潮干狩り
「・・・なんだこれ。」
時刻は早朝、ナイトメアたちの世話のために早起きした堀田は城の案内板のところにデカデカと貼られた『潮干狩りのお知らせ』というプリントを訝しげな顔で眺めていた。
そのA4サイズのプリントには潮干狩りに行こう!アサリ食べ放題!シジミもあるよ!などといった謳い文句と日時、そしてそれらの周りを彩る様々な可愛らしいイラストで飾ってあった。
「…なんで突然潮干狩り?てかここ海あるん?てか、は!?3日後!?」
「どーしたんすか堀田さん」
堀田がお知らせを見ながら1人で声を荒らげていると、同じく早起きしていたらしいコックがいつの間にか近くに来ていた。
「うわ、びびった。コックおはよ。」
「おはよーございます。てか朝から大声出してどうしたんすか」
コックはまだ完全には起きていないと言った様子でどこかぼーっとしており、テンションの低い声でそう尋ねる。
「あぁ、これよ。潮干狩り?行くんやって。コックなんか聞いてる?」
「潮干狩りぃ?聞いてないっすよ。」
先程の寝起きの声とは打って変わってコックの声も驚きに軽く上擦る。
「しかも3日後」
「急だなぁおい。冥王そんなにアサリ食いたいんすかね」
2人とも別に潮干狩りに行きたくないわけではないのだが、突然のお知らせに戸惑い、どうしても不服そうな会話になってしまう。そのまま2人でどこに行くのだだの、やったことあるか?だの話をしていると庭師が通りかかった。
「あ、庭師おはよーございます」
先に気づいたコックが声をかけると庭師も
「おー、おはよー」
と返す。庭師の格好を見るとジョウロを片手に、服に軽く土が付いていたため、本当に珍しく土いじりに言っていたのだろう。珍しいなコックと堀田は思っていた。しかしそんなことより潮干狩りである。
「てか庭師これ見ました?」
「これって何よ」
コックがお知らせを指さしながら尋ねると何よとは言いながらも庭師は見に来てくれる。
「潮干狩り行くんですって、3日後。潮干狩りとか滅多に行かねぇしどうせならもっと暑くなってから海の方が行きたくありません?」
コックが少しうんざりした声で笑いながら話す。その最中も庭師はささっとお知らせに目を通すと、
「3日後ねー、おけ。バケツとか庭の倉庫にあるやつ出しといてやるかー」
と言い、じゃ、飯食ってくると言い残すとさっさっと行ってしまった。
取り残された2人は庭師の適応能力の高さに思わず
『すげぇな』
と声をはもらせたのだった。
その直後
「2人ともおはよー!何見てるの?」
と元気な声が響いてくる。2人が声の方向へ顔を向けると乳母がこちらへ歩いてくるところだった。
コックと堀田もおはようございますーと返したあと堀田が説明を始めた。
「なんか潮干狩りやるらしいんすよ。乳母なんか聞いてます?」
「えぇー!初知りなんだけど!潮干狩り?めっちゃ楽しそう!」
乳母のそのノリの良いリアクションに戸惑い自分たちの方が少数派なのだろうかと2人は考え始めていた。
「潮干狩りってことはー…水着いるかな?いらないかな?でも潮干狩りするなら夏も海水浴とか行くかもだよね!急いで新しいの買いに行かなきゃ!」
そう嬉しそうに話す乳母の姿に2人は、ほぅ…と考え直す。
「…水着…その線があったか。」
ぽつりとコックがそう呟く。
するとその発言を逃さなかった乳母が嬉々とした顔を向ける。
「そうだよ水着だよ!あたしお城の女の子達にも水着買いに行こ!って声かけるから!」
そう親指を立てて告げる乳母にコックは
「ナイスです…!」
と同じく親指を立てて返す。
じゃあ行ってくるね!と去っていく乳母を見送りながら2人は、
「潮干狩り楽しみだな」
「潮干狩り楽しみやなぁ」
と再び声をはもらせるのだった。
