3章
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記録
2018年7月
西東京市 英集少年院 運動場上空
特級仮想怨霊(名称未定)
その呪胎を非術師数名の目視で確認
緊急事態のため高専一年生4名が派遣され
内1名 死亡
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「我々の“窓”が呪胎を確認したのが3時間程前 避難誘導9割の時点で現場の判断により施設を閉鎖」
私達は今少年院の檻の前にいる
伊地知さんが今日の任務について説明中だ
「[受刑在院者第二宿舎]5名の在院者が現在もそこに呪胎と共に取り残されており呪胎が変態を遂げるタイプの場合特級に相当する呪霊に成ると予想されます」
「「「(特級…‼︎)」」」
悠仁くん以外はその言葉に冷や汗をかく
「なぁなぁ俺特級とかまだイマイチ分かってねぇんだけど」
「そっかその辺の説明とかまだしてなかったっけ」
悠仁くんの純粋な質問をされてしまい野薔薇は嘘だろ?って起きれた顔をしていたがそこは伊地知さんが簡単に説明してくれた
「本来呪霊と同等級の術師が任務に当たるんだ…今日の場合だと五条先生とかな。」
「で その五条先生は?」
悠仁くんがキョロキョロと探す
「悟先生は出張中だよ〜」
「そもそも高専でプラプラしてていい人材じゃないんだよ…それを考えると紅奈にも同じことが言えるな」
恵くんの一言に悠仁くんと野薔薇はバッと私の方を見る
「はぁ?ちょっと伏黒それどーゆう意味よ」
「コイツ一応一級呪術師だぞ。だからこの4人の中だと1番階級が上だし強い」
はぁ⁉︎と野薔薇と階級を理解した悠仁くんが驚いた顔でこっちを見てきた
更には野薔薇は私に勢いよく掴みかかってきた
「ちょっと紅奈どう言うこと⁉︎アンタ伏黒よりも上な訳⁉︎」
「ちょ、野薔薇落ち着いて⁉︎確かに私一級だけど頭脳云々込みだと恵くんのがすごいんだよ⁉︎」
「だとしても一級で実力が上なのは事実だ…」
「はぁ⁉︎ちゃんと説明しなさいよ‼︎」
「波風って最初会った時も思ってたけど強いんだな‼︎めっちゃ心強い‼︎」
ギャンギャン騒いでいるとゴホンッ、と伊地知さんの咳き込みに全員落ち着きを取り戻す
「続けますね。この業界は人手不足が常…手に余る任務を請け負うことは多々あります。ただ今回は緊急事態で異常事態です。」
確かに私もたまに単独任務に行くこともあるけどここまで不安要素たっぷりなものは請け負ったことがない…
「[絶対に戦わないこと]特級と会敵した時の選択肢は[逃げる]か[死ぬ]かです」
万が一特級にあった場合は何としてでも3人を逃そう。私は心に決めた
「自分の恐怖には素直に従ってください…特に波風さん」
「わたし!?」
「各所からアナタの事をちゃんと見ておけと言われているんです。なので呉々も勝手な行動はしないでください」
各所って誰だよ…とぐぬぬとしていると3人は勝手な行動するなよ。と視線で言ってくる
「君達の任務はあくまで生存者の確認と救出であることを忘れずに」
なんか今とてつもなく嫌な予感がした…的中しないといいなぁ…
そんな事を思っているととおくのほうから呼びかける声が聞こえそちらに顔を向ける
そこには慌てた様子の女性が立っている
「正は…息子は大丈夫なんでしょうか」
その言葉に現場なれしていない悠仁くんは表情が強張る
伊地知さんが小さな声で「面会に来ていた保護者です」と教えてくれて悠仁くんの前に立つ
「何者かによって施設内に毒物が撒かれた可能性があります 現時点でこれ以上のことは申し上げられません」
