3章
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記録
2018年6月
宮城県仙台市 杉沢大三高校
暗い夜の学校に黒い制服を纏った2人の男女がいた
「百葉箱⁉︎そんな所に特級呪物保管するとか馬鹿すぎるでしょ」
「私も同意見、なぁんでこんなとこに保管してるの」
『アハハ、でもおかげで回収も楽でしょ??だからさくっと回収して早く帰っておいでよ』
早く紅奈に会いたいよ〜。なんて電話越しの相手は言っているが無視だ無視
今優先すべきは百葉箱にある特級呪物ー両面宿儺の指だ
「恵くん、百葉箱ってこれだよね」
「あぁ、これだな」
「嘘だよね」
『ん?どーしたの2人とも』
「……ないですよ」
『え?』
百葉箱に着き開けるがそこは空っぽで呪物の微かな残穢しか存在しなかった
「だから百葉箱空っぽです」
「残穢しか無いんで持ち出されたか何かして少したってるかなぁ…どうする?」
『まじで?ウケるね』
電話越しの彼は何故か楽しそうで隣にいる恵くんはイライラが顔に出ていた
「ぶん殴りますよ……」
『それ、回収するまで帰ってきちゃ駄目だから』
その言葉に私と恵くんは2人で同じことを思った
「「(今度マジで殴ろう)」」
と
『あっ、紅奈〜。回収くらい恵1人で何とかなるだろうし帰ってきても』
言い終わらせる前に携帯の通話を終わらせた
「で、どうする?このままじゃ帰宅NGらしいけど」
「はぁ…とりあえず今日は引き上げるぞ。もっかい対策立て直しだ」
ちっ、と小さく舌打ちをしているのを横目に私もため息をこぼす
折角帰れると思ってたのに誰だよ持ち出したの…
私と恵くんはホテルに帰るべく足を動かしながら少しの苛立ちを隠した
「でもさ、残穢だけなのにここまで色濃く残ってるって流石特級だよね」
「確かにな…だからこそ早く回収しないとまずい事になる」
明日でケリつけるぞ。その言葉に私は頷いたのだった
ー次の日ー
私達は再び問題の高校へと足を運んだ
昨日の夜より呪物の気配が濃く、恐らく持ち出したものがこの場に居るのだろう
恵くんは放課後の学校に潜入出来るように制服の上を脱ぎ、私は制服が特殊な形にしてる為恵くんの脱いだ上を預かって校門付近で待機していた
なぁんかグラウンド付近がやけに騒がしい…青春してるなぁ〜なんて考えていると校門から誰かが全速力で走ってきて車レベルの速さで通り過ぎた
「え…?何人?はやっ、てかいま呪物の気配した⁉︎」
一瞬の出来事に混乱していると後に続いて恵くんが来た
「アイツ速すぎんだろ…クソッ」
「あ、恵くんお疲れ。もしかして今の彼…」
「あぁ、アイツから呪物の気配が強くした。恐らくビンゴだ」
上着を渡し、それを受け取り着ながら悔しそうに言う
「じゃあ恵くんは彼を追って?私はまだ気になる点があるから学校の様子を見ておく」
「わかった。何かあったら連絡する」
「了解。私も連絡する」
そう言って私達は別行動を取る事にした
もうすぐ下校時刻だろうし、もうちょっとだけこの辺りで時間を潰して潜入しよう、そう考えた
_まだこの校内に呪物の気配がするのだから
__________
______
___
「さぁて大体の生徒はいなくなった事ですし、探索しよっか」
完全に閉まりきっている校門を簡単に飛び越え目的の場所へ歩きながら「九喇嘛」と、名前を呼ぶとポンッと音を立てて狐サイズの九尾の狐_九喇嘛が姿を表す
「《こんな時間まで外にいると思ったら何してる馬鹿者》」
「ごめんね。ワンチャン呪物所有者がすれ違えばラッキーって思ってたんだけど…中々来ない上に完全下校時刻になっても出てこなくてさ…こーんな事になっちゃった訳ですよ」
「《人間の考えることは分からん。さっさと済ませるぞ》」
「そだね。遅くなると悟さんに揶揄われちゃうし」
さっさと済ませますか。パチンッと自分の両頬を軽く叩き気合いを入れ夜の学校内に足を踏み入れた
_同時刻・伏黒side_
「虎杖悠仁だな」
アイツ_紅奈と別行動で別れた後近くの病院に到着した
そこには先程の呪物の気配を纏った人間_虎杖悠仁が受付で何か書類を書いているのが目に留まった
「呪術高専の伏黒だ。悪いがあまり時間がない」
そこから虎杖に“呪い”について軽く説明しもう一度呪物を渡すように言う
「いやだから俺は別に良いんだって。先輩に言えよ」
そう言いながら投げ渡された箱の中身を見ると空だった
「(俺が追っていたのは箱にこびりついた呪力の残穢…‼︎)おい‼︎中身は⁉︎」
「だァから先輩が持ってるって‼︎」
「ソイツの家は⁉︎」
「知らねぇよ確か泉区の方……」
胸ぐらを勢いよく掴みながら場所をはかせようとすると虎杖は何か思い出したかのように黙り始めた
「なんだ?」
次の一言があまりにも緊急事態で
「そういや今日の夜学校でアレのお札を剥がすって言ってたな」
その言葉に俺は目を見開いた
その様子に異変を感じた虎杖は言う
「え……もしかして…ヤバい?」
「ヤバいなんてもんじゃない…ソイツ死ぬぞ」
まだ向こうに残っている筈の紅奈に賭けるしかなかった
_伏黒side終_
真っ暗な校舎の中私と九喇嘛は走り続ける
「まっっっじで何処にあるんだってばね‼︎学校広すぎ‼︎」