時刻は早朝、ナイトメアたちの世話のために早起きした堀田は城の案内板のところにデカデカと貼られた『潮干狩りのお知らせ』というプリントを訝しげな顔で眺めていた。
そのA4サイズのプリントには潮干狩りに行こう!アサリ食べ放題!シジミもあるよ!などといった謳い文句と日時、そしてそれらの周りを彩る様々な可愛らしいイラストで飾ってあった。
「…なんで突然潮干狩り?てかここ海あるん?てか、は!?3日後!?」
「どーしたんすか堀田さん」
堀田がお知らせを見ながら1人で声を荒らげていると、同じく早起きしていたらしいコックがいつの間にか近くに来ていた。
「うわ、びびった。コックおはよ。」
「おはよーございます。てか朝から大声出してどうしたんすか」
コックはまだ完全には起きていないと言った様子でどこかぼーっとしており、テンションの低い声でそう尋ねる。
「あぁ、これよ。潮干狩り?行くんやって。コックなんか聞いてる?」
「潮干狩りぃ?聞いてないっすよ。」
先程の寝起きの声とは打って変わってコックの声も驚きに軽く上擦る。
「しかも3日後」
「急だなぁおい。冥王そんなにアサリ食いたいんすかね」
2人とも別に潮干狩りに行きたくないわけではないのだが、突然のお知らせに戸惑い、どうしても不服そうな会話になってしまう。そのまま2人でどこに行くのだだの、やったことあるか?だの話をしていると庭師が通りかかった。
「あ、庭師おはよーございます」
先に気づいたコックが声をかけると庭師も
「おー、おはよー」
と返す。庭師の格好を見るとジョウロを片手に、服に軽く土が付いていたため、本当に珍しく土いじりに言っていたのだろう。珍しいなコックと堀田は思っていた。しかしそんなことより潮干狩りである。
「てか庭師これ見ました?」
「これって何よ」
コックがお知らせを指さしながら尋ねると何よとは言いながらも庭師は見に来てくれる。
「潮干狩り行くんですって、3日後。潮干狩りとか滅多に行かねぇしどうせならもっと暑くなってから海の方が行きたくありません?」
コックが少しうんざりした声で笑いながら話す。その最中も庭師はささっとお知らせに目を通すと、
「3日後ねー、おけ。バケツとか庭の倉庫にあるやつ出しといてやるかー」
と言い、じゃ、飯食ってくると言い残すとさっさっと行ってしまった。
取り残された2人は庭師の適応能力の高さに思わず
『すげぇな』
と声をはもらせたのだった。
その直後
「2人ともおはよー!何見てるの?」
と元気な声が響いてくる。2人が声の方向へ顔を向けると乳母がこちらへ歩いてくるところだった。
コックと堀田もおはようございますーと返したあと堀田が説明を始めた。
「なんか潮干狩りやるらしいんすよ。乳母なんか聞いてます?」
「えぇー!初知りなんだけど!潮干狩り?めっちゃ楽しそう!」
乳母のそのノリの良いリアクションに戸惑い自分たちの方が少数派なのだろうかと2人は考え始めていた。
「潮干狩りってことはー…水着いるかな?いらないかな?でも潮干狩りするなら夏も海水浴とか行くかもだよね!急いで新しいの買いに行かなきゃ!」
そう嬉しそうに話す乳母の姿に2人は、ほぅ…と考え直す。
「…水着…その線があったか。」
ぽつりとコックがそう呟く。
するとその発言を逃さなかった乳母が嬉々とした顔を向ける。
「そうだよ水着だよ!あたしお城の女の子達にも水着買いに行こ!って声かけるから!」
そう親指を立てて告げる乳母にコックは
「ナイスです…!」
と同じく親指を立てて返す。
じゃあ行ってくるね!と去っていく乳母を見送りながら2人は、
「潮干狩り楽しみだな」
「潮干狩り楽しみやなぁ」
と再び声をはもらせるのだった。
1/1ページ