1章 【幼少期編】
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あの後突然目の前が明るくなり外に出られたんだ、と嬉しくなったがあまりの眩しさに思わずぎゅっと目を瞑る
すると目に温かい大きな手が被さる
「そりゃ1年もあんなクソみたいな辛気臭い暗い地下牢にいたら日の光は目が痛いでしょ?強く目を瞑ると目が痛くなるし隠してあげるから楽にしな」
そう言ってくれた声は優しくそのままお言葉に甘えることにした
「ありがとうございます…あの、私これからどうなるんですか?」
「ん?あぁ、そうだね取り敢えずは高専に帰る為に村から少し離れた所に車待たせてるしそこで詳しく話そうか」
その方が多少日の光もマシになるだろうしね
そう言いながら五条さんはゆっくりと歩く
ゆらゆらと心地いい揺れと外に出られたことへの安心感で眠気におそわれる
それに気付いたのか小さな声で「眠いなら寝ちゃっていいよ」とのお許しが出て私はお言葉に甘えて夢の世界へと旅立った
「寝ちゃったかな」
この間会いに行った伏黒恵と同じくらいの年齢かその少し下くらいか不健康に痩せ細った身体は見るに耐えなかった
「はぁ…傑もあん時こんな気持ちだったんかな…考えたくもねぇけど」
数ヶ月前、離反したかつての親友を思い出しながら補装されていない坂道をひたすらに降っていく
深く眠っているから大丈夫であろうと目を覆っていた手を退けあどけなく眠る紅奈をじっと見つめた
すると突然ぱちっと目が開き思わずはっ!?と声を上げてしまった
しかし先程までとガラリと変わり禍々しい雰囲気を纏い、綺麗だった青い瞳は髪よりも真っ赤な赤い瞳に、そして瞳孔は縦に細くなっている
ただごとじゃないな…と思い紅奈を下そうとすると「《危害を加えるつもりはない。コイツは素足だからおろすな》」と言われたため一先ず従っておく
「キミは何者なのかな?感じからしてずっと彼女と一緒にいるよね?」
「《生まれた時から一緒だ…そうだな、クレナの言葉を借りるなら相棒、ということになる》」
「ふーんまぁ実がいないなら良いけどさ」
「《おい小僧、ひとつ言っておく。コイツは今まで2度…いや3度人間に暴力などの仕打ちを受けてきた…貴様らも同じことをするのであれば容赦はしないぞ》」
キッと強い眼光に心の中でコワァ、と思いつつもこのナニカはよほどこの子が大切なのが伺えた
「(最強の保護者…ってところかな)」
怒らせないようにしとこう。そう思いながらこの保護者的存在に
「安心してよそんな事僕がするはずないでしょ?ところでさっきははぐらかされたけどキミは何者?呪霊…って感じでもないし二重人格とも思えない」
「《ハッ、誰が小僧なんぞに教えるか。聞きたきゃコイツにでも聞け》」
そう言って再び瞳が閉じ禍々しい雰囲気が無くなった事で紅奈に戻ったことが分かった
はぁ…とため息を吐きながらもしかしてとんでもない子拾ったか?と思いつつ丁度待たせている車まで到着しそのまま乗り込み呪術高専へと車を走らせた
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「はっ!!寝過ぎた!?……此処どこ」
久々にぐっすりと寝てしまい勢い良く起き上がるとそこは見知らぬ場所でベッドに寝かされていた
外を見ると綺麗な夕焼けが見える
《起きたか》
「あ、九喇嘛おはよ此処どこ」
《しらん、ワシもあの後寝たからな。後で小僧にでも聞け時期来るだろ》
そんな他愛も無い話をしていたらガラガラと引きドアの開くおとが聞こえ「おっ、起きてんねおはよ」と五条さんの声が聞こえた
「あ、五条さんおはようございます…すみません寝ちゃって…」
申し訳なさそうな顔をすると五条さんは近づいてきてベッドの端に腰を下ろした
