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ある雪の日

「今のうちの戦力がこんな感じで今日当たる相手はと…拷問官からの報告はまだ上がってないな。あぁ…そうだ堀田さんから渡された資料も確認しとかないと…」

城の中のひときわ豪華な部屋にて、帝王であるニコルとは執務に勤しんでいた。
数値がたくさん書き出された紙を机いっぱいに並べ、腕を組み、眉をひそめ、時折何かを書込みながら頭を悩ませる様子はこの帝国の中で珍しく真面目に仕事をしているうちの1人に入るだろう。

そんな帝王もふと手を止め、大きく伸びをしたあと休憩することに決めたのか椅子から立ち上がり窓へと近づいた。
寒さから雪が降ったであろうことは予想していたが、想像よりも積もっていそうな様子に窓を開けた。
そして窓の下に広がる大量の雪だるまやナイトメア、遊んでいる人達を見つけ、
「…」
何かを考えたあと、よしと小さく呟き、満足そうな笑みを浮かべ帝王は部屋から出ていった。

「ウガルー!…お前は暖かそうでいいなぁ」
庭に出てきた帝王は放牧されているナイトメアの中から自分のウガルルムを見つけ、名前を呼ぶ。ウガルルムも素直に帝王のそばへ駆けてきてその脇へと体を寝そべらせた。
庭の様子は寒さからか数人はもう室内へ帰っており、庭にはナイトメア達とフリーズゴーレムに吹き飛ばされ、今なおフリーズゴーレムに上に乗られている外交官だけが残っていた。フリーズゴーレムの重さに外交官は今にも気を失いそうな様子に見えるが、フリーズゴーレムはお構い無しのようだった。これが懐いているがゆえの行動だから恐ろしい。


そんな外交官を尻目に帝王はざっと庭を見渡す。雪だるまが30体ほど、そして数匹の雪うさぎ。
「多少なら可愛いけどここまで多いとちょっと気持ち悪いよなぁ。なんか、有効活用出来ねぇかな…」
庭を埋め尽くすほどの雪だるまに帝王は少し引き気味の声を出す。
そして一体の雪だるまに近づくと、その顔面にグーパンをお見舞した。雪だるまは頭部が砕かれ落下し、丸い胴体だけが残された。
「…痛てぇしつめてぇ。殴って訓練に使えないかと思ったけど却下かなぁ」
無惨な姿になった雪だるまを見下ろしながら帝王は悩んでいるようだった。
そしてキョロキョロと何かいい案はないかと視線を巡らせていた帝王の目が横に寝そべるウガルルムの足元へと向けられる。そこにはウガルルム自身の炎で雪が溶け、小さな池が出来ていた。
「あ、そうか、その手があったわ」
帝王はそう呟くと城の武器庫へと姿を消したのだった。
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