2章
夢小説設定
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竹刀と長棒のいい音が辺りに響き渡る
「はい。死んだ」
「だっ‼︎」
ゴッと鈍い音が憂太先輩の額から鳴る
私は自分が受けた訳じゃないのに思わず額を押さえて「いたっ」と言ってしまった
「また私の勝ちだな」
「最後のいりました?」
真希先輩はニッと笑いながら言う
憂太先輩は額をじんじんさせながら汗を流している
「甘えんな常に実戦のつもりでやれ…罰(いたみ)があるのとないのとじゃ成長速度がダンチなんだよ」
「__‼︎ もう一本お願いします‼︎」
憂太先輩は再び竹刀を構えて真希先輩に向かっていった
それを私とパンダと棘先輩は座って、悟さんは立ったまま様子を見ている
「憂太が高専にきて3ヶ月…かなり動けるようになったな」
「しゃけ」
「受け身の取り方も分かってきたしね」
「性格も前向きになったよねぇ」
いい動きで攻撃を繰り返す2人を見ながら私達は最近の憂太先輩について話す
それに真希先輩も楽しそうだ
「すじこ」
「確かに真希も楽しそうだ 今まで武具同士の立ち合いってあんまなかっ…」
「パンダ??」
言いかけて急に話すのをやめたパンダに不審に思い見るとズギャンッといった顔をしていた
そして急に「憂太ァ‼︎ちょっと来い‼︎」カマン‼︎と叫び出して私と棘先輩はなんか始まった…と遠い目をする
「オマエ 巨乳派?微乳派?」
突然の発言に周りは「(今⁉︎?)」となるがパンダは止まらないし憂太先輩も律儀に応えようとしている
「あんまり気にしたことないんだけど…」
「ふんふん」
「人並みに大きいのは好きかと…」
「ほっほーう」
もうこのパンダどうにかして…段々頭が痛くなってきて手を額に当てる
そうしてる間にパンダは「真希‼︎」と大声で先輩を呼んでいて「あ?」と返事をし振り返ると…
<脈ありデース>
体全体で丸を作ってすっごい笑顔で表現するパンダに真希先輩はブチギレた
「何勘違いしてんだ殺すぞ‼︎」
「照れんなや小学生か‼︎」
「おーし殺す‼︎ワシントン条約とか関係ねぇかんな‼︎」
「もー‼︎やっぱりこうなる‼︎2人とも落ち着いて‼︎」
わかっていたがや2人の乱闘が始まり私は急いで止めに入った
てゆうかなんでワシントン条約
乱闘を止めているとパンパンッと悟さんが手を叩いて「はーい集合」と号令をかける
「そこの3人は引き続き鍛錬してもらって、棘 ご指名。君に適任の呪いだ ちゃちゃっと祓っておいで」
「しゃけ」
こくり、と頷くと憂太先輩が「ご指名…」と呟く
するとグデンと地面に伸びたパンダが説明をする
「棘は一年で唯一の二級呪術師 単独での活動も許されてんの」
「へぇ〜凄いなぁ」
この言葉に「(オマエ/先輩特級じゃん)」と真希先輩と考えがシンクロした
そのあとあれ?と憂太先輩が首を傾げる
「そう言えば僕が初めてここに来た時波風さん任務だったよね?あれは?」
「おっ‼︎いい事思い出したね憂太くん‼︎この
きゅぴーんっとポージングをキメる悟さんにうわぁと顔を歪めた
それを気にせず話し始める
「紅奈はまだ高専に在籍してる訳じゃないけど一応呪術師としては五年くらい前から登録してるんだよ。ランクは一級呪術師で憂太の一個下だね…正直実力は僕の次くらいだよ」
だからこの子も単独任務あるし指名もたっくさん
と説明する…悟さんの次くらいに強いは語弊がありすぎて恥ずかしい…
その話に憂太先輩は「なるほどね」と納得していた
「ま、紅奈の話はこれくらいにして 憂太も一緒に行っておいで、棘のサポートだ」
「サポート…」
「ってよりは見学だね 呪術は多種多様…術師の数だけ祓い方があると思っていい 棘の“呪言”がそのいい例だ、しっかり勉強しておいで」
その言葉に緊張している先輩に私はとんとん、と肩を叩く
「大丈夫ですよ、棘先輩強いしいい勉強になると思います。今度私の任務にも一緒に行きましょ」
にっこりと笑うと「波風さん…」と少し肩の力が抜けたように笑ったのでそのまま2人を見送った
「あのふたり大丈夫かなぁ…まだ憂太先輩棘先輩の語彙理解厳しそうだし…」
「大丈夫だろ、そんな心配する事じゃねぇよ」
「だな。さ、俺たちは鍛錬続きやるぞ〜」
「今日は紅奈1人の2対1な」
「え、ひどい‼︎」
さ、やるぞ。と有無を言わさず鍛錬が始まったのだった
その日任務から帰ってきた2人は行った時よりも仲良くなった雰囲気がして嬉しくなった