「《口調戻ってるぞ。恐らくそこ曲がった先の教室だ》」
九喇嘛の嗅覚を元に呪物の場所を探る
口調戻ってるのなんか知らん。それより呪物
「はぁ、はぁ…こ、こだよね」
「《多分な》」
「よし開けるよ‼︎」
ちょっと失礼します‼︎そう言いながら教室のドアを開けるとそこには驚いた表情の2人の生徒と……その手ににいられている呪物“両面宿儺の指”_しかも封印が解かれていた
「まじか(恵くんごめん…間に合わなかった)」
途端に空気が重くなったのを感じ私は心の中で謝っておいた
__________
「ゲホッ…あんにゃろ力一杯投げ飛ばしたな」
あの後大量の呪霊の気配を感じ直ぐ私は影分身を1人出して生徒2人を安全な所まで運ばせた
宿儺の指を回収し少し気が抜けたところを新たに現れた呪霊に投げ飛ばされたのだ
打ちどころが悪かったのか頭から出血していたが気にしちゃいられない
「あっちは分身に頼むとして…九喇嘛さんや、久々に暴れましょうか」
「《チッ》」
舌打ちしつつも戦闘態勢に入ってくれる相棒は心強かった
「もー‼︎数多すぎ‼︎」
「《口ではなく手を動かせ、やる気無いなら戻るぞ》」
「あーっ、ごめんなさい‼︎やらせていただきます‼︎…水遁ー水鉄砲ッ」
沢山の鋭い水の玉を撃ち周りの呪霊を一掃する
「はぁ…とりあえず完了かな…ッ⁉︎」
「《どうした》」
「分身やられた…でも恵くんとさっきの男の子がなんとかしたみたい…でも心配だから“飛ぶよ”」
そう言うと九喇嘛は理解したのか一旦姿を消した
「飛雷針の術」
私がそう呟くと一瞬にしてその場から消えた
「恵くんッ。水遁ー水陣壁」
一瞬で恵くんの所まで飛ぶが2人とも呪霊に攻撃された直後らしく頭から血を流していた
私は呪霊にの次に来る攻撃を防ぐ為に大きな水壁を出現させる
「っ…紅奈」
「えっ女の子⁉︎」
2人とも驚いた表情をみせそんな顔出来るなら大丈夫か、と少し安心した
「2人とも大丈夫?ごめんね…回収間に合わなくて巻き込んだ」
スカートからクナイを一本取り出し構える
「これ、預けるから持ってて。宜しく」
そう言い残し呪霊の方へ向かい攻撃を始めた
呪物を投げ渡されキャッチした虎杖を横目に伏黒が口を開く
「今あの2人を抱えて逃げれんのはオマエだけだ。アイツも少なからず怪我してるだろうから長続きはしない。さっさとしろ、このままだと全員死ぬぞ。呪力のないオマエがいても意味ねーんだよ」
その言葉に虎杖は「オマエもあの子も死ぬ気じゃねーか!」そう苛立ちを感じていたが一つ思った…それを伏黒に確認する
「なぁ、何であの呪いはあの指狙ってんだ?」
「喰ってより強い呪力を得るためだ」
その言葉に確信が持てた
「なんだ、あるじゃん。全員助かる方法」
そう言ってさっき投げ渡されたアレを取り出す
「俺にジュリョクがあればいいんだろ」
そう言って伏黒の静止を振り切り
ゴクンッ
飲み込んだ
「紅奈‼︎そこから離れろ‼︎」
「えっ何で⁉︎」
「何でもだ‼︎」
いやな予感が頭をよぎり紅奈を呼び戻す
シュタッと伏黒の隣に立つ紅奈は何事だと聞いてきた
「ねぇ、一体どうしたの」
「まずい事になった…アイツが指飲み込んだ」
「は…それって」
やばくない…?そう声に出そうとした瞬間嫌な空気がこの場を襲う
先程まで対峙していた呪霊が消されている…そして
「ケヒッ、ヒヒッ」
不気味な笑い声が辺りに響き渡る
「あぁやはり‼︎光は生で感じるに限るな‼︎」
そう言いながら来ていた服を破り捨て街を見下ろす
「(最悪だ!最悪の万が一が出た!)」
「(嘘でしょ…あれ完璧受肉に成功してる…)」
「素晴らしい…鏖殺だ……⁉︎なに?」
宿儺が動き出す瞬間金色の鎖が宿儺を固定した
「金剛封鎖…これで貴方は絶対に逃げられない」
震える声を何とか宥め私は奴を拘束した
それを宿儺は気にも止めずマジマジと鎖を見つめている
「ほう…これは小娘の術か…なるほど確かに解けぬな。しかしそれは貴様が生きれいれば、であろう?」
ニヤリと笑う宿儺が私に手を伸ばす
一瞬息が詰まり来るっ。そう思ったがその手は此方に来ず、自分の首を掴んだ
「え⁉︎」
「‼︎」
それに不快感を露わにした宿儺だが次に聞こえてきた声は聞いたことのあるものだった
「人の体でなにしてんだよ。返せ」
「オマエなんで動ける?」
「?いや。俺の体だし」
一人二役をしているような奇妙な出来事に頭がこんがらがって来た
しかしそれをチャンスと捉えた恵くんが術式を展開する準備をした
「動くな…オマエはもう人間じゃない」
「は?」
「呪術規定に基づき虎杖悠仁、
オマエを“呪い”として祓う 」
キッと睨みながら言うがケロッとした表情の彼をどう対応すればいいのか決めかねていた
「いやなんともねーって…ってあれ⁉︎俺なんで縛られてんの⁉︎めっちゃ綺麗な鎖だな⁉︎…って女の子の体から出てんの⁉︎何で⁉︎」
どうやら鎖の出処が私の背中からということに気づいて驚きの表情を表す彼にこれが宿儺の演技なのかそれとも本人なのか…わからなくて頭がこんがらがる
「それより俺も伏黒も…キミもボロボロじゃん⁉︎早く病院行こうぜ」
宿儺の紋章がスウッと消え去り更に混乱した
「(これはどうするべき…?こんな時悟さんがいれば…)」
「今どういう状況?」
……今悟さんの声聞こえた?
