コロシアム
戦いも中盤に差し掛かろうとした頃だった。突如コロシアム会場にリンゴーンと不釣合いな鐘の音が響き渡る。
「神魔!琴槌弓!」
その音を聞いた瞬間メイドは声を張り上げる。この音は神魔召喚の機会が来ることを伝える鐘である。しかし鐘だけでなく空気の変化から誰もが神魔の気配を感じることが出来た。
神魔とは事前に決められている武器を決められた数使うことで召喚出来る異形の者の事だった。それらには全て流星の厄災や、雷公の厄災などと、名前がついており、どれも厄災と呼ばれていた。そして、その姿は人によっては醜く恐ろしいとも、綺麗だともとれる姿をしていた。
この神魔は召喚することが出来たギルドへ大きな恩恵をもたらしてくれるのだ。だからこそモブ王国では主にメイドや外交官が神魔に備えるための声掛けを行い、出来るだけ神魔が取れるようにしていたのだ。
「よっしゃー!弓バッチリ貯めてあるぜぃ!」
司祭は気配を感じながら得意の弓を構え今か今かとうずうずしているようだった。
「俺も溜まってるよ」
帝王もそう周りに伝える。このように神魔召喚に向けて準備万端の者もいれば、
「俺今日琴ほとんど入ってないからよろしくねー」
と杖を振りながらコックが後ろから声を飛ばしたり
「やっば、槌今あんまり無い!」
と客員剣士が攻撃のペースを早め、慌てた様子で準備を進めていたりと得意分野もそれぞれであった。
「神魔来ました!」
外交官の掛け声と共に相手のギルドとの神魔召喚を競う戦いが始まる。
執事は貯めてあった武器を使おうとするが、相手も神魔召喚のために必死に武器を振る。そのためどうしても自身が倒れることの方が多くなってしまっていた。
1人に集中して相手をしていると、横から勢いよく振られた槌に気付かず直撃してしまう。
吹き飛び倒れ込む自分の体と暗転してゆく意識、その瞬間体を緑色の光が包み意識が急浮上する。まるで何も無かったかのように無くなる痛みに、体を起こし立ち上がるとその瞬間、次は矢が左足を貫く。痛みに再び意識を失いそうになるがまたもヒールが飛んできて無理やり繋ぎ止めることととなった。
「くっ…これじゃあ満足に武器も触れないじゃないですか…!」
悪態をつきながら武器を構え向かってくる相手を睨みつける。何とか槌を相手に叩きつけることに成功しそのまま後ろへ飛び距離をとる。デバフも多くかかっているため、上手く力も入らない、目がかすみ、吐き気すら覚える。槌も相手には当たったものの倒すほどの力は出せず再び武器を構えこちらへ向かってくるのが見えた。
(あぁ…キツい…そろそろ勘弁して欲しい)
そんなことを考えながら来るであろう衝撃に備えようとした時、ぞくりと背筋に凍るような嫌な気配を感じ思わず空を仰ぐ。それは相手も同じようで殴りかかろうとしていた手を止め空を見つめていた。
空にじわりと亀裂が走る。その先は漆黒。光すら届かないであろうその闇から厄災は現れた。自分たちのギルドの方へ出ているところから、召喚には勝ったのだと確信するが、その厄災の放つ禍々しいオーラは敵であろうと味方であろうと、目をそらす事が出来ず釘付けになってしまう。しかしその光景に畏怖を抱きながら、そんな厄災を味方につけることが出来、執事はほっと胸を撫で下ろすのだった。
「さっきまでぼこぼこにされた分やり返してやりますからね…」
神魔により強化された琴により、執事に掛かっていたデバフは次々にバフへと塗り変わっていった。それに伴い目のかすみや吐き気も消えてゆく。幾分か具合の良くなった自身の体を確かめるように手を軽くぐーぱーぐーぱーした後よし!と執事は気合いたっぷりの声を上げるのだった。
「神魔!琴槌弓!」
その音を聞いた瞬間メイドは声を張り上げる。この音は神魔召喚の機会が来ることを伝える鐘である。しかし鐘だけでなく空気の変化から誰もが神魔の気配を感じることが出来た。
神魔とは事前に決められている武器を決められた数使うことで召喚出来る異形の者の事だった。それらには全て流星の厄災や、雷公の厄災などと、名前がついており、どれも厄災と呼ばれていた。そして、その姿は人によっては醜く恐ろしいとも、綺麗だともとれる姿をしていた。
この神魔は召喚することが出来たギルドへ大きな恩恵をもたらしてくれるのだ。だからこそモブ王国では主にメイドや外交官が神魔に備えるための声掛けを行い、出来るだけ神魔が取れるようにしていたのだ。
「よっしゃー!弓バッチリ貯めてあるぜぃ!」
司祭は気配を感じながら得意の弓を構え今か今かとうずうずしているようだった。
「俺も溜まってるよ」
帝王もそう周りに伝える。このように神魔召喚に向けて準備万端の者もいれば、
「俺今日琴ほとんど入ってないからよろしくねー」
と杖を振りながらコックが後ろから声を飛ばしたり
「やっば、槌今あんまり無い!」
と客員剣士が攻撃のペースを早め、慌てた様子で準備を進めていたりと得意分野もそれぞれであった。
「神魔来ました!」
外交官の掛け声と共に相手のギルドとの神魔召喚を競う戦いが始まる。
執事は貯めてあった武器を使おうとするが、相手も神魔召喚のために必死に武器を振る。そのためどうしても自身が倒れることの方が多くなってしまっていた。
1人に集中して相手をしていると、横から勢いよく振られた槌に気付かず直撃してしまう。
吹き飛び倒れ込む自分の体と暗転してゆく意識、その瞬間体を緑色の光が包み意識が急浮上する。まるで何も無かったかのように無くなる痛みに、体を起こし立ち上がるとその瞬間、次は矢が左足を貫く。痛みに再び意識を失いそうになるがまたもヒールが飛んできて無理やり繋ぎ止めることととなった。
「くっ…これじゃあ満足に武器も触れないじゃないですか…!」
悪態をつきながら武器を構え向かってくる相手を睨みつける。何とか槌を相手に叩きつけることに成功しそのまま後ろへ飛び距離をとる。デバフも多くかかっているため、上手く力も入らない、目がかすみ、吐き気すら覚える。槌も相手には当たったものの倒すほどの力は出せず再び武器を構えこちらへ向かってくるのが見えた。
(あぁ…キツい…そろそろ勘弁して欲しい)
そんなことを考えながら来るであろう衝撃に備えようとした時、ぞくりと背筋に凍るような嫌な気配を感じ思わず空を仰ぐ。それは相手も同じようで殴りかかろうとしていた手を止め空を見つめていた。
空にじわりと亀裂が走る。その先は漆黒。光すら届かないであろうその闇から厄災は現れた。自分たちのギルドの方へ出ているところから、召喚には勝ったのだと確信するが、その厄災の放つ禍々しいオーラは敵であろうと味方であろうと、目をそらす事が出来ず釘付けになってしまう。しかしその光景に畏怖を抱きながら、そんな厄災を味方につけることが出来、執事はほっと胸を撫で下ろすのだった。
「さっきまでぼこぼこにされた分やり返してやりますからね…」
神魔により強化された琴により、執事に掛かっていたデバフは次々にバフへと塗り変わっていった。それに伴い目のかすみや吐き気も消えてゆく。幾分か具合の良くなった自身の体を確かめるように手を軽くぐーぱーぐーぱーした後よし!と執事は気合いたっぷりの声を上げるのだった。