黙示録
「え?こっち戻ってくるんですか?はぁ、まぁ私は問題ないですけど」
モブ帝国城内の人気のない一角にて、司祭は端末を使い誰かと会話をしているようだった。
「あー、でもちょっと面倒じゃないですか?はぁ、あー、うん、いや私の仕事増えてるじゃないですか。あーごめんなさいごめんなさい、いやね、うん。ん?そっち提案でしたよね!?」
司祭も常日頃テンションが高いわけではないそう分かっていても端末越しに誰かと話その姿は少し気味の悪さを感じるものだった。
電話越しの相手ともう暫く話したあと、話が終わったのか司祭はふぅ、と一息つくとそのまま帝王の部屋へと向かって行った。
コンコンコン
帝王の部屋にノックの音が響く。
どうぞーという声を聞いてから律儀にも失礼しまーすと声をかけ司祭は部屋の中へと入っていく。
「えらい急な決定っすねー」
部屋に入るなり、司祭はそう口を開く。
「んー、まぁ俺も考えたんだけどね。やっぱ戻した方がいいかなって。司祭が良ければだけど」
「私は別に構わんのですけどね、逆にいいんすか?」
両者はっきりとした物言いをあえてなのかせず、淡々と譲り合いのような会話が発生する。
「まぁ俺的にも戻したいなーって思ったから」
「じゃあありがたく貰いましょうかねー。いやぁなんか申し訳ないっすね」
そう言いながら司祭は端末を取り出し淡々と操作を始める。
それを見た帝王はふと顔を上げ声をかける。
「あ、司祭はどうするの?」
「あー、消そうと思ってますけど」
大したことでもないと言うような司祭の発言、ここに第3者がいたのなら「自らを消そうと思っている」という発言に待ったをかけたところだろうが、ここにはそんな人物はいなかった。
「ふーん…俺貰っていい?」
「はぁ!?またっすか?我ながらなかなかに問題だらけだと思いますけど…」
「いや、まぁどうするとか明確な目的があるわけじゃないけど一応?」
「まぁいいですけど…」
そんな会話をしながら司祭は手元の端末でさらに何かを打ち込むような動作を行う。
それをつまらなそうに眺めながら帝王は
「まぁ、なんか所詮はデータって思い知らされるよねー」
とポツリとつぶやく。
「はぁ…まぁ、そうっすね。とりあえずこっちは準備出来ましたけど」
あくまで相槌を打つ司祭の姿は無感情であった。そして帝王に視線を向ける。
「俺も準備出来てるよー。お好きなタイミングで?」
そう帝王に促されると司祭はコクリと頷き再び端末を操作する。すると司祭の姿はノイズがかったようにその姿を乱れされ、粒子の様になりバラバラと崩れていき、忽然とその姿を空間の中に消し去ってしまった。
帝王はその様子を見届けると自らの体を深く椅子に預け、ゆっくりと目を閉じた。
「結構、思い入れもあったんだけどね」
そう呟くと、帝王の姿もまたノイズの様に乱れ始める。しかし今度は消えることなく別の姿へ移り変わってゆく。ノイズの乱れがすべて消えた頃、そこに居たのは先程消えたはずの司祭の姿だった。
「…」
司祭は暫く手をグーパーと動かしてみたり、自分の姿をくるりと一周回り見てみたりした後
「ただいま」
と呟いたのだった。
モブ帝国城内の人気のない一角にて、司祭は端末を使い誰かと会話をしているようだった。
「あー、でもちょっと面倒じゃないですか?はぁ、あー、うん、いや私の仕事増えてるじゃないですか。あーごめんなさいごめんなさい、いやね、うん。ん?そっち提案でしたよね!?」
司祭も常日頃テンションが高いわけではないそう分かっていても端末越しに誰かと話その姿は少し気味の悪さを感じるものだった。
電話越しの相手ともう暫く話したあと、話が終わったのか司祭はふぅ、と一息つくとそのまま帝王の部屋へと向かって行った。
コンコンコン
帝王の部屋にノックの音が響く。
どうぞーという声を聞いてから律儀にも失礼しまーすと声をかけ司祭は部屋の中へと入っていく。
「えらい急な決定っすねー」
部屋に入るなり、司祭はそう口を開く。
「んー、まぁ俺も考えたんだけどね。やっぱ戻した方がいいかなって。司祭が良ければだけど」
「私は別に構わんのですけどね、逆にいいんすか?」
両者はっきりとした物言いをあえてなのかせず、淡々と譲り合いのような会話が発生する。
「まぁ俺的にも戻したいなーって思ったから」
「じゃあありがたく貰いましょうかねー。いやぁなんか申し訳ないっすね」
そう言いながら司祭は端末を取り出し淡々と操作を始める。
それを見た帝王はふと顔を上げ声をかける。
「あ、司祭はどうするの?」
「あー、消そうと思ってますけど」
大したことでもないと言うような司祭の発言、ここに第3者がいたのなら「自らを消そうと思っている」という発言に待ったをかけたところだろうが、ここにはそんな人物はいなかった。
「ふーん…俺貰っていい?」
「はぁ!?またっすか?我ながらなかなかに問題だらけだと思いますけど…」
「いや、まぁどうするとか明確な目的があるわけじゃないけど一応?」
「まぁいいですけど…」
そんな会話をしながら司祭は手元の端末でさらに何かを打ち込むような動作を行う。
それをつまらなそうに眺めながら帝王は
「まぁ、なんか所詮はデータって思い知らされるよねー」
とポツリとつぶやく。
「はぁ…まぁ、そうっすね。とりあえずこっちは準備出来ましたけど」
あくまで相槌を打つ司祭の姿は無感情であった。そして帝王に視線を向ける。
「俺も準備出来てるよー。お好きなタイミングで?」
そう帝王に促されると司祭はコクリと頷き再び端末を操作する。すると司祭の姿はノイズがかったようにその姿を乱れされ、粒子の様になりバラバラと崩れていき、忽然とその姿を空間の中に消し去ってしまった。
帝王はその様子を見届けると自らの体を深く椅子に預け、ゆっくりと目を閉じた。
「結構、思い入れもあったんだけどね」
そう呟くと、帝王の姿もまたノイズの様に乱れ始める。しかし今度は消えることなく別の姿へ移り変わってゆく。ノイズの乱れがすべて消えた頃、そこに居たのは先程消えたはずの司祭の姿だった。
「…」
司祭は暫く手をグーパーと動かしてみたり、自分の姿をくるりと一周回り見てみたりした後
「ただいま」
と呟いたのだった。