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黙示録

「わぁ!なにこれ?モブ王国の記録って書いてあるって事は、え!もしかしてモブ帝国ができたばかりの頃の記録?」

城の乳母であるまめは、上皇と共に城内の書庫にて資料整理を行っていた。

「どれー?あ、ほんとだ。こんなのあったんだ。俺も初めて見たんだけどあの球体関節人形とかが用意したのかな?ほんとに出来てすぐの頃のやつだと思うよ?」
脚立に上り、上の方の整理をしていた上皇が上から覗き込み、驚きと興味の入り交じった表情を浮かべる。
「ねぇ!見てみていい?」
興味津々といった表情で乳母が言うと
「じゃあ整理休憩しようか、俺もそれ見てみたいな」
と上皇もその資料が気になったようで2人で机まで移動してその中身を見ることになった。

古く埃がかってはいたが、資料自体は量は多くはなかった。
「最初の頃の人の出入りの記録かなこれは…へぇ、最初は名前今みたいな感じじゃなかったんだね!」
乳母が見る先にはギルドの人の出入りが記録されていた。名前とシリアル番号のようなもの、そして強さを表す数値などと共にむくと、凍水晶、たけちゃ、といったように今のように役職名がついていない名前が記されていた。
「この頃はコロシアムも無かったからなぁ。同じギルドでも出来ることが少なくて活発じゃなかったから」
上皇は遠い昔を思い出すように語りながらページを進めていく。
「この頃は上皇がギルドマスターだったんだねー。あ、ここらへん人の出入りがあるね?」
乳母が上皇のページを進める手を止め、にこるとほてぷや、ルフといった名前がギルドから抜けたことを表す表記に目を止める。
「あーこの時期ね、モブ王国1回ほぼ機能しなくなってたんだよね。みんながコロシアムとか積極的に参加してなくてさ、恥ずかしながら活気が出てきたのは乳母とかが来た頃からだよ」
少し照れくさそうに上皇は話を続ける。
「他のギルドに行ってた人達が帰ってきてくれてさ、ギルドマスターも帝王に渡して、ずっと国にはいたけど活動やめてた人達も頑張り始めて今があるって感じかな?」
乳母は初めてこの国の歴史のようなものを聞き、意外と紆余曲折あってここまで来たのねと、少し感慨深くなるものがあった。

「そうだったんだぁ〜あ、そうそう、一つ気になってたんだけど聞いていい?」
そう言いながらペラペラとページを遡る乳母に上皇はひとつ頷き発言を促した。
「司祭って私とかと同じ時期にギルドに入ってたよね?出戻り勢なのかなーって話聞いてたんだけど、このページの初めの方の「ひよ」のシリアル番号みたいなのと「ひよ司祭」のシリアル番号が違うんだよね。あとこの「にこるとほてぷ」?って多分今の帝王だと思うんだけど帝王の番号も変わってるのよね。出戻りって番号も変わるの?」

不思議そうに話す乳母の指さす手元を見ると確かに番号が違うことが確認できた。
「ん?ほんとだ、数字が違う。でも拷問官とか何度か出入りしてるみたいだけど番号一切変わってないよ?」
上皇もページをパラパラと捲り何か他に変わった点はないかと確かめていく。
「あれ?」
乳母がなにかに気づき声をあげた時だった。

ドサッ!バサバサー!ガタンッ!ゴッ!

何かが崩れ、倒れ、ぶつかる音が乳母と上皇が資料を見ていた机から少し離れた位置から聞こえてきた。
少し遅れて
「…いった」
と不機嫌そうな帝王の声が聞こえてきた。

「なになにー?どうしたの!?」
と真っ先に椅子から立ち上がり声の方へ駆けつけたのは乳母だった。
乳母が様子を見に行くと倒れた椅子と床に散らばる本たち、その脇に帝王が立っていた。
「本棚に戻そうとしたらうっかり椅子から落ちちゃって」
そう恥ずかしそうに笑いながら帝王は落ちた本を拾い集めていく。
「えぇー!大丈夫?怪我とかないの?」
心配そうに聞く乳母に対し、あ、怪我は大丈夫と帝王は怪我がないことを証明するかのように手を軽くひらひらとしその場でぴょんぴょんと跳ねて見せた。
上皇もすぐにやってきて、3人で本を戻し終えると、そろそろ晩御飯にでもという時間になっていたため、3人でご飯へ行くことにした。

食事を終え、自室に帰ってきた頃だった。
「あ、上皇に伝えるの忘れてたなー」
乳母は自らが気づいた不審な点について話すのを忘れていたことを思い出した。
「「ひよ」の番号と帝王の番号が一緒だったの。偶然だったのかなー?」
ま、いっか!特に深い意味はないのだろうと乳母は詮索するのをやめ、眠りについたのだった。
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