ある雪の日
「ったくよー、だーれがこんなに雪降らせって言ったよー」
時刻は10時頃、遅めの起床をした庭師のたけちゃは突然降った大雪に庭の雪かきを命じられていた。庭師と言えどやっていることはガーデニング程度、冬の時期は特に仕事もないとマ○オカー○に精を出していたのだが、唐突の大雪。仕方なく冬用の暖かいコートと毛糸の帽子、手袋に長靴を引っ張り出し庭に出ると、そこには先客がいた。
「丸みを…もっとこう…!滑らかな丸みをぉおお!」
「待って、外交官、体でかくね!?頭もっと大きくしなきゃやんー。中くらいの大量生産でよくね?」
丸みをと呟きながらもダイナミックに雪の大玉を転がす外交官にコロコロと小さな雪玉を転がす司祭、その周りに小~中くらいの3体ほどの雪だるま。それが庭に出た庭師の目に飛び込んできた光景だった。
「司祭何言ってるんですか!今から数ある雪だるまの中でもトップに出没…?君臨…?降臨…?するレベルのダイナミミックな雪だるま的雪だるまを…!」
「ダイナミミックってなんだよ。でかいミミックとかやだわ」
「ダイナミミック…あぁ…それは…」
「なーに馬鹿なことやってんの」
ザクッと音とともに庭師は外交官の作り上げた雪だるま(下半身)にスコップを突き刺した。ダイナミミックに夢中になっていた外交官は庭師の攻撃に対応出来ずぱっくりと割れてしまった雪だるま(下半身)を見て固まってしまった。
「あ"ぁぁぁ!外交官の作った大して丸くない雪だるまの下半身が!」
司祭も突然の出来事に驚きながら外交官の方へと駆け寄る。
その隙に放置された司祭の作っていた雪だるま(頭部)に目を向けた庭師はその小さな頭もスコップで容赦なく砕いた。
『あーーーー!!』
庭には二人のなんとも切ない悲鳴が響き渡る。
「庭師鬼かよ!」
砕かれた雪だるまの残骸を手に司祭は庭師に振り返りながら叫ぶ。しかしその瞬間しゃがみこんでいる司祭と外交官の目の前にはドサドサっと2本のプラスチックのスコップが落とされた。外交官はきょとんとした顔で、司祭は何かを察したのか苦い顔をして庭師を見上げる。
「遊んでる暇あんなら雪かき手伝えー?こちとらこの広い庭1人で雪かきしろって言われて激萎えしてんだよ」
「まじかぁ…私スコップよりママさんダンプがいい」
司祭は目の前に落とされたプラスチック製のスコップを見て、それから庭師の待つママさんダンプを恨めしそうに見上げながら言う。
「文句言わずにいーから働け」
容赦のない庭師の一言に
『はーい…』
と声を揃え司祭と外交官は諦めたように返事をした。
それから暫く、司祭と外交官は意外と真面目なのか騒ぐ声も聞こえず命じられた区画を雪かきしているようだった。あの二人のことだからどうせ途中からぎゃーぎゃー騒ぎ出すだろうと思っていた庭師は、あら意外と拍子抜けした様子で自分の仕事に集中し始めた。
それからまた暫く、庭師は雪かきにひと段落がつき、ふぅと息をこぼしたとき、違和感を感じた。最初は静かにもくもくとやっているのだろうと思っていたが流石にこれは静かすぎるのだ。ふたりの人間が仕事をしているのにこれほどまでに会話なく作業を進めることがあるだろうか、いや、ない。
不信に思った庭師は2人に命じた範囲を見に行くことにした。
ぎゅっぎゅと雪を踏みしめながらゆっくりと2人を探して建物の角を曲がる。するとそこには…
「…ぃぇぁ…」
「…せぃ…」
「…すぃ…」
「…ぃぇぁ…」
口から空気が漏れる程度の微かな音で意味のわからない、会話と呼べるのかも分からないような謎の会話で意思疎通をしながら、司祭と外交官が雪だるまを作っていた。その数15体は確実にある。庭の一角になかなかの大きさの雪だるまが15体以上。もはやホラーだ。
庭師は空を仰ぎ見た。こいつらが真面目に働いてると思い込んでいた自分が馬鹿だったと、そして一言、呆れと怒気を孕んだ声で呟いた。
