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恋はね、片思いをしてる時が一番楽しいのよ。
実ってからは、終わるまでのカウントダウンが進むだけ
そんな中学生に聞かせるにはおおよそ正しいといえない格言を、母から授かった。
高校入学式の朝だった。
いや、娘の新たなる門出の朝にそんなしみったれた格言を言わないでよ。
ともあれ、高校卒業後、定職に就かず水商売、誰が父親かもわからぬ私を、ここまで女手一つで育ててくれた母の言葉。
素直な私は、花の女子高生という人生最大の青春時代を”片思い”という非生産性の遊びで消費させることを決めたのだった。
そんな決意から早8年……
私の片思いはまだ続いていた。
片思いをするためのポイントは両想いにならないこと。
つまり絶対に私に恋をしない相手を選ぶことが必須条件だった。
うっかり両想いにでもなってしまったら、片思いにならない。
だからといって私の好みの相手じゃないと私が片思いをできない。
これに入学式に行く電車の中で気づいた私は困った。
なんせ自慢ではないが、私は顔が良い。
ちょっと親切に接したら勘違いした男子から「もしかして俺のこと好きなの!?」と言わせてしまう女だ。
自意識過剰ではないことは、中学時代の実績から証明できる。
むしろ自意識過剰であればどれほどよかったか。
いろりろ困っていた私だが、入学して数日。
悩みは解決された。
いたのだ。
ちょうどイイ男子が。
それが、折原臨也だ。
彼はクラスこそ違えど、同じ学年。
学年どころか学園中に響き渡るほどの問題児。
私が彼を一方的に眺めることができて、なおかつ向こうは私を認知しにくい。
私が片思いをすれど、向こうは私の思いに気づかない。
つまり両想いにならない。あと顔がイイ。
性格こそ問題だが、そこはさほど問題ではない。
なんせ、彼氏になる訳じゃないし。
折原君と平和島君をはじめとする、我が校のアレコレは対岸の火事として見るならなかなかおもしろおかしいコンテンツだ。
眺めれば目の保養になる。
あんな男だから、友達とライバルになることもない。
向こうは私を認識しないから、両想いにもならない。
ずーっと片思いできる相手。
それが折原臨也だ。
彼を見つけてからの私の生活は楽しかった。
花の女子高生。
友達といつまでもしゃべって、好きな男の子を眺めて、勉強はほどほどに。
放課後は空き教室か公園かゲーセン。
お金があればカラオケかファミレスでいつまでも。
そんななーんにも起きない毎日毎日同じ日々、でも毎日違うキラッキラの毎日を過ごして半年くらいたった頃。
彼が、私に気づいた。
正しくは、私に声をかけていた。
今思えば彼は私のことなんてとっくの前から気づいていたんだろうけど。
放課後に、図書室で委員会に出ている友達を待っていた時だ。
漫画に夢中で、私は声を掛けられるまで、人が近づいてきたことに気づいていたなった。
隣の席の椅子が引かれて、待っていた友達が来たのかな、なんて顔をあげた。
「はじめまして。扇谷ヒツギさん」
「……はじめまして、折原臨也くん」
思ってもみない相手だから驚いて、なんとか出した声はかすれてしまった。
彼は”物知り”だってことは知ってたから、私の名前を知ってることはわかっていた。
おおかた、この学園にいる人間の顔と名前とエトセトラ、彼は覚えているに違いない。
でも、なぜ彼が私に声をかけてきたのかが、まったくわからなかった。
「君って俺のこと好きだよね」
「その手のセリフ、何度か聞いたことあるけれど、そんなに自信満々に言われたのは初めて。あと当たってるのも」
ニヤニヤとゆるませていた口が、真一文字になった。
「へぇ、認めるんだ。もっと慌てたり、恥ずかしがったり、否定したり、しないんだ」
「ん-私なりに熱視線を送ってる自覚はあったし、折原君がそれに気づかないほど抜けてる人とは思っていない。今日、こうやってお話しすることになるとは思ってなかったけれど。だから、それは驚いてるよ
「あ、慌てふためいた方が良かった? 少女漫画のヒロインみたいに」
「正直、そうなると思っていたよ。俺は少し、君を見くびっていたみたいだ」
「そう」
遠くで、誰かが廊下を掛けてくる音が聞こえる。
折原君はそれを合図に図書室を出て行った。
入れ違いで友達が入ってくる。
「え!?どういうこと!?」
きっとこれが、折原君が想像していた、リアクションなんだろうなと、思った。
