FOG&MIST

霧と雲の取引






雲雀は応接室に骸とクロームを通し適当に座れと言い、草壁にお茶の準備をさせた。ただし自分とクロームの分だけだ。

骸は最初から自分の分は用意しないだろうと検討を付けていたが内心「いい根性してますね!アヒル!」と毒を吐いていた。



「君はあの雌豚女を取り締まらないのですか?」

骸は単刀直入に聞いた。

「あの風紀違反女は隠すのが上手くてね。」

「雌豚女は人を欺くことに長けているようですから。まあ、穴だらけの嘘を信じる愚者達には呆れますけど。」

「本来なら校則違反で咬み殺してるところだけど赤ん坊が煩くてね。」

セーラはアクセサリーを身に付け、香水を付けていたがリボーンの十八番の「女には優しくするものだぞ。」と五月蝿く言ってくるし、最近は何故かボンゴレも圧力をかけてくる。
流石の雲雀も手出しができない。

「ほう。ボンゴレも雌豚女の方を信じましたか。おそらくアルコバレーノの仕業でしょうね。」

実際、リボーンはツナがセーラを襲いかけ、さらに苛めをしているとボンゴレに報告書を提出しボンゴレもリボーンの報告ならと信じてしまった。

「全く女に優しくしろと言いつつ女の小動物には優しくしてないよね。」

雲雀は呆れながら紅茶を一口飲む。

「君は知っていたのですか!?」

骸とクロームは驚きを隠せない。

「いくら小柄でも男としては細過ぎる。」

気付かない方がどうかしていると骸を鼻で笑う。
骸は今は喧嘩を買っている場合ではないと苛立ちを抑える。

「綱吉君が女性だと知っているなら君は雌豚を信じてはいないと?」

骸は雲雀が風紀違反女と呼び、咬み殺したいと言っていることからセーラを信じてはいないと推測出来るが念のため聞いてみた。

「当たり前でしょ。風紀違反女の言っていることは出鱈目もいいところだよ。本当に忌々しい女だね。」

骸はセーラやセーラを盲信している守護者達を叩きのめしたいが、京子達のような一般人を痛め付ける訳にはいかない。そんなことをしようものなら復讐者の牢獄に放り込まれてしまう。
ならば業腹だが雲雀に協力させ一般人の京子達を咬み殺すなり警察送りにするなりさせようと考えた。

「雲雀恭弥。今回に限り協同戦線を張りませんか?」

「ハァ?何を言い出すのかと思えば僕は誰とも群れないよ。」

雲雀は心底嫌な顔をしたが骸は引き下がらない。

「僕と組めば並中の風紀を正すことが出来ますよ?」

風紀の言葉に反応を見せる雲雀に骸は話を続ける。

「風紀委員では目立ち過ぎて雌豚女は尻尾を出さないから証拠を見つけられないのでは?」

雲雀は柳眉を寄せた。


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