朝食くらいは優雅に食べたい
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「うわぁ!ねぇ!えぇっ!」
「うぉ!ビビらせんな!」
「ひゃあ!びっくりさせないでよっ!」
怒鳴るホルマジオと、朝から騒がしいなぁとソファに腰掛けるイルーゾォ。チームの朝は基本的に騒がしい。(私のせい)
朝食と言うほど早い時間ではないが、寝ぼけていたせいでフライパンに落ちるはずだった卵が床に飛び散ってしまった。
コーヒーを淹れるため横に立っていたホルマジオの声に驚きプチパニック状態であるが、床に落ちた卵にガッカリしながら、キッチンペーパーで卵を片づけた。節約生活だから卵ひとつといえ大切にしなければ...と考えつつ、今度は間違いなくフライパンに卵を割って落とす。
「あぁ、もう。ホルマジオが大きな声出したから卵割るの失敗しちゃったじゃない」
「なんで俺のせいになんだよ」
「さっき起きたばっかりなんだから、ちょっとは優しくしてよね」
「あー、まぁ、深夜の任務はお疲れさんだ」
ガシガシとまだ整っていない髪を撫で回されて、さらに乱れてしまった。
なぜこんなにも寝起きの状態でアジトのキッチンに立っているかと言えば、それは言うまでもなく私がアジトの一部屋を借りて住んでいるからだ。リゾットには反対されているが、一人だと寂しいんだもんとなんとか説得したのである。
「今日ホルマジオとイルーゾォはどんな感じ?」
「俺は特に何もないが...暇だから来ただけだ」
「はぁ?お前暇なのか?俺は午後から任務が一件ってところだぜ」
そんなに大層な任務じゃないからさっさと終わらして帰ると言い、どっかりとソファに腰をかけたホルマジオ。
頑張ってねとホルマジオに言うと、サンキューと軽い返事が返ってきた。イルーゾォはアジトにご飯を食べに来ているような感じで、アジトにいても鏡の中で寛いでいることが多いからそんなところだろう。
「ねぇ、二人とも。今度みんながアジトに集まるのっていつかな?」
「どうだかなぁ、全員集まるって言ったら来週末じゃあねーか?」
「ああ、そうだな。ボスからの指令が降りるから集まれとか言われてたからその時だろうな」
「あ...あ〜!そうね。そんなこと言ってたわ」
「なにかあるのか?」
「何もないけど、みんなでお酒飲みたいと思ってね」
みんなにはまだ内緒だよ?と、キッチンに戻り、隅の扉の奥からワインをチラリと覗かせてみせた。
「お!昨日の獲物の落とし物か?」
「うふふ、そう言うこと。しかもね、5本は持ち帰ったわ」
「重たいのによく持って帰ってこようと思ったな」
「だってぇ...皆と集まってお酒飲んだら最高に楽しいわ」
「それはユリカの酒癖が最恐だからな。恐るの方の最恐な」
「失礼ね!良いもんどうせみんな酔っ払うもの」
「そりゃ違いねぇ!」
酒癖悪い時のユリカはめちゃくちゃおもしれぇとゲラゲラ笑うホルマジオ。人のこと言えないわ!と言うと、イルーゾォが全員酒癖は良くないからなと冷静に言うもんだから想像して笑ってしまった。
お酒の飲めないペッシがみんなの面倒を見るのに必死で可哀想なイメージしか浮かばない。
「ま、そう言うことだから二人とも内密にね」
「仕方ねぇな。手はつけないでおいてやる」
「ホルマジオはやりかねないぞ」
「うるせーぞイルーゾォ!」
「あははっ、イルーゾォだって人のこと言えないからね?」
一回私が買いだめしてたお酒半分くらいヤケ酒で消費したことあるじゃない!というと、うっ、とあからさまに顔を歪ませた。
そんな変な顔もできるのね。
「おっと、そろそろ出るかなぁ〜」
「ん...そんな時間か、行ってらっしゃい!」
目玉焼きを乗せたパンを食べながら、頑張れ〜とホルマジオに手を振った。おぅ、と背中を見せて左手を上げたホルマジオをイルーゾォと一緒に見送った。
「イルーゾォ、これ半分あげる」
「あぁ?」
「2個作ったけど、1個でお腹いっぱいなの」
「最初から1つにしておけば良いだろうが」
「んー、でもイルーゾォもお腹空いてるかなって思ったの。違った?」
「...まぁ、食べる」
「もう、素直じゃないなぁ」
はい、どうぞ!とパンを無理やり口に運んであげると素直に食べるイルーゾォがちょっとだけ可愛いかった。