実ってからは、終わるまでのカウントダウンが進むだけ
そんな中学生に聞かせるにはおおよそ正しいといえない格言を、母から授かった。
高校入学式の朝だった。
いや、娘の新たなる門出の朝にそんなしみったれた格言を言わないでよ。
ともあれ、高校卒業後、定職に就かず水商売、誰が父親かもわからぬ私を、ここまで女手一つで育ててくれた母の言葉。
素直な私は、花の女子高生という人生最大の青春時代を”片思い”という非生産性の遊びで消費させることを決めたのだった。
そんな決意から早8年……
私の片思いはまだ続いていた。
片思いをするためのポイントは両想いにならないこと。
つまり絶対に私に恋をしない相手を選ぶことが必須条件だった。
うっかり両想いにでもなってしまったら、片思いにならない。
だからといって私の好みの相手じゃないと私が片思いをできない。
これに入学式に行く電車の中で気づいた私は困った。
なんせ自慢ではないが、私は顔が良い。
ちょっと親切に接したら勘違いした男子から「もしかして俺のこと好きなの!?」と言わせてしまう女だ。
自意識過剰ではないことは、中学時代の実績から証明できる。
むしろ自意識過剰であればどれほどよかったか。
いろりろ困っていた私だが、入学して数日。
悩みは解決された。
いたのだ。
ちょうどイイ男子が。
それが、折原臨也だ。
彼はクラスこそ違えど、同じ学年。
学年どころか学園中に響き渡るほどの問題児。
私が彼を一方的に眺めることができて、なおかつ向こうは私を認知しにくい。
私が片思いをすれど、向こうは私の思いに気づかない。
つまり両想いにならない。あと顔がイイ。
性格こそ問題だが、そこはさほど問題ではない。
なんせ、彼氏になる訳じゃないし。
折原君と平和島君をはじめとする、我が校のアレコレは対岸の火事として見るならなかなかおもしろおかしいコンテンツだ。
眺めれば目の保養になる。
あんな男だから、友達とライバルになることもない。
向こうは私を認識しないから、両想いにもならない。
ずーっと片思いできる相手。
それが折原臨也だ。
彼を見つけてからの私の生活は楽しかった。
花の女子高生。
友達といつまでもしゃべって、好きな男の子を眺めて、勉強はほどほどに。
放課後は空き教室か公園かゲーセン。
お金があればカラオケかファミレスでいつまでも。
そんななーんにも起きない毎日毎日同じ日々、でも毎日違うキラッキラの毎日を過ごして半年くらいたった頃。
彼が、私に気づいた。
正しくは、私に声をかけていた。
今思えば彼は私のことなんてとっくの前から気づいていたんだろうけど。
放課後に、図書室で委員会に出ている友達を待っていた時だ。
漫画に夢中で、私は声を掛けられるまで、人が近づいてきたことに気づいていたなった。
隣の席の椅子が引かれて、待っていた友達が来たのかな、なんて顔をあげた。
「はじめまして。扇谷ヒツギさん」
「……はじめまして、折原臨也くん」
思ってもみない相手だから驚いて、なんとか出した声はかすれてしまった。
彼は”物知り”だってことは知ってたから、私の名前を知ってることはわかっていた。
おおかた、この学園にいる人間の顔と名前とエトセトラ、彼は覚えているに違いない。
でも、なぜ彼が私に声をかけてきたのかが、まったくわからなかった。
「君って俺のこと好きだよね」
「その手のセリフ、何度か聞いたことあるけれど、そんなに自信満々に言われたのは初めて。あと当たってるのも」
ニヤニヤとゆるませていた口が、真一文字になった。
「へぇ、認めるんだ。もっと慌てたり、恥ずかしがったり、否定したり、しないんだ」
「ん-私なりに熱視線を送ってる自覚はあったし、折原君がそれに気づかないほど抜けてる人とは思っていない。今日、こうやってお話しすることになるとは思ってなかったけれど。だから、それは驚いてるよ
「あ、慌てふためいた方が良かった? 少女漫画のヒロインみたいに」
「正直、そうなると思っていたよ。俺は少し、君を見くびっていたみたいだ」
「そう」
遠くで、誰かが廊下を掛けてくる音が聞こえる。
折原君はそれを合図に図書室を出て行った。
入れ違いで友達が入ってくる。
「え!?どういうこと!?」
きっとこれが、折原君が想像していた、リアクションなんだろうなと、思った。
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