それを聞くと保護者の女性は「そんな…」と涙を浮かべながら絶望的な表情を浮かべていた
「伏黒、釘崎、波風…助けるぞ」
「当然」
「…」
「そう、だね…(生きれいれば、だけど)」
悠仁くんと野薔薇は気合を入れる
恵くんは多分私とおなじ考えだろう
「帳を下ろします。お気をつけて」
〈闇より出でて 闇より黒く その穢れを禊ぎ祓え〉
その言葉と共に辺りが暗闇に支配されていく
「夜になってく‼︎」
「“帳”今回は住宅地が近いからな 外から俺達を隠す結界だ…紅奈」
帳の説明をした後呼ばれたのでやるべき事を理解した
「〈玉犬〉」
「九喇嘛頼んだよ」
恵くんは玉犬ー白を私は九喇嘛を具現化させた
「《こんな事にワシを呼ぶな馬鹿者》」
「狐が喋った⁉︎」
「コイツ特級仮想怨霊の九尾の狐じゃないの⁉︎」
突然出しちゃったから少しお怒り気味だ
「九喇嘛っていうの。呪霊じゃなよ…私の頼れる相棒。戦闘力抜群だから安心してね。」
ごめんね手伝って、と申し訳なく言うとフンッと言いながらも手伝ってくれるようだ
なんだかんだ言って助けてくれるから優しいよね
「九喇嘛は戦闘要員、玉犬は呪いが近づいたら教えてくれる…行くぞ」
扉を開いた先はどう見ても室内では無く…異様な空間だった
「どうなってんだ⁉︎2階建ての寮の中だよなココ」
「おおお落ち着けメゾネットよ‼︎」
「…(ちげぇよ)」
「恵くんこれ…」
「あぁ恐らく…っ扉は⁉︎」
恐らくこれは生得領域の展開……やだな特級の可能性が高くなってきた
そんな事を思っていると恵くんがドアの存在を聞いてきたからバッと後を見るが扉が消えていた
「ドアがなくなってる‼︎」
「なんで⁉︎今ココから入ってきたわよね⁉︎」
「2人とも落ち着いて‼︎」
「《大丈夫なのかこのガキ共》」
2人を何とか落ち着かせようとしたけど混乱はおさまらなかった
「大丈夫だ。コイツが出入り口の匂いを覚えている」
恵くんが言うと2人は目をキラキラさせながら玉犬を撫で回したりしていて「緊張感‼︎」と怒られていた
「やっぱ頼りになるな‼︎伏黒は オマエのおかげで人が助かるし、俺も助けられる」
悠仁くんの何げない言葉に恵くんは何も言えずにいた
だから私は少しだけ背中をぽん、と叩くと我に帰り「進もう」と言った
「あ、いく前にちょっと待って…はいこれ、荷物になっちゃうけど皆絶対に持ってて」
私はスカートの内側からクナイを三本取り出して渡す
これは?と野薔薇が聞いてきたから簡単に教えた
「そのクナイに私の術式が組み込まれてるからもしはぐれたとしても助けに行けるからお守りとして持ってて」
渋々ではあったけど持ってもらえたから一先ず安心する
帳の外にもクナイを隠して地面に刺してあるから万が一の時は全員回収して逃げる算段を頭の中に立てておく
進んだ先には夥しいほどの死臭が辺りを充満していた
そこには2つの人間だったものと辛うじて原型を保てていたもの
「惨い…」
「3人…でいいんだよな」
そんなk会話をしながら悠仁くんは原型を保っている死体の側に行き服に着いているネーム札を確認していた
「この遺体持って帰る」
「え」
「あの人の子供だ…顔はそんなにやられてないし遺体もなしで[死にました]じゃ納得できねぇだろ」
少し感情的になっている悠仁くんが野薔薇の静止の声も聞かずに言っている
私は九喇嘛と少し離れたところで恵くんと悠仁くんの言い合いを聞いていた
彼は優しすぎる、まるで…
「《ナルトを見ているようだな》」
「やっぱ九喇嘛も思った?ちょっと違うけどどことなぁく似てる気がするんだよね」
「《….このあまい考えが今後小僧の足枷にならなきゃ良いがな》」
そうだね…そう返す