恵くんと2人で声の下方を見るとよく知る人物が立っていた
「五条先生⁉︎どうしてここに」
「悟先生⁉︎あれ⁉︎別任務じゃ⁉︎」
「や。来る気無かったんだけどさ。紅奈もいる事だし…。でも流石に特級呪物が行方不明となると上が五月蠅くてね…観光がてら馳せ参じたってわけ」
そういいながらボロボロの恵くんを笑いながら写真に残す悟さん(学校時は先生呼びにしている)は次に私の方を向く
「紅奈らしくないね?怪我は平気?」
「ちょっと気を抜いただけです…怪我は治りました」
そりゃ安心。そう言いながらじぃっと鎖に繋がれたままの少年に目を向けながら
「で、見つかった?」
そう聞かれると「あのー」とかなり申し訳なさそうな声が聞こえた
「ごめん、俺それ食べちゃった」
その言葉に一瞬悟さんはフリーズし「マジ?」と聞くと男子2人は声を揃えて「マジ」と答えた
そして更に男の子に近づき気配をさぐる
「んー?ははっ、本当だ混じってるよ…ウケる。だから紅奈は彼をずっと拘束してたのね。ありがともう消していいよ」
その言葉に漸く安心して私は鎖を消した
「体に異常は?」
「特に」
「宿儺と変われるかい?」
「スクナ?」
「君が食べた呪いだよ。」
「あぁ、うん多分できるけど」
そんな会話を繰り広げてる中私は恵くんの近くに行く
「ねぇねぇ、今更何だけどあの子の名前は?」
「本当に今更だな…虎杖悠仁だよ」
「虎杖悠仁くんかぁ…よし。覚えた」
「はーいそこ。お話中ごめんね。ちょーっと今からやる事あるから恵、これ持ってて」
ポイッと渡されたものを2人で見る
なにかの袋…?
「これは?」
「喜久福」
「「(この人お土産買ってから来た⁉︎)」」
「土産じゃない。僕が帰りの新幹線で食べるんだ」
そう此方を見ながら発言する悟さんの背後から凄まじい気配がした
「後ろ‼︎」
それを聞くよりも早く動き宿儺の背後を取る
「生徒の前なんでね、カッコ付けさせてもらうよ。」
言うが早いか悟さんは宿儺を思い切り殴り飛ばした
正直常識の範囲外の規模すぎて開いた口が塞がらない状況だった
これが特級同士の戦い…きちんと目に焼き付けておこう、そう思い食い入るように戦いを見つめていた
悟さんの10のカウント後宿儺が消え去り虎杖くんが再び戻ってきて、1、2言会話した後にトンッと虎杖くんの額をつき眠らせていた
「何したんですか」
「気絶させたの。これで目覚めた時宿儺に体を奪われていなかったら彼には器の可能性がある」
おもっ、と言いながら虎杖を持ち直し五条はさらに続ける
「さてここで恵にクエスチョン。彼をどうするべきかな」
「……仮に器だとしても呪術規定にのっとれば虎杖は処刑対象です…でも死なせたくありません」
強い瞳で伏黒は言うと五条は楽しそうにする
「私情?」
「私情です。何とかしてください」
「紅奈は?」
「恵くんが此処まで言うのは珍しいからなんとかしてくださーい」
恵くんが此処まで他人を気にするなんて珍しく、そこまでさせる虎杖くんが気になり嬉しくて私も助けを言い出す
するとそれが悟さんにも伝わったのかクックックと笑い親指を突き立てる
「かわいい生徒とかわいい紅奈の頼みだ。任せなさい」
そう言ってくれて私と恵くんは安堵し後のことは任せ先に戻ることにした
宿泊先に着き私は部屋で恵くんの手当てをする
私に反転術式が使えれば良かったけど残念ながら使えず形だけでも、と止血を施しておく
「私がもっと早くそっちに気づけば良かったね…ごめん」
「いや、そっちも大量に呪霊がいたんだろうし気にすんな…お前は怪我大丈夫なのか?」
「うん。久喇嘛がもう治してくれてるから平気だよ」
はい、手当て終わり。そう言って救急箱の蓋を閉める
「虎杖くん大丈夫かなぁ」
「大丈夫だろ。五条先生ああ言うところあるけど信用はしていいのは1番知ってるだろ」
「まぁね。早くちゃんと挨拶したいな」
「あとでいやって言うほど会うだろ」
「確かに」
じゃ、また明日〜と手を振りながら私は隣の部屋に帰る
部屋に戻りベッドにダイブすると疲れがかなり溜まっていたのかそのまま直ぐに眠ってしまった
「……ん?あれここ…」
目を開けるとそこは九喇嘛のいる空間だった
目の前に九喇嘛が伏せている
「くらまぁ〜、今日はありがとうね、かなり助かった」
《ふんっ、死なれては困るしな。》
ふかふかな尻尾に包まりながら今日のお礼を言った
「あのあと出てこなかったから心配してたんだよ」
《出ても良かったんだがあの小僧が取り込んだモノの気配が気に食わんから出なかった》
「気に食わなかったって…まぁ相性悪いってことかな」
《知らん》
「もー…」
《ワシは疲れた、寝る》
「そっちから呼び出しておいて…まぁいいやおやすみ」
《紅奈》
「なーに」
《気をつけろ》
「…ありがと」
今度こそ会話を終了し私も寝に入った
「ふぁぁぁぁ…まだねむ…あれ、恵くんからLI○Eきてる」
眠たい目を擦りながらトーク画面を見ると[先に出る]とだけ来ていて私は慌ててチェックアウトを済ませ、皆が居るであろう所に急いだ
走っていると遠くにお目当ての三人がいる事に気がつき近づく
「ちなみに一年生は君で4人目」
「少なっ‼︎」
「恵とあと…おっ丁度来た紅奈〜‼︎」
悟さんが手を振りながら私を呼ぶのを恵くんと虎杖くんが振り返り私を見る
「やっと来たか」
「もー‼︎起こしてくれても良かったじゃん‼︎」
