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コロシアム

「バーバ」
コロシアムの時間も残りわずかとなった頃、帝王からナイトメアのバーバリアンを使う指示が飛んだ。
バーバリアンは劣勢時ほど力を発揮するナイトメアであるため、負けている時、最後にひっくり返すために使われることが多かった。

番犬は指示を聞いた瞬間少し慌てはしたもののなんとかすぐに召喚準備を整えられたことに安堵した。
そして、改めて戦況を見渡してみる。ところどころ味方もデバフの青が見えるが、火力の高い前衛のトップ組にはしっかりと攻撃バフが付いているため一安心だと思った。
しかしそれもつかの間

「物攻足りてないよー!」

前方で客員剣士が容赦なく叫んでいるのが聞こえた。
「…前は最大火力詰んでもっと出てた」

そう不満そうに漏らす彼の言葉に後衛からは
「剣士がお怒りだぞー!」
「もっとバフたけー!」
「楽器が足んねぇぞー!」等と声が上がる。

「やばい!客員剣士怒ってる!」
番犬のそう発言する声も心なしか明るいものとなっていた。
客員剣士にバフを存分にかけられるという点で戦況に余裕が出てきている証拠だ。そしてバーバリアンも発動しそれぞれが使う武器の効果も上がる。

「よっしゃー!僕のこの楽器で剣士の火力を最大に…!」
番犬の手元にレア度が高く効果の高い自慢の武器が回ってきたことで、番犬はそう高らかに宣言し楽器を鳴らそうとした。その瞬間

「ほらよ、剣士物攻最大にしてやったよ」
「庭師ぃぃぃぃぃ!」

番犬より少し先に楽器を奏でていた庭師により、剣士の物攻は最大に。そして1歩遅れた番犬の楽器の効果は無効を示すNoeffectの表示へと変わってしまった。

「庭師ないすぅー」
剣士がそう言い庭師と剣士の2人は親指を立てグッと合図をしあっていた。

「僕の…僕の楽器の効果がぁぁ!庭師許すまじ」
次武器を呼び出しながら番犬は恨みのこもった目で庭師を睨みつけるが
「どうせまたすぐ下げられるんだから…次は頼んだぞ」
と庭師から言われてしまえば
「…!わかった!僕に任せときなさい!」
と目を輝かせコロシアムへ集中したようだった。
そして前衛と集中し始めた番犬の知らぬところで
「…尻尾ぶんぶん振ってる犬が見えるわ」
と庭師がぽつりと呟き後衛が数人吹き出したのだった。
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