因みに任務後の2人より私たちの方がボロボロで心配された、ちょっと途中からパンダがまた真希先輩をからかい始めてバトロワ方式の大乱闘が起こったからなのだけど…
_____
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「棘の“呪言”はなァ生まれた時から使えちゃったから昔はそれなりに苦労したみたいだ 呪うつもりのない相手を呪っちゃったりな」
「境遇としては憂太先輩と近いかな」
「!」
次の日私達は花壇に水やりをしている棘先輩を廊下の窓から眺めがらか話す
「だから入学当初からオマエを気にかけてたみたいでな 誤解されやすい善い奴なんだ、これからもよろしく頼む」
「うん 僕こそ」
「棘先輩と憂太先輩絶対に素敵な友達同士になれますよ」
にっこりとしながらいうと「だといいな」と笑いながら返された
そして突然パゴッと長棒が憂太先輩の頭に直撃した
「オラ昼練行くぞ‼︎」
そこには真希先輩が長棒を担ぎながら立っていた
「あ、そっか」
その様子にパンダはまたニヤニヤと真希先輩を見ていた…ほんと飽きないよなぁ
そんな様子に真希先輩はイラッと「パンダ何笑ってんだ‼︎殺すぞ‼︎」と怒鳴った ほらやっぱり
「真希さんちょっと」
「あ?」
「刀に呪いをこめるのもう少しスムーズにやりたいんだけど何かコツとか「しらねぇ」」
「呪力のことは私に聞くな」
無表情な答えに憂太先輩は頭にハテナを浮かべ、私とパンダは何も言わずにいた
「武器に呪力を込めるやり方なら紅奈も同じことしてるしコイツに聞け」
先行ってるぞ。そう言い残しスタスタと歩いて行ってしまった
それをパンダは追いかけ、私と憂太先輩の2人だけになる
「僕なにかまずいこと言っちゃったかな…」
「…先輩は悪くないですよ。でも私からは言えないです」
オドオドしている先輩を安心させるように笑いながら「私たちも行きましょ」とグラウンドに向かった
グラウンドに着くとすでに真希先輩とパンダが組み手を始めていた
それを棘先輩が眺めている
「お待たせしました〜」
「すじこ〜」
私たちに気づいた棘先輩がひらひらと手を振る
「とりあえず憂太先輩の呪力流しの練習でもしましょっか」
「うん。お願いします」
そう言って私と憂太先輩はグラウンドの端の方に移動した
そしてお互い自分の武器を取り出す
私の
「それが波風さんの武器…?クナイって本当に忍者なんだね」
「前にも言ったけど“元”だけどね‼︎クナイは扱いやすいから特注で作って貰ってるんです」
「特注…っていうか前にも言ってたけど“元”って?」
「ふふ、内緒です。さ 特訓しましょ」
軽く誤魔化してささっと特訓を始める事にした
「スムーズな呪力の流し方、でしたっけ?」
「う、うん」
「そうですね〜…ひとまずやってみてくれますか?」
聞くと先輩は刀に呪力を込めた
それを私はじぃっと見つめる
「んー確かにちょっとロスがありますね…指輪から呪力を通してその後に刀に宿す…そっかぁ…」
うんうん、と唸ると先輩は不安そうにこっちをみている
「里香さんとの力のパイプ役は指輪なんですよね?なら里香さんの呪力を移すのが遅いだけなのでこれを早めれば今よりスムーズになると思いますよ‼︎」
そう言いながら私は「九喇嘛」と呼ぶ
するとポンッと九喇嘛が具現化して現れる 急な登場に九喇嘛を初めてみた先輩は凄い驚いていた
「えっ狐⁉︎」
「《突然なんだ…この小僧は新しくきた奴か失礼なやつだ》」
「憂太先輩は初めましてですよね…彼は九喇嘛 私の相棒です」
今日は先輩の鍛錬に一緒に付き合ってもらいます‼︎
元気に言うと嫌な予感がしたのかひくっと口元をひくつかせた
「もしかして…」
「はい、本気の戦闘すれば命の危険を感じて自ずと呪力の込めるスピードが上がると思うんですよ…なので」
追い込んで活路作戦、しましょっか
にっこりと言うと「ひっ」と先輩が声をもらす
それを哀れみの瞳で九喇嘛がみながらため息をつき
「《諦めろ小僧…コイツは見た目に合わず脳筋だ。》」
だから諦めろ 仕方ないからワシも協力してやる。
と哀れんでいた筈なのに楽しそうに言ってきた
グラウンドの端では憂太先輩の悲鳴が響き渡った
それを1年3人は遠くからドンマイ、といった表情で見ている
「うわぁ…哀れ憂太」
「こんぶ」
「私より容赦ねぇもんなアイツ」
しかし3人は紅奈の実力を理解しているからこそ何も言わずに小さく合掌し自分たちの練習に戻った
この鍛錬で成長するであろう乙骨を密かに楽しみにしながら
3*強くなろう
成長した先輩の実力が楽しみだな