「お前ら雪だるまにしてやろうか」
時刻は10時頃、遅めの起床をした庭師のたけちゃは突然降った大雪に庭の雪かきを命じられていた。庭師と言えどやっていることはガーデニング程度、冬の時期は特に仕事もないとマ○オカー○に精を出していたのだが、唐突の大雪。仕方なく冬用の暖かいコートと毛糸の帽子、手袋に長靴を引っ張り出し庭に出ると、そこには先客がいた。
「丸みを…もっとこう…!滑らかな丸みをぉおお!」
「待って、外交官、体でかくね!?頭もっと大きくしなきゃやんー。中くらいの大量生産でよくね?」
丸みをと呟きながらもダイナミックに雪の大玉を転がす外交官にコロコロと小さな雪玉を転がす司祭、その周りに小~中くらいの3体ほどの雪だるま。それが庭に出た庭師の目に飛び込んできた光景だった。
「司祭何言ってるんですか!今から数ある雪だるまの中でもトップに出没…?君臨…?降臨…?するレベルのダイナミミックな雪だるま的雪だるまを…!」
「ダイナミミックってなんだよ。でかいミミックとかやだわ」
「ダイナミミック…あぁ…それは…」
「なーに馬鹿なことやってんの」
ザクッと音とともに庭師は外交官の作り上げた雪だるま(下半身)にスコップを突き刺した。ダイナミミックに夢中になっていた外交官は庭師の攻撃に対応出来ずぱっくりと割れてしまった雪だるま(下半身)を見て固まってしまった。
「あ"ぁぁぁ!外交官の作った大して丸くない雪だるまの下半身が!」
司祭も突然の出来事に驚きながら外交官の方へと駆け寄る。
その隙に放置された司祭の作っていた雪だるま(頭部)に目を向けた庭師はその小さな頭もスコップで容赦なく砕いた。
『あーーーー!!』
庭には二人のなんとも切ない悲鳴が響き渡る。
「庭師鬼かよ!」
砕かれた雪だるまの残骸を手に司祭は庭師に振り返りながら叫ぶ。しかしその瞬間しゃがみこんでいる司祭と外交官の目の前にはドサドサっと2本のプラスチックのスコップが落とされた。外交官はきょとんとした顔で、司祭は何かを察したのか苦い顔をして庭師を見上げる。
「遊んでる暇あんなら雪かき手伝えー?こちとらこの広い庭1人で雪かきしろって言われて激萎えしてんだよ」
「まじかぁ…私スコップよりママさんダンプがいい」
司祭は目の前に落とされたプラスチック製のスコップを見て、それから庭師の待つママさんダンプを恨めしそうに見上げながら言う。
「文句言わずにいーから働け」
容赦のない庭師の一言に
『はーい…』
と声を揃え司祭と外交官は諦めたように返事をした。
それから暫く、司祭と外交官は意外と真面目なのか騒ぐ声も聞こえず命じられた区画を雪かきしているようだった。あの二人のことだからどうせ途中からぎゃーぎゃー騒ぎ出すだろうと思っていた庭師は、あら意外と拍子抜けした様子で自分の仕事に集中し始めた。
それからまた暫く、庭師は雪かきにひと段落がつき、ふぅと息をこぼしたとき、違和感を感じた。最初は静かにもくもくとやっているのだろうと思っていたが流石にこれは静かすぎるのだ。ふたりの人間が仕事をしているのにこれほどまでに会話なく作業を進めることがあるだろうか、いや、ない。
不信に思った庭師は2人に命じた範囲を見に行くことにした。
ぎゅっぎゅと雪を踏みしめながらゆっくりと2人を探して建物の角を曲がる。するとそこには…
「…ぃぇぁ…」
「…せぃ…」
「…すぃ…」
「…ぃぇぁ…」
口から空気が漏れる程度の微かな音で意味のわからない、会話と呼べるのかも分からないような謎の会話で意思疎通をしながら、司祭と外交官が雪だるまを作っていた。その数15体は確実にある。庭の一角になかなかの大きさの雪だるまが15体以上。もはやホラーだ。
庭師は空を仰ぎ見た。こいつらが真面目に働いてると思い込んでいた自分が馬鹿だったと、そして一言、呆れと怒気を孕んだ声で呟いた。
「お前ら雪だるまにしてやろうか」