FOG&MIST


「朝、沢田君が、来て・・・ヒック、セーラのこと、ムカつくって、殴られたの~・・・ヒックッそれにっ、昨日も、ヒックッ、家に帰るときに、怒鳴られヒックッ」

骸とクロームは怒りを感じながらも「早くもかかった!」と胸中で笑った。

昨日の夕方、今日の朝、ツナはヘルシーランドに居るからセーラを殴ることは出来ないからだ。

しかも殴られた顔は右側の頬。

【骸様。あの人頭が悪いかも。この前もだけど右頬に湿布貼ったり、腫らしたり。ボスは右利きなのに。】

【頭が本当に悪いのでしょう。愚犬共も。綱吉君に殴られたら左頬が腫れているはずです。】

セーラが自分で頬を叩いた証拠。


慰められて泣き止んだふりをしたセーラが、クロームに近付いた。クロームは内心、しかめっ面だ。

「クロームちゃん、おはよ~。」

「・・・おはよう。」

セーラの行動に京子は驚きを隠せなかった。屋上の件でクロームはセーラに酷い言葉を投げ掛けたのだから。

「セーラちゃん、あまりクロームちゃんに近づかない方が良いと思うんだけど?」

セーラを心配しながらもクロームを険しい目付きで見やる。
セーラは京子に大丈夫だよ~と言いクロームに尋ねた。

「屋上のこと、セーラは怒ってないよ~。それよりクロームちゃんにお願いがあるの~。」

「・・・?」

骸とクロームは困惑した。

「クロームちゃんと同じ霧の守護者の骸君に合わせて欲しいの~。」

綺麗な笑顔のつもりのセーラだが、ニヤニヤしていて気色が悪く、骸は心底悪態をついた。

【綱吉君の無実を晴らす必要が無かったら殺してますね!】

【私も同感!】


「セーラさん!骸は危険です!」と獄寺が騒ぐがセーラは気に止めず話を進める。

「クロームちゃん、お願い~。骸君と話してみたいからセッティングして欲しいの~。」

【気色悪い声で呼ばないで欲しいです!】

骸は全身鳥肌だ。

「骸様は私の言葉なんかで動く人では無いわ。」

正確には私が頼んだとしても骸様は貴方には会いたくないから!

「そうなんだ~?それじゃ仕方ないわ~。無理言ってごめんねー。」


何よ!セーラにまた逆らいやがって!セーラの頼みなんだから何がなんでも、どんな手を使っても骸君に会わせなさいよ!

セーラは怒り心頭だった。


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