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黙示録

「あれー!司祭と帝王の名前変わってるし、いきなり強くなったね!?教皇と冥王?」
その日のコロシアムの時、名前と強さを表す数値が変わっている2人に番犬は驚きの声をあげた。
周りの数人もその声にどうした?やあ、ほんとだ。などとリアクションは番犬を除いてあっさりとしたものだった。

「強くなったから階級も上がったのよー」
何でもないように話す司祭、もとい教皇に番犬はおかしいよ!と声を張り上げる。
「司祭そんな急に数値跳ね上がらないでしょ!何したの!?」
詰め寄ってくる番犬に教皇はやれやれと諦めたように
「あー、ここだけの内緒ね?冥王からつよーい武器何本か譲ってもらったのよねー」
と小声で口の前に人差し指を立て、しーっとジェスチャーをしながら告げる。
「そんなことできるの!?聞いたことないよ!」
納得がいかないと、話を聞き出そうとする番犬に対し、まぁまぁあんま気にすんなってと教皇は適当にはぐらかし始め、そうこうしているうちにコロシアムが始まってしまいこの話は有耶無耶になったのだった。
冥王の方も多くは語らず、結局ギルドの面子の中では何があったかは知らないけどなか司祭が教皇になり、帝王が冥王になった。そして2人ともやたらと強くなっていた。というなんとも適当な形で落ち着いたのだった。
強いギルドのメンバーが増えればコロシアムに勝ちやすくなることから、この事に大きく不満の声をあげる者も出ることは無かった。



「えーっと、モブ王国の情報の…あ、これか」
人気のない書庫にて、教皇は言われた通りに資料の場所移動を行いに来ていた。
「あ、ちゃんと今回のことも記録されてるや」
一応中を確認した教皇は、帝王と同じシリアル番号の教皇がいること、過去所属していたにこるとほてぷと同じシリアル番号を持つ冥王が戻って来たこと、司祭が脱退したことを示す表記を軽く指で撫で、パタリと本を閉じた。
その瞬間

「…ゆるさない…」

微かに、そう告げるよく知った自分の声を聞いた気がした。
「あー…許さなくっていいよ。私も好きにしたから、好きにしていいよ」
と寂しそうに笑いながら、誰もいない書庫で誰かに語りかけるようにそう呟いたのだった。
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