FOG&MIST
『やはり、並中に潜入してセーラ・バードンや愚者共の様子を見てみますか。』
骸は幻術で姿を消して潜入する事を考えていた。ただ一つ問題があって頭を悩ませていた。
『あのアヒルのことです。姿を消した僕を感知する可能性が高いでしょうね。』
雲雀は骸を見ればトンファーを出して闘いを挑んで来るだろう。しかし今回ばかりは戦闘狂に構っている場合ではない。愛しい子を助けなければならないのだから。
ソファーに座って考えている骸にクロームがココアを渡しながら話しかけた。
「骸様。私、明日並中に行って証拠を掴もうと思ってます。」
クロームの言葉に骸は険しい顔をする。恐らく危険な方法だろう。
「クローム、お前は何をするつもりなのです?」
「ボスの有幻覚を作ってあの人の前に出せば何処かで尻尾を出す筈です。」
「クローム、それは危険を伴う可能性があります!セーラ・バードンや愚犬共はともかく、アルコバレーノには感付かれる可能性があるんですよ。」
「それでもボスをあんな目に合わせた人達を私は許せません!」
骸は口を開きかけ閉じた。クロームの目はどんな酷い事をされても構わない。
覚悟を決めた目をしていた。
骸は覚悟を決めた人間に説得するのは難しいことを知っていた。
覚悟を決めた人間は諦めないからだ。
ツナも覚悟を決めた時はとてつもない強さを発揮し、諦めなかった。
クロームも普段は大人しい方だが、覚悟を決めたら強くなれる。
骸はクロームの意志を汲み取った。
「クロームの気持ちは分かりました。ですが僕も並中に行きますよ。お前一人を危険な目に合わせるわけにはいきませんから。」
「骸様。ありがとうございます。」
こうして二人は並中に潜入することにした。
「僕とクロームで明日、並中に潜入しセーラ・バードンやアルコバレーノの証拠を集め綱吉君の無実を見つけ出します。」
ツナ、クローム、千種、犬、MM、フランは骸の言葉に耳を傾ける。
「明日はお前達に綱吉君を守ってもらいます。」
「めんどいけど分かりました。」
「骸しゃんの命令だびょん。守ってやるぴょん。」
「骸ちゃんのお願いじゃあ仕方ないわね。」
「師匠に殺されたくはないのでミーもやりますー。」
骸の命令に了解する千種や犬達。
明日に備えるため千種達は調達しに出掛けて行った。