「構わないさ、疲れてたんだろうし…それにしても見た目に反して礼儀正し過ぎない?もっと軽くていいよ、試しに俺のこと名前で読んでみなよ」
にっこにこした笑顔に何故か逆らえなくて小さな声で「悟…さん」と呟くと満足げに頷いた
「えっと、目上の人には礼儀良くしなきゃって…」
「えー別にいいよそんなん、少なくとも俺には軽くしな、疲れるでしょ?」
「うー…わかった…それで、ここは悟さんの言ってた所?」
押し負けてしまいもう本人がいいって言ってるしいいや、と敬語を外した
恐らくここがさっき言っていた高専って所なんだろうけど…私これからどうなるんだろうか
不安に思ってるとそれがバレたのか悟さんは「心配しなくていいよ〜」と緩く言った
「まぁ最初は紅奈を連れて帰って来たことに色々言われたけど言い伏せたし安心しなよ、何があっても責任持って俺が守るからさ」
そんな事こんな顔のいい人に言われたら照れるなぁ、なんて思ってるとふと、彼の一人称が変わってるのに気付いた
「あれ?悟さんって一人称“俺”でしたっけ…?」
「あ、もしかして“俺”って言ってた?前はそうだったんだけど今直しててさ、たまぁに間違えんだよね」
「そうだったんですね」
「それより敬語に戻ってる」
「え、あ、ごめんなさ、あ、ごめん?」
「プッ、紅奈面白すぎ、いいよゆっくり慣れてくれれば。それじゃ肩の力も少し抜けたところでちょーっとあって欲しい人が居るんだけどいいかな」
少し真面目な雰囲気を滲ませ、さっきまで私の為に場を和ませてくれていた事にようやく気付いた
「ありがとう…うん。いいよ悟さんの会わせたいって言う人なら信頼できる」
「そう言ってもらえると嬉しいよ、さっ行こうか見た目は厳ついけどいい人だからさ」
そう言って私をベッドから立たせ持って来てくれたであろうスリッパを履き悟さんに着いていった
私が6歳と言うことや悟さんが学生さんだと言うこと(高身長ってのとサングラスで年齢分かりづらくて少しびっくりした)
この学校がどんな所なのかを簡単に教えてもらった
思ってたよりも難解な話を聞きながら廊下を歩いていると一つの扉の前で足を止めた
悟さんはめんどくさそうにしながらも扉を開く
「えっ、悟さん⁉︎普通一言言ってからじゃ…」
「いーのいーの、先生ーさっき話した子起きたから連れてきた…って何だよ硝子お前もいんのかよ」
ひょこっと悟さんの後ろから中の様子を覗くと確かに少しばかり強面な男性と、その隣に若い女性がいた。
彼が硝子、と呼んでいたから恐らく同級生だろう
「悟、その子の言ってる通りだぞ。少しはちゃんとしろ」
「へいへい、で硝子がいる理由は?」
「んなもん決まってるだろ、此処に女は少ないんだし…それに五条が連れて来たって事で道連れくらっただけ」
「なーるほど。まぁ確かに同性が近くにいるのはありがたいな。紅奈この強面のオッサンが担任の夜蛾正道、こっちの女は同級生の家入硝子」
紹介され家入は「よろしく〜」と手をひらひらさせ、夜蛾は何も言わず紅奈を見つめていた
「この度は助けて頂きありがとうございました…波風紅奈です。」
五条の後ろから前に出てペコリとお辞儀をする
頭を上げた後漸く夜蛾が口を開いた
「悟からの報告書と此処についてから色々話は聞いた。君の親を探して届けるでもいい、悟が言ってる通り此処で保護する事も出来る、君はどうやら呪術師の素質があるみたいだからな、しかし呪術師と言うのは決して良い死に方はできないぞ…君は一体どうしたい答えを聞こう」
相手は6歳の子供だと言うのに死に方云々の話をするなんてなんて人だ…
そう思いながらもこの人はもしかしたら私の本質を見抜いているのかもしれない
だからこそ、直球に聞いてくる…
特殊な学校の教師というのは皆見抜くのが上手いのかな?