「電話しても起きないお前が悪い」
「いじわる‼︎」
「ちょいお二人さん悠仁が困ってるよ」
恵くんに文句を言っていると悟さんに止められ慌てて虎杖くんの方を見た
「ごめんね⁉︎えっとちゃんと自己紹介してないもんね。私は波風紅奈よろしく‼︎苗字呼びも名前呼びも好きだから好きな方で呼んでね」
「おう!元気そうでよかった。俺虎杖悠仁‼︎俺も好きな方で呼んでいいぜ。宜しくな波風‼︎」
「わーい‼︎よろしくね悠仁くん‼︎」
2人でにっこにこ笑い合いながら握手をすると悟さんが入ってくる
「因みに紅奈は忍者だよ」
「うぇ⁉︎まじで⁉︎すっげー‼︎」
「ふふ、”元“だけどねぇ」
「…それまだ言ってんのか?ただ術式がそれっぽいだけだろ」
「え⁉︎どっち⁉︎」
「さぁ、どっちでしょーか」
クスクスと笑いながら私達4人は東京へと向かったのだった
_______
____
__
「スゲー山ん中だな。ここ本当に東京?」
「東京も郊外はこんなもんよ?」
「そうそう。渋谷とかが目立ってるだけだよ〜」
辺りを楽しそうにキョロキョロしている悠仁くんが可愛くてくすっと笑ってしまう
「伏黒は?」
「術師の治療受けて今は寝てるよ」
「波風は大丈夫なの?」
「うん。私は少し特殊だからね。怪我の治りが早いの」
「取り敢えず悠仁はこれから学長と面談ね」
「学長…」
「下手打つと入学拒否られるから頑張ってね」
「えぇっ⁉︎そしたら俺即死刑⁉︎」
急に不安そうになった悠仁くんに「自分に素直になれば大丈夫だよ」と教えてあげながらひたすら歩き続ける
「なんだ貴様が頭ではないのか。力以外の序列はつまらんな」
聞き覚えのある声と共にぐぱっと悠仁くんの頬から口が出現しおもわずひえっと声を出してしまった
すると慣れた手つきでバチッと悠仁くんが自分の頬を叩く
「悪ぃ先生。たまに出てくんだ」
「愉快な体になったねぇ」
「愉快で済ませるの…?」
そんな事を話していると次は手の甲に現れた
「貴様には借りがあるからな。」
「あっまた‼︎」
「小僧の体モノにしたら真っ先に殺してやる…それとそこの小娘」
「私⁉︎」
「貴様も妙なものを飼ってるな?この間の鎖といい面白い、貴様も殺してやるから待ってろ」
ケヒケヒと奇妙に笑いながら言う宿儺に私はニヤリと笑いながら言う
「命狙われるのは慣れてるからね。かかってきなよ。絶対勝つから」
強気に応えると更に大きく笑い始めた
「良い良い。そう言う奴は嫌いじゃないぞ小娘‼︎楽しみにしていろ」
「いやぁ宿儺に狙われるなんて光栄だよ。ね紅奈」
「そうですね」
2人で言うとぺしっと手の甲を叩きながら悠仁くんが「コイツ有名なの?」と聞いてきたのでさらっと簡単に宿儺の説明をしてあげる
説明が終わる頃には目的地に到着した
「先生とどっちが強い?」
「うーんそうだね…力を全て取り戻した宿儺なら僕と紅奈の2人で勝てるくらいじゃないかな」
「えっ、波風ってそんな強いの⁉︎じゃあ1人でだと負けちゃう…?」
負けちゃう?そう聞かれて私は悟さんと揃えてこう言った
「「勝つさ/勝つよ」」
ドアをガチャリを開けながら得意げに言った
部屋の中に入ると奥によく知る人物が座っている
「遅いぞ悟」
「!」
「8分遅刻だ…責める程でもない遅刻をする癖、直せと言ったはずだぞ…紅奈もいながらどうした」
いつも通りぬいぐるみを作っている正道さんに悠仁くんは驚いているようで最初は驚くよな…と思いながら素直にごめんなさいをして私は悠仁くんに「がんばってね〜」と声をかけて部屋を後にした
自室に着いた後制服を脱ぎショートパンツに丈の長い長袖のジップパーカースタイルになる
ベッドの上でごろごろしながらスマホのアプリゲームをしていると悟さんから電話がかかってくる
なんだろ?と思いながら私は通話をオンにして耳に当てる
「悟さん?どーしたの?」
『あっもしもし紅奈?今平気?』
「うん。大丈夫だよ」
『ちょっと明日のこと話したいから今からこっちに“飛んで”くれない?』
「えー…まぁいいよ。後ろから恵くん達の声聞こえるから男子寮だよね?今行く」
そう言って私は飛雷針の術で男子寮に飛んだ
「っと、とーちゃく」
すたっと着地すると悟さんは「きたね〜」と緩く恵くんは「お前またそんな格好…」と手を頭に当て、悠仁くんは「すげー‼︎それも忍術⁉︎」と興奮していた
「あっ、なるほど悟先生悠仁くんに見せたくてわざわざ“飛んで”きてって言ったんですね」
「まっ、そーゆうこと。どう悠仁驚いた?」
「おう‼︎波風ってスゲーんだな‼︎」
ここまで目をキラキラさせると逆に恥ずかしくなるので少し照れながらありがとう。と言っておいた
「んで、明日の事って何ですか?」
「あぁ、そうだった…明日は4人でお出かけだよ!4人目の一年生を迎えに行きます♪しかも女の子だよ、良かったね紅奈」
「やった‼︎女の子‼︎仲良くなれるといいなぁ」
「明日遅れずに来るんだよ〜」と言いながら悟さんは帰っていった
私も女の子が明日来ると
言うことで気合を入れるべく2人におやすみ‼︎と言って男子寮を後にした
「…なぁ伏黒、波風ってもしかして気にしないタイプ?」
「今更か、アイツ小さい頃から此処に住んでるからなのか男子寮もあの格好で普通に出入りするぞ」
「まじか…なんか苦労してんな」
「ほんとだよ…」
