アナタ、さては確信犯
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「………え?」
「てめー、何ふざけた耳付けてやがる」
「み、みみ、みみみ、しっぽぉおおおおおお!?」
「煩い、ここの壁薄いから隣に聞こえるぞ」
「スタンド攻撃だ、これは絶対スタンド攻撃ィイイッ!」
「んな訳があるか」
AM6:12
外が明るくなり始め、清々しい空気を胸いっぱいに吸い込みたくなる時間帯である。
旅の途中で宿泊していたホテルの201号室からは、ユリカの盛大な悲鳴が響き渡る。どうにもいい朝を迎えることはできなかったらしい。
「ちょっ、え、あ、えと、お、おお、おはよう、承太郎…今日もステキ、です」
「今日もステキです?じゃあねぇだろうが。朝からなんだそのふざけた格好は」
「知らない!スタンド攻撃だあ!ニャ」
「馬鹿かてめえは」
ニャじゃねえよ、と真顔でツッコミを入れてくるあたりに震えが止まらない。
確かに日本美人が好きであろう承太郎さんが、こんな猫ちゃんの格好した私に喜んでくれるはずもない。ガックリ、と俯いて、よく考える。
昨日何かしたっけ、何か食べたっけ。
唯一思い浮かぶのは、ポルナレフにもらった謎のクッキー。確かポルナレフもその辺の屋台のおばちゃんに無理矢理買わされたんだとか言っていたな。
いやぁ、ソレしかないだろ。絶対にソレだろう。
すぐお菓子に食いつく自分にもう一度うな垂れて、とぼりとぼりと承太郎にすがりつく。
「コレ、どうしたら治るかなぁ」
「さあな。俺がそうした訳じゃあねぇ。原因は分かってるんだろう?」
「昨日ね、ポルナレフにもらった変なクッキー5枚くらい食べたの。だから、ポルナレフを倒したら治るんじゃないかなって」
「……あいつか、変なモン餌付けしやがったのは」
「ポルちゃんいっつもお菓子くれるから疑いもしなかったよ」
「兎に角、ポルナレフが作ったものでもねえのに、あいつを倒しても意味ないと思うぜ」
「ああああ、現実見たくないぃ…というか、さり気にしっぽ触らないで、っふふ、あははっ!」
くすぐったいよ!と逃げるようにしながら笑い声をあげると、感覚あるのか?と驚いた承太郎。
そう、自分でも思うのだがなんとも不思議だ。今生えている耳も尻尾も、触られている感覚があるし、自分の意思ではないけど、多分無意識的に動いているのも何となく分かってきた。
ちゃんとくすぐったいんだよ〜というと、そうか…と何かを考えるように頷いた後、フッと少しだけ笑みをこぼした。実に怪しい、一体何を考えているんだろうか。
「ユリカ、」
「ん、?……んっ!やぁ…っちょ、承太郎っ」
ちょこんと生えた耳がかぷりと甘噛みされて、彼がいつも私の耳を舐めるのと同じように水音を立てながら舌で味わうように弄ぶ。勿論このいやらしい音は普段通り身体も心もゾクゾクとさせていくのだ。
なんなら、いつもより耳は敏感かもしれない。
「尻尾までピンとさせて、嬉しくてたまらないみてーだな」
「やだぁ、じょうたろ、っん」
「っ、舌引っ込めんじゃあねえ」
「はぁっ、ぁ」
尻尾をフワフワと触られることすらなんだかこそばゆくて、気持ちよくて堪らない。そこだけじゃあ物足りないの。
上目遣いで承太郎を見上げると、満足そうに笑みを浮かべている。
「てめー、とんだ淫乱だな」
口端から溢れてしまった唾液を舐めとり、もう一度口づけを落とす。
物欲しそうな顔してるなんて言われてコクコクと頷くユリカ。とろけるような視線がいやらしさを感じさせてくる。発情した猫の如くいつもよりやけに素直な彼女には色々と持っていかれちまいそうだ。そんなことを心の中で呟いて、ユリカを抱きあげてベッドに投げるように押し倒した。
「まだ、じじいどもは起きてないだろうからな」
「……承太郎?」
彼の首に腕を回して、引き寄せる。
だがしかし、深いキスを交え、服を脱がせ合おうとしたその時だった。
「承太郎!ユリカ!早く起きないか!ポルナレフから電話がかかってきておるじゃろう!」
まるで雰囲気をぶち壊しにきたような奇跡的なタイミングで、扉の外からジョースターさんの声が聞こえる。
驚きで我に帰り、ユリカと承太郎が目を合わせれば、追い討ちをかけるように
「返事がないのぉ。起こした方がいいかもしれんなぁ、花京院」
「ええ、そうですね」
と聞こえた直後、ガチャガチャとドアノブを回そうとする音が鮮明に聞こえ、ジョースターさんがおーーいと呑気に一声かける。
電話なんていつかかってきたのか知りもしないが、というか全く聞こえていなかったが、本当に扉を開けられたら色々と終わる、と承太郎とベッドから飛び降り、起きてる!起きてるぅううう!!!と叫び返した。
「起きてるならさっさと返事をせんかい!!」
ジョースターさんはポルナレフの部屋だぞーと一言残し、その後二人が去って行く足音が聞こえてくる。ユリカのその時の安堵の顔と言ったらそれはもう、想像がつくだろう。
「焦った……本気で…」
「まあ、来るとは思ってたぜ」
「え?なんで?」
「ユリカが起きる前に、ポルナレフから電話が入ってた」
「え?え?それって何?確信犯??私絶対2日ぐらい寿命減ったんだけども」
本当に入って来たらどうすんだよ!の気持ちを込めてコノヤロ〜と殴りかけたら、思いっきり右乳を揉まれた。どちらかというと握られたに近い勢いだ。
「承太郎さん、おっぱいが、あの」
「ドMなユリカにはこんなんじゃあ物足りないだろうが、続きは戻ってからだ」
「ほ?続き?」
「あ?てめぇは言わなきゃわからねーのか?」
盛大にため息をつかれて、右乳にあった手が離れていく。やっと離れたかと思ったのも束の間、その手が私の顎に当てられ、承太郎の方を嫌という程見つめさせられる。そんな綺麗な顔で見つめられたら……やばい、尻尾が揺れて来た。
「抱くのはお預けってことだな」
行くぞと学ランを羽織って部屋を出て行こうとする彼の言葉にキュンとした自分は変態なのかもしれないが、ぶっちゃけ楽しみでしょうがないから許してほしい。
「あ、承太郎待って!置いていかないで!」
着崩れた服を急いで直して、耳に手を当てて頭が痛い風にして承太郎の後を追いかけた。尻尾は諦めた。キーホルダーとでも言っておこう。
後々、ポルナレフの部屋に行ったら「イギーがぁ!!イギーが俺の枕にクソしやがった!!クソォオオオオェエエエエ!!」と嘆いていたので、ユリカ含むその他三人は静かにポルナレフの部屋の扉を閉めた。
もちろんその後しっかり承太郎とはイチャイチャしましたとさ。
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