どうしたいか?そんなの決まっているさ
「私は、私を売った母親の元へは帰りたくありません。下手な死に方する位ならここで学んで皆さんの力になりたいです。きっとそれが私の“今”の存在理由になるから」
やっと今世でも術が使えたり九喇嘛が具現化出来るようになった理由が分かった
きっと私は此処に来るべきだったんだと、そして此処で此処にいる人達と悟さんがさっき話してくれた“呪霊”というものと戦うために
それが“今世”の私の生きる理由だ
私は思ったことを素直に伝える
すると暫く沈黙が続き居た堪れなくなった私は三人の様子をちらりと盗み見した
…………するとどうだろうか三人はポカンとした表情を見せていた
しかし夜蛾さんと悟さんは数秒ですぐ元の表情に戻る、家入さんは未だポカンだ
「悟から聞いていたが…まだ一桁なのに大人びすぎではないか?やはり環境の問題か…」
「だぁから言ったでしょ⁉︎もっとガキらしくすりゃいいのに‼︎」
「確かに…五条より大人だわ」
「あ”?おい硝子それどーゆうことだ」
三人がひそひそ話をする
おーい私を置いてかないでぇ
そう思っていると《見てられん》そう声が聞こえたと同時にポンッと音が聞こえた
「えっ九喇嘛待って!?」
びっくりして声をあげると話し合いをしていた三人が振り返り、また目を見開いた
そこにはライオンサイズの九喇嘛が姿を表していた
突然のことに三人は各々戦闘態勢をとる
「え、待ってやばくない?」
「九本の尾の狐…特級仮想怨霊、九尾の狐か?」
「わー、紅奈もしかしてこの狐キミの相棒くん??」
「この子は無害です‼︎短気なところがあるんででて来ちゃったのかと…すみません。って何で悟さんがそれ知ってるんですか」
「え?彼が教えてくれたからね」
「《おい小僧余計なことを言うな》」
「ややこしくなってきたな…悟、紅奈、説明しろ」
そう言われて悟さんは私が眠っていた時の話を、私は信じてもらえるか分からないけど全てを…前世の事そして九喇嘛の事をきちんと話した。話してる途中でいつの間にか九喇嘛は消えてた
話し終わると三人とも半信半疑だったけどこの呪術師の世界は何でもアリらしく「ま、そういうのがあってもおかしく無いだろ。だからそんな子供なのに大人びてるのか」で片付いたのだった凄い
そんなこんなできちんと話をした私は晴れて此処に保護される事になった
しかしまだ6歳で本来ならば小学校に行かなきゃ可笑しいと言うことで書類上私は夜蛾さんの養子的な扱いになり(苗字は変えないでもらった)小学校は卒業すること、中学は最初は行かず手伝いをすると言ったが卒業はしろと怒られた為通信制で卒業資格を取ることを条件に手伝いの許可を出された
住まいは高専の女子寮に住む事になった、何かあった時の為に硝子さん(そう呼べって言われたあと敬語なし)の隣の部屋
修行は空いてる時間を使って手の空いてる人がつける事になった。
色々急なことが多すぎてまだこれが夢ではないか、覚めたらまたあの暗い牢の中ではないか、などと嫌なことが頭をよぎるが《これは現実だ馬鹿者》と九喇嘛の声が聞こえてこれが夢ではないと嬉しくなった
「おーい‼︎ 紅奈。お前の歓迎会するから早く行くぞ〜。夜蛾先生の奢りだぞ」
悟さんの声が聞こえ私は足を動かした
4*はじめまして高専
この世界に来て初めて幸せって感じたよ
ありがとう