私が帰った後そんな話をしていたとかしていなかったとか
1*なんてこった
予想外の転入生はまさかの呪物の受肉者でした
主人公ちゃんの高専の制服やその他諸々設定を[設定]にて追加しましたので良ければご覧下さい
2018年6月
宮城県仙台市 杉沢大三高校
暗い夜の学校に黒い制服を纏った2人の男女がいた
「百葉箱⁉︎そんな所に特級呪物保管するとか馬鹿すぎるでしょ」
「私も同意見、なぁんでこんなとこに保管してるの」
『アハハ、でもおかげで回収も楽でしょ??だからさくっと回収して早く帰っておいでよ』
早く紅奈に会いたいよ〜。なんて電話越しの相手は言っているが無視だ無視
今優先すべきは百葉箱にある特級呪物ー両面宿儺の指だ
「恵くん、百葉箱ってこれだよね」
「あぁ、これだな」
「嘘だよね」
『ん?どーしたの2人とも』
「……ないですよ」
『え?』
百葉箱に着き開けるがそこは空っぽで呪物の微かな残穢しか存在しなかった
「だから百葉箱空っぽです」
「残穢しか無いんで持ち出されたか何かして少したってるかなぁ…どうする?」
『まじで?ウケるね』
電話越しの彼は何故か楽しそうで隣にいる恵くんはイライラが顔に出ていた
「ぶん殴りますよ……」
『それ、回収するまで帰ってきちゃ駄目だから』
その言葉に私と恵くんは2人で同じことを思った
「「(今度マジで殴ろう)」」
と
『あっ、紅奈〜。回収くらい恵1人で何とかなるだろうし帰ってきても』
言い終わらせる前に携帯の通話を終わらせた
「で、どうする?このままじゃ帰宅NGらしいけど」
「はぁ…とりあえず今日は引き上げるぞ。もっかい対策立て直しだ」
ちっ、と小さく舌打ちをしているのを横目に私もため息をこぼす
折角帰れると思ってたのに誰だよ持ち出したの…
私と恵くんはホテルに帰るべく足を動かしながら少しの苛立ちを隠した
「でもさ、残穢だけなのにここまで色濃く残ってるって流石特級だよね」
「確かにな…だからこそ早く回収しないとまずい事になる」
明日でケリつけるぞ。その言葉に私は頷いたのだった
ー次の日ー
私達は再び問題の高校へと足を運んだ
昨日の夜より呪物の気配が濃く、恐らく持ち出したものがこの場に居るのだろう
恵くんは放課後の学校に潜入出来るように制服の上を脱ぎ、私は制服が特殊な形にしてる為恵くんの脱いだ上を預かって校門付近で待機していた
なぁんかグラウンド付近がやけに騒がしい…青春してるなぁ〜なんて考えていると校門から誰かが全速力で走ってきて車レベルの速さで通り過ぎた
「え…?何人?はやっ、てかいま呪物の気配した⁉︎」
一瞬の出来事に混乱していると後に続いて恵くんが来た
「アイツ速すぎんだろ…クソッ」
「あ、恵くんお疲れ。もしかして今の彼…」
「あぁ、アイツから呪物の気配が強くした。恐らくビンゴだ」
上着を渡し、それを受け取り着ながら悔しそうに言う
「じゃあ恵くんは彼を追って?私はまだ気になる点があるから学校の様子を見ておく」
「わかった。何かあったら連絡する」
「了解。私も連絡する」
そう言って私達は別行動を取る事にした
もうすぐ下校時刻だろうし、もうちょっとだけこの辺りで時間を潰して潜入しよう、そう考えた
_まだこの校内に呪物の気配がするのだから
__________
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___
「さぁて大体の生徒はいなくなった事ですし、探索しよっか」
完全に閉まりきっている校門を簡単に飛び越え目的の場所へ歩きながら「九喇嘛」と、名前を呼ぶとポンッと音を立てて狐サイズの九尾の狐_九喇嘛が姿を表す
「《こんな時間まで外にいると思ったら何してる馬鹿者》」
「ごめんね。ワンチャン呪物所有者がすれ違えばラッキーって思ってたんだけど…中々来ない上に完全下校時刻になっても出てこなくてさ…こーんな事になっちゃった訳ですよ」
「《人間の考えることは分からん。さっさと済ませるぞ》」
「そだね。遅くなると悟さんに揶揄われちゃうし」
さっさと済ませますか。パチンッと自分の両頬を軽く叩き気合いを入れ夜の学校内に足を踏み入れた
_同時刻・伏黒side_
「虎杖悠仁だな」
アイツ_紅奈と別行動で別れた後近くの病院に到着した
そこには先程の呪物の気配を纏った人間_虎杖悠仁が受付で何か書類を書いているのが目に留まった
「呪術高専の伏黒だ。悪いがあまり時間がない」
そこから虎杖に“呪い”について軽く説明しもう一度呪物を渡すように言う
「いやだから俺は別に良いんだって。先輩に言えよ」
そう言いながら投げ渡された箱の中身を見ると空だった
「(俺が追っていたのは箱にこびりついた呪力の残穢…‼︎)おい‼︎中身は⁉︎」
「だァから先輩が持ってるって‼︎」
「ソイツの家は⁉︎」
「知らねぇよ確か泉区の方……」
胸ぐらを勢いよく掴みながら場所をはかせようとすると虎杖は何か思い出したかのように黙り始めた
「なんだ?」
次の一言があまりにも緊急事態で
「そういや今日の夜学校でアレのお札を剥がすって言ってたな」
その言葉に俺は目を見開いた
その様子に異変を感じた虎杖は言う
「え……もしかして…ヤバい?」
「ヤバいなんてもんじゃない…ソイツ死ぬぞ」
まだ向こうに残っている筈の紅奈に賭けるしかなかった
_伏黒side終_
真っ暗な校舎の中私と九喇嘛は走り続ける
