FOG&MIST
寝ているツナを起こさないように骸は静かに部屋に入る。
骸は悲痛な表情でツナを見つめる。
クロームによって包帯や湿布などで手当てをされたツナ。
クロームの話では身体中が傷だらけで、ろくに手当てをされていないらしいと。
顔色も悪く、少し痩せた体。
推測だが、母親である沢田奈々が食事を与えていないのだろう。
何にせよ、ツナに話を聞かないと真実は分からない。
クロームの話はあくまで第三者での目線で真実では無い。
骸はツナの手を優しく握り、その日の夜ツナの側にいた。
痛々しいツナに涙を流しそうになりながら。
「ん・・・・・・。」
ツナはゆっくりと目を開き、天井が見えた。
明らかに自室では無いことが分かり、痛みを訴える体を叱咤しながら起き上がる。
「ああ、起きたんですね。」
骸がツナの様子を見るため部屋に入って来た。
「骸?」
ツナは骸の登場に驚き、目を丸くした。何故骸がいるのか?
「ここはヘルシーランドですよ。」
「何で俺がヘルシーランドに?」
確か自分はあの公園にいたはずなのに。しかし、公園の植え込みに隠れた後の記憶がないことに気付く。
「クロームが綱吉君を見つけて、呼ばれた僕がここまで運び、手当てをしました。」
ツナは手当てをしたと言う言葉に反応し、両手で体を抱き締め、『見たの!?』と骸に目で訴えた。
「怪我の手当てをする為、僕がボタンを外したときにサラシで巻かれた体を見ただけです。」
裸は見てません。その後、クロームに追い出されましたから。だからそう睨まないで下さい。骸は肩を竦める。
「・・・俺の本当の性別、分かっちゃったよね?」
力のない声でツナに骸に問う。
「ええ。何故性別を偽っていたのかは大体察しがつきますが。ボンゴレの都合でしょう?」
骸はそれよりと話を変え、本題に入る。
「綱吉君、クロームはアルコバレーノ達にセーラ・バードンとやらを襲ったと聞かされたそうです。」
クロームの話を聞いた骸が制裁をしてくるかもしれないとツナは青ざめ、身構える。
身構えるツナに骸は優しい顔で、安心して下さいとツナの頭を撫でる。
「クロームが言うには、あの女が言っていることは信憑性がないと言ってます。それに女性の君があの女を襲えるわけがない。話をしてくれませんか?」
ツナは目を見開く。
「骸は俺の話を聞いてくれるの?制裁しない?」
骸は制裁をするなら手当てなどしませんと軽くデコピンをした。
「話をするのは辛いと思いますが、君の身に何が起きたのか教えて下さい。クロームが心配していますし、勿論僕もです。」
ツナは骸の言葉にボロボロと涙を流す。
「骸、心配してくれて・・・ありがとう。」
骸は少し困った顔で、ツナの涙を指で拭い取った。