どんどん2人の言い合いがヒートアップしてきて野薔薇が止めに入ろうとしているのが目に入った
「私たちも行こう……⁉︎ガッ⁉︎」
行こうと足を進めた瞬間凄い力に引っ張られその勢いのまま壁に激突し地面に叩きつけられる
「⁉︎ 紅奈⁉︎」
「釘崎も消えたしなんなんだ⁉︎」
恵くんと悠仁くんの声が聞こえるがおもっきし壁に激突したから恐らく肋骨をやった気がする…息吸うと痛くて返事ができない
九喇嘛も一緒に飛ばされたらしく具現化が切れて消えていた
「ガハッ…さいっあく…キレそう…」
「波風大丈夫か⁉︎」
「ちっ…逃げるぞ‼︎玉犬もやられた‼︎釘崎を探すのはそれからだ‼︎」
なに野薔薇消えたの?頭の中ではそう言えてるのにうまく口にできなかった
早く行こう。そう思ったがさっき吹っ飛ばされる前に感じた嫌な予感が目の前に現れた
その気配は間違いなく………特級だ
瞬時に動けた悠仁くんが叫びながら特級に向かって呪具を振りかざすがその腕が一瞬にして吹き飛んだ
それを急いで付けていたベルトで簡易的な止血を酷越す
「げほっ…2人とも逃げてここは私がなんとかする」
「はぁ⁉︎その怪我で何言ってんの‼︎」
「私回復速度早いし、ここは私が適任でしょ。考えて動きな」
スッとクナイを取り出して構えるも2人は許さなかった
「おい‼︎俺が死んだらオマエも死ぬんだろ協力しろ宿儺‼︎」
悠仁くんが叫ぶが落ち着いた声で「断る」と宿儺は言った
どうやら協力はしてくれないようだ…いやしたらしたでなんか怖いけど
「俺に代わりたいのなら代わるがいい。だがその時は呪霊よりさきに
にやにやと楽しそうに笑う宿儺に私達は冷や汗が流れる
「んなこと俺がさせねぇよ」
「だろうな…だが俺にばかり構っていると それこそ仲間が死ぬぞ」
「2人とも動かないで!!水遁ー水陣壁‼︎」
特級の攻撃がくると同時に私は印を結び水壁をだして防いだ
呪力を飛ばしただけのものなのに強力すぎて耐えきれずけほっと軽く血を吐く
これは流石にやばい何とか逃さなきゃ、頭をフル回転していると悠仁くんが声を上げる
「伏黒!波風!釘崎連れて
なにを言い出すのかと思ったらとんでも無いことを言い始めて私は目を見開いた
「できるわけねぇだろ‼︎特級相手に片腕で‼︎」
「けほっ…だから私が残るって言ってるでしょ‼︎」
「アイツ完全に俺達をナメてるんだよ。楽しんでる…時間稼ぎくらい何とかなる 波風はもしものために伏黒についていって欲しい」
「駄目だ!…「伏黒‼︎‼︎」っ」
「頼む」
悠仁くんの真剣な目に私は賭けてみようと思った
だからまだ何か言いたげの恵くんの肩を叩いて「いくよ」と言った
「悠仁くん約束絶対死なないこと。」
「おう」
「信じてるからね」
そう言い残し私達は全力疾走でこの場から抜け出した
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「はっはっ…っ」
「紅奈‼︎」
無我夢中で走っていると激痛が走り少しぐらついてしまう
「ごめん…」
「…大丈夫か?」
「これくらい平気、さっきよりは治ってるから」
「そうか…無理はすんなよ…っ⁉︎」
「…恵くん」
「…あぁ」
気配を感じ一旦足を止めた
そこには報告に無い1体の一級呪霊…
ヤツの体からはボタボタと液体が垂れ、地面に着くとジュッと溶ける…身体に着いたらやばそうだ
「恵くん」
「駄目だ」
私が言う前に却下されてしまう
「まだ何も言ってないじゃん」
「どうせ残るとか言うんだろ却下だ」
「適材適所ってやつだよ。野薔薇を探すのは恵くんの方が適してる。なら私がココに残るのが正解でしょ?」
ぐっと恵くんの顔が歪む
心配性なのは相変わらずだなぁと思いながら安心させるように笑った