「まっっっじで何処にあるんだってばね‼︎学校広すぎ‼︎」
「《口調戻ってるぞ。恐らくそこ曲がった先の教室だ》」
九喇嘛の嗅覚を元に呪物の場所を探る
口調戻ってるのなんか知らん。それより呪物
「はぁ、はぁ…こ、こだよね」
「《多分な》」
「よし開けるよ‼︎」
ちょっと失礼します‼︎そう言いながら教室のドアを開けるとそこには驚いた表情の2人の生徒と……その手ににいられている呪物“両面宿儺の指”_しかも封印が解かれていた
「まじか(恵くんごめん…間に合わなかった)」
途端に空気が重くなったのを感じ私は心の中で謝っておいた
__________
「ゲホッ…あんにゃろ力一杯投げ飛ばしたな」
あの後大量の呪霊の気配を感じ直ぐ私は影分身を1人出して生徒2人を安全な所まで運ばせた
宿儺の指を回収し少し気が抜けたところを新たに現れた呪霊に投げ飛ばされたのだ
打ちどころが悪かったのか頭から出血していたが気にしちゃいられない
「あっちは分身に頼むとして…九喇嘛さんや、久々に暴れましょうか」
「《チッ》」
舌打ちしつつも戦闘態勢に入ってくれる相棒は心強かった
「もー‼︎数多すぎ‼︎」
「《口ではなく手を動かせ、やる気無いなら戻るぞ》」
「あーっ、ごめんなさい‼︎やらせていただきます‼︎…水遁ー水鉄砲ッ」
沢山の鋭い水の玉を撃ち周りの呪霊を一掃する
「はぁ…とりあえず完了かな…ッ⁉︎」
「《どうした》」
「分身やられた…でも恵くんとさっきの男の子がなんとかしたみたい…でも心配だから“飛ぶよ”」
そう言うと九喇嘛は理解したのか一旦姿を消した
「飛雷針の術」
私がそう呟くと一瞬にしてその場から消えた
「恵くんッ。水遁ー水陣壁」
一瞬で恵くんの所まで飛ぶが2人とも呪霊に攻撃された直後らしく頭から血を流していた
私は呪霊にの次に来る攻撃を防ぐ為に大きな水壁を出現させる
「っ…紅奈」
「えっ女の子⁉︎」
2人とも驚いた表情をみせそんな顔出来るなら大丈夫か、と少し安心した
「2人とも大丈夫?ごめんね…回収間に合わなくて巻き込んだ」
スカートからクナイを一本取り出し構える
「これ、預けるから持ってて。宜しく」
そう言い残し呪霊の方へ向かい攻撃を始めた
呪物を投げ渡されキャッチした虎杖を横目に伏黒が口を開く
「今あの2人を抱えて逃げれんのはオマエだけだ。アイツも少なからず怪我してるだろうから長続きはしない。さっさとしろ、このままだと全員死ぬぞ。呪力のないオマエがいても意味ねーんだよ」
その言葉に虎杖は「オマエもあの子も死ぬ気じゃねーか!」そう苛立ちを感じていたが一つ思った…それを伏黒に確認する
「なぁ、何であの呪いはあの指狙ってんだ?」
「喰ってより強い呪力を得るためだ」
その言葉に確信が持てた
「なんだ、あるじゃん。全員助かる方法」
そう言ってさっき投げ渡されたアレを取り出す
「俺にジュリョクがあればいいんだろ」
そう言って伏黒の静止を振り切り
ゴクンッ
飲み込んだ
「紅奈‼︎そこから離れろ‼︎」
「えっ何で⁉︎」
「何でもだ‼︎」
いやな予感が頭をよぎり紅奈を呼び戻す
シュタッと伏黒の隣に立つ紅奈は何事だと聞いてきた
「ねぇ、一体どうしたの」
「まずい事になった…アイツが指飲み込んだ」
「は…それって」
やばくない…?そう声に出そうとした瞬間嫌な空気がこの場を襲う
先程まで対峙していた呪霊が消されている…そして
「ケヒッ、ヒヒッ」
不気味な笑い声が辺りに響き渡る
「あぁやはり‼︎光は生で感じるに限るな‼︎」
そう言いながら来ていた服を破り捨て街を見下ろす
「(最悪だ!最悪の万が一が出た!)」
「(嘘でしょ…あれ完璧受肉に成功してる…)」
「素晴らしい…鏖殺だ……⁉︎なに?」
宿儺が動き出す瞬間金色の鎖が宿儺を固定した
「金剛封鎖…これで貴方は絶対に逃げられない」
震える声を何とか宥め私は奴を拘束した
それを宿儺は気にも止めずマジマジと鎖を見つめている
「ほう…これは小娘の術か…なるほど確かに解けぬな。しかしそれは貴様が生きれいれば、であろう?」
ニヤリと笑う宿儺が私に手を伸ばす
一瞬息が詰まり来るっ。そう思ったがその手は此方に来ず、自分の首を掴んだ
「え⁉︎」
「‼︎」
それに不快感を露わにした宿儺だが次に聞こえてきた声は聞いたことのあるものだった
「人の体でなにしてんだよ。返せ」
「オマエなんで動ける?」
「?いや。俺の体だし」
一人二役をしているような奇妙な出来事に頭がこんがらがって来た
しかしそれをチャンスと捉えた恵くんが術式を展開する準備をした
「動くな…オマエはもう人間じゃない」
「は?」
「呪術規定に基づき虎杖悠仁、
オマエを“呪い”として
キッと睨みながら言うがケロッとした表情の彼をどう対応すればいいのか決めかねていた
「いやなんともねーって…ってあれ⁉︎俺なんで縛られてんの⁉︎めっちゃ綺麗な鎖だな⁉︎…って女の子の体から出てんの⁉︎何で⁉︎」
どうやら鎖の出処が私の背中からということに気づいて驚きの表情を表す彼にこれが宿儺の演技なのかそれとも本人なのか…わからなくて頭がこんがらがる
「それより俺も伏黒も…キミもボロボロじゃん⁉︎早く病院行こうぜ」
宿儺の紋章がスウッと消え去り更に混乱した
「(これはどうするべき…?こんな時悟さんがいれば…)」
「今どういう状況?」
……今悟さんの声聞こえた?
