好きになった方が負けだった
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「てめぇ……ふざけんな!やりやがったな!!!」
「うるさい!!こちとら5回目だぞ!仗助の遅刻魔!!!!」
ある日の日曜日。
今日は久しぶりのデート、と言いたいところだが、始まる前から久しぶりのデートだというのに、仗助ったらまたもや遅刻。毎度理由はお決まりで「途中でゲームをやめられないから」だそうだ。
確かに毎朝学校行く前にもしているらしいけど、だからと言ってデートの日まで同じ理由で遅刻なんて、言わんこっちゃない。
そんな私は、我慢を抑えきれずその綺麗な綺麗なリーゼントに一発ぺちんと平手打ちをかましてやったのだ。一応気持ち優しめに。
仗助がリーゼントに命かけているのはよく分かっているが、だからこそだ。
だからこそ一発その整った髪型を乱してやりたくなったのだ。
「4回目まではまだなんとか抑えたけど、5回目だよ!?ご、か、い、め!!!どうやったら学ぶんだよこのバカ仗助!!!!」
「人のリーゼント崩しておいてバカだと!?バカって言った奴がバカって言葉知らねえのか!!!アホユリカ!!!!」
「元はと言えば仗助が遅刻したのが悪い。もう嫌い。悪びれる様子もないし…」
「だってよぉ、野球は9回まであるんだぜ?」
「知らないよそんなこと!私はいつも仗助とのデート楽しみにしてルンルンで来てるのに、仗助は私なんかよりゲームばっかりで……」
ゲームしたいなら、デートの約束なんてはなからしなくて済むもん。
そんなこと言ったらなんだか悲しくなってきて、虚しくなってきて、自分で言った言葉が全部自分に返ってきているように感じてしまう。自分で言えば言うほど、仗助は私のことなんてどうでもいいのかな、なんて。
「ユリカ……おい、おまっ!」
「じょ、じょーすけの、ばかぁあああっ!!」
泣いてない、泣いてないぞ。
絶対泣いてないんだから。でも一応泣いた時用に走ってるだけなんだから!!!
そう心の中で叫んだと同時に、自分の体はどんどんアンジェロ岩から離れて行く。
そうは言っても、自分より身長も高くて運動も出来る仗助には当然の如く勝てるはずはなく、易々と追いつかれてしまった。
何となくそうなる気はしていたけど。
「何泣いてんだよてめぇは」
「泣いてないってば!何で追いかけてきたの!」
「いや、なんつーか……女泣かせるのは俺の趣味じゃねえっつーか」
ユリカがそんなこと思ってたなんて知らなかった。
そう言って、掴んだ腕を引き寄せてぎゅっと抱きしめた。住宅街だけど、まだあまり人は歩いていないらしい。こんな状況、人に見られたらあまりにも恥ずかしいから一安心だ。
少しだけ視線を上げれば、仗助も恥ずかしいのかいつにも増して顔が赤い気がする。
そんなことよりも一安心したら今度はまた違う涙がポロポロと出てきて、情緒不安定にもほどがあるなぁなんて思いながらも、思いっきり仗助の胸元で涙を
このくらいは許してよね、ジョウスケクン。
「…わりぃな。ユリカを泣かせる気は無かったんだ。今度からお前ん家迎えに行くから」
「ほ、ほんと…?」
「そうでもしないとまたリーゼント崩されちまうだろーが」
「…もう。全く乙女心がわかんないヤツね、仗助ってば」
「文句あんのかぁ?あんまし生意気言うと迎えに行かねーぜ、ユリカチャン?」
「だめ!!!…大人しく迎えにきなさい」
「そんな顔もできんのかよ」
「いつもこの顔なんだけど?」
「ツンデレですって顔してるぜ?ムカつくけど可愛いじゃん」
「ううううう、うっ、うるさい!!」
抱きしめられた腕からするりと抜け出してそっぽを向いたら、素知らぬ顔をして手を繋いできた仗助が、アイス食いにいこーぜと手を引く。
はあまったく、こんなヤツを好きになった私が一番バカだったよ。
「私今日ダブルでお願いしまーーす!」
「あ!?てめぇ奢らせる気か!?」
「はいはい、何も聞こえないよ〜だ」
次の日の朝、アンジェロ岩の前で抱き合っていたユリカと仗助の事が、B組中で急上昇ランキングを上回るほどの話題になったのは言うまでもない。
プラス、特に億泰に関しては全然こっちの言い訳というか言い逃れるための言葉を聞いてくれないので、ご想像の通り仗助が一発かましているのを見て笑っていた私でした。
チャンチャン
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