていた。大切な人達だから。


でもそう思っていたのは自分だけだった。

家庭教師や友人達に暴力振るわれ暴言を吐かれ
両親には頭ごなしに謝罪しろと怒鳴られ見捨てられた。

信じて貰えなかった。

セーラに嵌められたことより苦しくて悲しかった。




例え無実が晴れても以前のように接することなんて出来ない。

ツナは両親、家庭教師、友人達の汚い一面を見てしまった。

制裁、躾と称した暴力や暴言を楽しく感じる一面が彼らはあった。

仲直り出来てもまたいつか裏切り、暴力を振るってくるじゃないかと怯えながらの生活は無理だ。幼い子供達にも無意識に暴言や暴力を振るっても平気な顔をするかも知れない。

もう俺を信じて守ってくれたランボ達が傷付くのは嫌だ!

俺はもう仲直り出来なくて良い!でも・・・。


「骸、俺はあの人達やボンゴレと決別したいよ。」

ツナは決別したいがボンゴレは黙ってはいないだろう。ツナには初代直系の血が流れている。決別しようものなら拉致して幽閉くらい平気でするだろう。


骸にとって今回の件で厄介なのはツナの性格だ。
ツナの優しい性格ならリボーン達を許してしまう可能性がある。そうなれば骸は無理に引き離すことは出来ない。そんなことをしてしまえば逆に骸がツナから引き離されてしまうからだ。

『綱吉君を傷付けてしまいましたが、この様子なら簡単にボンゴレから奪うことが出来ますね。』


ツナに骸はこれは相談なんですが聞いて下さいと優しくツナの頭を撫でる。

「沢田の籍から抜いて雲雀家かその親戚筋の養女になりませんか?」

ツナは余りのことに唖然とする。何で雲雀が出てくるのか、そもそもこの二人は顔を会わせれば忌々しいとばかりに戦うほどの仲の悪さだ。

骸はツナの考えていることが分かり苦笑いだ。

「元々雲雀恭弥は君を信じていましたよ。ただ風紀委員は目立ち過ぎてあの女は警戒して証拠を掴めなかった。だから僕と手を組んだんですよ。」

雲雀と骸が手を組む日が来るなんてとツナは目を真ん丸にした。

「話を戻しますが、綱吉君どうしますか?雲雀恭弥はいつでも出来ると言っています。勿論子供達も必要があれば保護してくれるそうです。」


「俺、雲雀家の養女になるよ!」

自分の為に。子供達の為に。そして信じてくれた骸達の為に。

ツナは決意した。


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