恵くんと2人で声の下方を見るとよく知る人物が立っていた
「五条先生⁉︎どうしてここに」
「悟先生⁉︎あれ⁉︎別任務じゃ⁉︎」
「や。来る気無かったんだけどさ。紅奈もいる事だし…。でも流石に特級呪物が行方不明となると上が五月蠅くてね…観光がてら馳せ参じたってわけ」
そういいながらボロボロの恵くんを笑いながら写真に残す悟さん(学校時は先生呼びにしている)は次に私の方を向く
「紅奈らしくないね?怪我は平気?」
「ちょっと気を抜いただけです…怪我は治りました」
そりゃ安心。そう言いながらじぃっと鎖に繋がれたままの少年に目を向けながら
「で、見つかった?」
そう聞かれると「あのー」とかなり申し訳なさそうな声が聞こえた
「ごめん、俺それ食べちゃった」
その言葉に一瞬悟さんはフリーズし「マジ?」と聞くと男子2人は声を揃えて「マジ」と答えた
そして更に男の子に近づき気配をさぐる
「んー?ははっ、本当だ混じってるよ…ウケる。だから紅奈は彼をずっと拘束してたのね。ありがともう消していいよ」
その言葉に漸く安心して私は鎖を消した
「体に異常は?」
「特に」
「宿儺と変われるかい?」
「スクナ?」
「君が食べた呪いだよ。」
「あぁ、うん多分できるけど」
そんな会話を繰り広げてる中私は恵くんの近くに行く
「ねぇねぇ、今更何だけどあの子の名前は?」
「本当に今更だな…虎杖悠仁だよ」
「虎杖悠仁くんかぁ…よし。覚えた」
「はーいそこ。お話中ごめんね。ちょーっと今からやる事あるから恵、これ持ってて」
ポイッと渡されたものを2人で見る
なにかの袋…?
「これは?」
「喜久福」
「「(この人お土産買ってから来た⁉︎)」」
「土産じゃない。僕が帰りの新幹線で食べるんだ」
そう此方を見ながら発言する悟さんの背後から凄まじい気配がした
「後ろ‼︎」
それを聞くよりも早く動き宿儺の背後を取る
「生徒の前なんでね、カッコ付けさせてもらうよ。」
言うが早いか悟さんは宿儺を思い切り殴り飛ばした
正直常識の範囲外の規模すぎて開いた口が塞がらない状況だった
これが特級同士の戦い…きちんと目に焼き付けておこう、そう思い食い入るように戦いを見つめていた
悟さんの10のカウント後宿儺が消え去り虎杖くんが再び戻ってきて、1、2言会話した後にトンッと虎杖くんの額をつき眠らせていた
「何したんですか」
「気絶させたの。これで目覚めた時宿儺に体を奪われていなかったら彼には器の可能性がある」
おもっ、と言いながら虎杖を持ち直し五条はさらに続ける
「さてここで恵にクエスチョン。彼をどうするべきかな」
「……仮に器だとしても呪術規定にのっとれば虎杖は処刑対象です…でも死なせたくありません」
強い瞳で伏黒は言うと五条は楽しそうにする
「私情?」
「私情です。何とかしてください」
「紅奈は?」
「恵くんが此処まで言うのは珍しいからなんとかしてくださーい」
恵くんが此処まで他人を気にするなんて珍しく、そこまでさせる虎杖くんが気になり嬉しくて私も助けを言い出す
するとそれが悟さんにも伝わったのかクックックと笑い親指を突き立てる
「かわいい生徒とかわいい紅奈の頼みだ。任せなさい」
そう言ってくれて私と恵くんは安堵し後のことは任せ先に戻ることにした
宿泊先に着き私は部屋で恵くんの手当てをする
私に反転術式が使えれば良かったけど残念ながら使えず形だけでも、と止血を施しておく
「私がもっと早くそっちに気づけば良かったね…ごめん」
「いや、そっちも大量に呪霊がいたんだろうし気にすんな…お前は怪我大丈夫なのか?」
「うん。久喇嘛がもう治してくれてるから平気だよ」
はい、手当て終わり。そう言って救急箱の蓋を閉める
「虎杖くん大丈夫かなぁ」
「大丈夫だろ。五条先生ああ言うところあるけど信用はしていいのは1番知ってるだろ」
「まぁね。早くちゃんと挨拶したいな」
「あとでいやって言うほど会うだろ」
「確かに」
じゃ、また明日〜と手を振りながら私は隣の部屋に帰る
部屋に戻りベッドにダイブすると疲れがかなり溜まっていたのかそのまま直ぐに眠ってしまった
「……ん?あれここ…」
目を開けるとそこは九喇嘛のいる空間だった
目の前に九喇嘛が伏せている
「くらまぁ〜、今日はありがとうね、かなり助かった」
《ふんっ、死なれては困るしな。》
ふかふかな尻尾に包まりながら今日のお礼を言った
「あのあと出てこなかったから心配してたんだよ」
《出ても良かったんだがあの小僧が取り込んだモノの気配が気に食わんから出なかった》
「気に食わなかったって…まぁ相性悪いってことかな」
《知らん》
「もー…」
《ワシは疲れた、寝る》
「そっちから呼び出しておいて…まぁいいやおやすみ」
《紅奈》
「なーに」
《気をつけろ》
「…ありがと」
今度こそ会話を終了し私も寝に入った
「ふぁぁぁぁ…まだねむ…あれ、恵くんからLI○Eきてる」
眠たい目を擦りながらトーク画面を見ると[先に出る]とだけ来ていて私は慌ててチェックアウトを済ませ、皆が居るであろう所に急いだ
走っていると遠くにお目当ての三人がいる事に気がつき近づく
「ちなみに一年生は君で4人目」
「少なっ‼︎」
「恵とあと…おっ丁度来た紅奈〜‼︎」
悟さんが手を振りながら私を呼ぶのを恵くんと虎杖くんが振り返り私を見る
「やっと来たか」
「もー‼︎起こしてくれても良かったじゃん‼︎」
「電話しても起きないお前が悪い」
「いじわる‼︎」
「ちょいお二人さん悠仁が困ってるよ」
