放課後といえば
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「てめー、なにコソコソしてんだ」
「え!えへへ!?え!」
「えへへじゃあねえ。人の鞄漁りやがって」
「ちちちちがうんですぅ、これは、違います!なにも怪しいことなんてしてない!」
「してないと言われて信じられるほど俺は馬鹿じゃあねえぜ」
ユリカと違ってな。とズバッと言われて心が折れそうな放課後の16時20分。
先生に呼び出しにあったらしく、席を外すことにラッキーと思いながら彼の机の上に放り投げてあった鞄に手作りのクッキーを入れようとしていたのだ。案の定早く……案の定というレベルではない早さ(どうやら腹が立って先生に一発気合を入れて帰って来たらしい…)で帰って来たからタラタラしているうちに私の見るからに怪しすぎる行動を目撃されてしまったのだ。
「その、あの、これ食べて欲しくって……デスネ」
「?…なんだそれ」
「えっと、クッキー作ったの……食べて欲しくってバックに忍ばせておこうかなって、あはは…まままま、まあ、余っちゃったやつなんだけどね」
たじたじで入れかけていたクッキーを彼に差し出すと、不思議そうに、若干驚いているようにも見える顔をしていた。
バレンタインにしちゃあ遅れすぎだな、とユリカの手から取ったクッキーを眺めている。嫌だったらどうしようという不安が少なからずともあるわけで…
「……ごめんっ!いらないなら持って帰るからさぁ」
「あ?誰がいらねえなんて言った。それに、余りにしちゃあしっかり一人分あるように見えるな」
「……余り、うん、余りってのは嘘なんだけど」
承太郎に食べて欲しくて作ったなんて恥ずかしくて言えねえええええ!と心の中で叫び表面上は必死に大人しく振る舞う。
もうすでに怪しげな行動がバレてしまったことの恥ずかしさで頭がパンクしそうだが、ここで変なことを言ったらまた馬鹿にされる。と可愛い女の子ぶるのを頑張るので精一杯。
この気まずい空気はどうしたものかと考えていれば、バック取れ、とだけ言って彼は踵を返した。待って待ってと彼の黒い鞄を抱きかかえて走り寄れば、教室の扉を出る直前に一瞬にして視界に承太郎の顔が映る。
つい数秒前まで背中を向けられていたが、今はよく言う壁ドン的な何か…いや、壁に追い込まれている的な状況とでもいうのだろうか。とりあえず、彼の圧がすごいのだ。
「じょ、承太郎っ?」
「ユリカは誰にでもこういうものあげる女だからな」
「え!?ちがっ、承太郎にしかあげてない……もん…」
「…まあ、お返しにしちゃあ早すぎるが」
自分の帽子を軽く手で押さえ、頰に静かに口づけを落とす。承太郎の綺麗な瞳に映る自分と教室でこんなことをしてしまった恥ずかしさと、目の前の彼の行動があまりに衝撃的な瞬間で固まった体が動かない。目をパチクリして、彼を見つめるのが精一杯なのだ。
「いつまでも固まってるんじゃあねえ」
「はっ、あ!ああ、ごめんなさい……」
「茹でダコに興味はねえぜ。これだけもらって帰る」
「わ!やだ!待ってよ置いていかないでっ」
悪態をつきながらも、私の作ったクッキーを大事に持って帰ってくれた彼にやはり私はゾッコンである。
ほっぺにチュウなんて、可愛すぎやしないか?と考えながら彼と帰宅する放課後の16時35分。こんな些細なことでも、なんでも、彼と過ごす時間は幸せでいっぱいなのだ。
クッキー褒めてくれますようにと彼の大きな後ろ姿にこっそりお願いしたのは言うまでもないだろう。
「え!えへへ!?え!」
「えへへじゃあねえ。人の鞄漁りやがって」
「ちちちちがうんですぅ、これは、違います!なにも怪しいことなんてしてない!」
「してないと言われて信じられるほど俺は馬鹿じゃあねえぜ」
ユリカと違ってな。とズバッと言われて心が折れそうな放課後の16時20分。
先生に呼び出しにあったらしく、席を外すことにラッキーと思いながら彼の机の上に放り投げてあった鞄に手作りのクッキーを入れようとしていたのだ。案の定早く……案の定というレベルではない早さ(どうやら腹が立って先生に一発気合を入れて帰って来たらしい…)で帰って来たからタラタラしているうちに私の見るからに怪しすぎる行動を目撃されてしまったのだ。
「その、あの、これ食べて欲しくって……デスネ」
「?…なんだそれ」
「えっと、クッキー作ったの……食べて欲しくってバックに忍ばせておこうかなって、あはは…まままま、まあ、余っちゃったやつなんだけどね」
たじたじで入れかけていたクッキーを彼に差し出すと、不思議そうに、若干驚いているようにも見える顔をしていた。
バレンタインにしちゃあ遅れすぎだな、とユリカの手から取ったクッキーを眺めている。嫌だったらどうしようという不安が少なからずともあるわけで…
「……ごめんっ!いらないなら持って帰るからさぁ」
「あ?誰がいらねえなんて言った。それに、余りにしちゃあしっかり一人分あるように見えるな」
「……余り、うん、余りってのは嘘なんだけど」
承太郎に食べて欲しくて作ったなんて恥ずかしくて言えねえええええ!と心の中で叫び表面上は必死に大人しく振る舞う。
もうすでに怪しげな行動がバレてしまったことの恥ずかしさで頭がパンクしそうだが、ここで変なことを言ったらまた馬鹿にされる。と可愛い女の子ぶるのを頑張るので精一杯。
この気まずい空気はどうしたものかと考えていれば、バック取れ、とだけ言って彼は踵を返した。待って待ってと彼の黒い鞄を抱きかかえて走り寄れば、教室の扉を出る直前に一瞬にして視界に承太郎の顔が映る。
つい数秒前まで背中を向けられていたが、今はよく言う壁ドン的な何か…いや、壁に追い込まれている的な状況とでもいうのだろうか。とりあえず、彼の圧がすごいのだ。
「じょ、承太郎っ?」
「ユリカは誰にでもこういうものあげる女だからな」
「え!?ちがっ、承太郎にしかあげてない……もん…」
「…まあ、お返しにしちゃあ早すぎるが」
自分の帽子を軽く手で押さえ、頰に静かに口づけを落とす。承太郎の綺麗な瞳に映る自分と教室でこんなことをしてしまった恥ずかしさと、目の前の彼の行動があまりに衝撃的な瞬間で固まった体が動かない。目をパチクリして、彼を見つめるのが精一杯なのだ。
「いつまでも固まってるんじゃあねえ」
「はっ、あ!ああ、ごめんなさい……」
「茹でダコに興味はねえぜ。これだけもらって帰る」
「わ!やだ!待ってよ置いていかないでっ」
悪態をつきながらも、私の作ったクッキーを大事に持って帰ってくれた彼にやはり私はゾッコンである。
ほっぺにチュウなんて、可愛すぎやしないか?と考えながら彼と帰宅する放課後の16時35分。こんな些細なことでも、なんでも、彼と過ごす時間は幸せでいっぱいなのだ。
クッキー褒めてくれますようにと彼の大きな後ろ姿にこっそりお願いしたのは言うまでもないだろう。
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