「私はまだ死なないよ。恵くんと2人で最強になるって約束してるし…それに久々に周り気にせず暴れたいんだよね、ストレス溜まってるからさ」
恵くんは何か言いたげな表情を見せるがぐっとこらえ「死ぬなよ」とだけ言って走っていった
恵くんがいなくなったことを確認し私は呪霊に向き合う
「私も暇じゃないんだよね…さっさと片付ける。九喇嘛いける?」
《今日は一段とあ使いが雑だな…》
「ごめんて、さっさと終わらせて皆と合流したいんだよねぇ…悠仁くんが心配だから」
《はぁ…これが終わったらワシは暫く寝るぞ》
終わったらね‼︎、そう言って私は胸のところで両手をパンッと叩く
するとブゥン、と全身に九喇嘛の力を流し〈九喇嘛リンクモード〉に変化した
「きなよ…格の違い見せてあげる」
ニヤリと笑うと呪霊もケタケタと笑いながら襲いかかってくる
呪霊は体から垂れている液体を此方に飛ばして攻撃してきた
「わっと…これ当たったらやばいよね…さっさと終わらせなきゃ」
ひょいっと軽々に体液をかわしながら手のひらに私と九喇嘛の呪力を溜め黒い球体を作る
「不意打ちと自爆以外なら私負けないからね‼︎」
《胸を張って言える事じゃ無いぞ》
呆れたツッコミを受けたけど私はそれを聞かなかった事にして一気に呪霊と距離を詰め
「尾獣玉ッッ‼︎」
呪霊の懐に入り込み尾獣玉を撃ち込む
「ギッ」と声を上げながら呪霊は怯みその隙を見逃さずもう一個尾獣玉をお見舞いしてやった
一級呪霊でも強力な尾獣玉2発は耐えられなかったようで「ゲアァァアアア」と気持ちの悪い声を上げながら消え去った
「あーもう‼︎無駄な時間取った‼︎早く合流‼︎」
イラつきながら私は3人のことが心配になり帳の外、クナイを刺してあるところに急いで飛んだ
「伊地知さんっ‼︎」
「波風さん⁉︎無事でしたか‼︎伏黒くんから一級呪霊と遭遇したと聞いて不安になっていたんです」
飛雷針の術で飛ぶとそこには伊地知さんと車の中でぐったりしている野薔薇がいた
「一級は祓いました。野薔薇は無事ですか⁉︎あと悠仁くんと恵くん‼︎2人はどこ⁉︎」
「落ち着いてください‼︎」
焦って言いたいことをマシンガンの如く言うと伊地知さんに止められた
「釘崎さんはこれから治療に向かいます。伏黒くんは虎杖くんの様子を見に行きました」
「…わかりました。野薔薇のお願いします 私は2人の所に行きます」
伊地知さんの返事を待たず私は悠仁くんに渡していたクナイを目印に飛雷針の術で瞬時に移動した
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「悠仁くん‼︎…無事⁉︎…ってあれ め、ぐみ、くん?ねぇ倒れてるのって」
シュタッと飛んでくるとそこには丁度恵くんもいた
しかし様子がおかしい…そこで私は漸く、恵くんの目の前で倒れていて、私が飛んできた横にいる人物に目を向けた
そこには見知った、同級生が心臓部分に大きな穴を開けて倒れている
信じたくなかった
しかしこれが現実…悠仁くんが死んだ
無意識に手を握りしめていたようで手のひらからぽたぽたと血がつたう
恵くんが漸くここで口を開いた
「虎杖が、長生きしろよって」
「うん…恵くんは後悔なくできた?」
「…あぁ…でも」
「でも?」
「悔しい」
「じゃあ強くなろ。悔しく無いように 最強になって2度と悔しい思いをしないように」
雨が降り続ける
「雨…強くなってきたね…これじゃ前が見えないや…」
恵くんを顔はわざと見ないように
「風邪引く前に帰ろっか」
いつものように明るく言った
3*最悪すぎる事態
悠仁くん、ゆっくりやすんでね…
私は自分の頬に伝う雫を無視した