恵くんに文句を言っていると悟さんに止められ慌てて虎杖くんの方を見た
「ごめんね⁉︎えっとちゃんと自己紹介してないもんね。私は波風紅奈よろしく‼︎苗字呼びも名前呼びも好きだから好きな方で呼んでね」
「おう!元気そうでよかった。俺虎杖悠仁‼︎俺も好きな方で呼んでいいぜ。宜しくな波風‼︎」
「わーい‼︎よろしくね悠仁くん‼︎」
2人でにっこにこ笑い合いながら握手をすると悟さんが入ってくる
「因みに紅奈は忍者だよ」
「うぇ⁉︎まじで⁉︎すっげー‼︎」
「ふふ、”元“だけどねぇ」
「…それまだ言ってんのか?ただ術式がそれっぽいだけだろ」
「え⁉︎どっち⁉︎」
「さぁ、どっちでしょーか」
クスクスと笑いながら私達4人は東京へと向かったのだった
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「スゲー山ん中だな。ここ本当に東京?」
「東京も郊外はこんなもんよ?」
「そうそう。渋谷とかが目立ってるだけだよ〜」
辺りを楽しそうにキョロキョロしている悠仁くんが可愛くてくすっと笑ってしまう
「伏黒は?」
「術師の治療受けて今は寝てるよ」
「波風は大丈夫なの?」
「うん。私は少し特殊だからね。怪我の治りが早いの」
「取り敢えず悠仁はこれから学長と面談ね」
「学長…」
「下手打つと入学拒否られるから頑張ってね」
「えぇっ⁉︎そしたら俺即死刑⁉︎」
急に不安そうになった悠仁くんに「自分に素直になれば大丈夫だよ」と教えてあげながらひたすら歩き続ける
「なんだ貴様が頭ではないのか。力以外の序列はつまらんな」
聞き覚えのある声と共にぐぱっと悠仁くんの頬から口が出現しおもわずひえっと声を出してしまった
すると慣れた手つきでバチッと悠仁くんが自分の頬を叩く
「悪ぃ先生。たまに出てくんだ」
「愉快な体になったねぇ」
「愉快で済ませるの…?」
そんな事を話していると次は手の甲に現れた
「貴様には借りがあるからな。」
「あっまた‼︎」
「小僧の体モノにしたら真っ先に殺してやる…それとそこの小娘」
「私⁉︎」
「貴様も妙なものを飼ってるな?この間の鎖といい面白い、貴様も殺してやるから待ってろ」
ケヒケヒと奇妙に笑いながら言う宿儺に私はニヤリと笑いながら言う
「命狙われるのは慣れてるからね。かかってきなよ。絶対勝つから」
強気に応えると更に大きく笑い始めた
「良い良い。そう言う奴は嫌いじゃないぞ小娘‼︎楽しみにしていろ」
「いやぁ宿儺に狙われるなんて光栄だよ。ね紅奈」
「そうですね」
2人で言うとぺしっと手の甲を叩きながら悠仁くんが「コイツ有名なの?」と聞いてきたのでさらっと簡単に宿儺の説明をしてあげる
説明が終わる頃には目的地に到着した
「先生とどっちが強い?」
「うーんそうだね…力を全て取り戻した宿儺なら僕と紅奈の2人で勝てるくらいじゃないかな」
「えっ、波風ってそんな強いの⁉︎じゃあ1人でだと負けちゃう…?」
負けちゃう?そう聞かれて私は悟さんと揃えてこう言った
「「勝つさ/勝つよ」」
ドアをガチャリを開けながら得意げに言った
部屋の中に入ると奥によく知る人物が座っている
「遅いぞ悟」
「!」
「8分遅刻だ…責める程でもない遅刻をする癖、直せと言ったはずだぞ…紅奈もいながらどうした」
いつも通りぬいぐるみを作っている正道さんに悠仁くんは驚いているようで最初は驚くよな…と思いながら素直にごめんなさいをして私は悠仁くんに「がんばってね〜」と声をかけて部屋を後にした
自室に着いた後制服を脱ぎショートパンツに丈の長い長袖のジップパーカースタイルになる
ベッドの上でごろごろしながらスマホのアプリゲームをしていると悟さんから電話がかかってくる
なんだろ?と思いながら私は通話をオンにして耳に当てる
「悟さん?どーしたの?」
『あっもしもし紅奈?今平気?』
「うん。大丈夫だよ」
『ちょっと明日のこと話したいから今からこっちに“飛んで”くれない?』
「えー…まぁいいよ。後ろから恵くん達の声聞こえるから男子寮だよね?今行く」
そう言って私は飛雷針の術で男子寮に飛んだ
「っと、とーちゃく」
すたっと着地すると悟さんは「きたね〜」と緩く恵くんは「お前またそんな格好…」と手を頭に当て、悠仁くんは「すげー‼︎それも忍術⁉︎」と興奮していた
「あっ、なるほど悟先生悠仁くんに見せたくてわざわざ“飛んで”きてって言ったんですね」
「まっ、そーゆうこと。どう悠仁驚いた?」
「おう‼︎波風ってスゲーんだな‼︎」
ここまで目をキラキラさせると逆に恥ずかしくなるので少し照れながらありがとう。と言っておいた
「んで、明日の事って何ですか?」
「あぁ、そうだった…明日は4人でお出かけだよ!4人目の一年生を迎えに行きます♪しかも女の子だよ、良かったね紅奈」
「やった‼︎女の子‼︎仲良くなれるといいなぁ」
「明日遅れずに来るんだよ〜」と言いながら悟さんは帰っていった
私も女の子が明日来ると
言うことで気合を入れるべく2人におやすみ‼︎と言って男子寮を後にした
「…なぁ伏黒、波風ってもしかして気にしないタイプ?」
「今更か、アイツ小さい頃から此処に住んでるからなのか男子寮もあの格好で普通に出入りするぞ」
「まじか…なんか苦労してんな」
「ほんとだよ…」
私が帰った後そんな話をしていたとかしていなかったとか
1*なんてこった
予想外の転入生はまさかの呪物の受肉者でした
主人公ちゃんの高専の制服やその他諸々設定を[設定]にて追加しましたので良ければご覧下さい