FOG&MIST


マジでここの連中は単純で騙しやすかったわ~と一頻り笑ったセーラはにやつきながらクロームに「そこでねー?」と切り出す。

「骸君に会わせて欲しいの~♪あとダメツナを追い詰めてセーラの手を取るようにするために苛めてくれないかなぁ?協力してよ~?」

「絶対に嫌よ!人を道具のように扱うような人に協力なんかしない!!」

クロームは嫌悪感を顕にし、セーラは笑うのを止め「最後のチャンスよ!」と目を吊り上げた。

「もう一回聞いてあげる!セーラに協力しなさい!これは命令よ!じゃないとダメツナのように嵌めてあんたも痛め付けるように奴隷共を嗾るわよ!!」

痛い目に合いたくなければ言うことを聞けと脅すセーラに、自分の為に守ってくれてる人間を騙して、気に入らない人間を嵌めるなんて。自分なら優しく接してくれて守ってくれてる人に感謝する。騙すなんてあり得ない。クロームは怒りがこみ上げていた。

「皆を騙して嵌めてお姫様気取りの貴方に協力なんか絶対しないから!」

吐き捨てるクロームに「だったら仕方ない
わ~。」とスカートのポケットからカッターナイフを取り出し自分の右頬と左手の甲を軽く切りつけた。

「あんたもダメツナみたいに地獄を見なさい!キャアアアアアアーーッ誰かーーーー!!」

聞くに耐えないセーラの悲鳴に骸とクロームは耳を塞いだ。


数分後複数の足音がしてきて「何があった!」と屋上に入ってきた。

「クロームちゃんが~ヒック、セーラのことがムカつくってカッターでヒックッ」

駆け寄るセーラに「何だって!?」「セーラちゃん怪我してるわっ!」心配する生徒達。

「クローム!セーラさんになんて酷いことをしやがった!」

「ちゃんと土下座して謝るのな!」

「極限に詫びるのだ!」

「クローム、セーラに切りつけるなんて最低よ!」

「クロームちゃんも沢田君みたいな卑劣な人なんだね!」

獄寺、山本、了平、京子、黒川がクロームを取り囲み、ほかの生徒達もそれに混ざった。

「クローム!沢田の野郎と同じとはな!」

「今のうちに制裁してセーラを守るのな!」

「極限に反省するのだ!」

クロームに暴力を振るい出す獄寺達と便乗する生徒達。

「私は何もしてないわ!話を聞いて!」

クロームの言葉に「お前が悪いんだろ」と暴力を振るい続ける。
その様子を見てニヤニヤするセーラ。

ボロボロになったクロームを放置しセーラを守るように屋上を出る獄寺達。


クロームは幻覚のボロボロになった自身を消し、カメラに録れたか確かめ始めた。

【お疲れ様です、クローム。決定的な証拠を手に入れました。】

【はい、骸様。】

そこにはぼろを出したセーラと騙されて暴力を振るう愚者達が醜い顔で映っていた。


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