運命の歯車
美琴は、ふと夜中に目を覚ました。
その瞬間、不思議な感覚が全身を包み込む。
まるで身体が、宙に浮かび上がるような感覚。
次第に、周囲の景色が歪み始めた。
暗闇の中にぼんやりと見えていた自分の部屋の家具が、ひとつ、またひとつと消えていく。
代わりに、美琴の周囲を、淡い光のようなものが帯び始めた。
「……?」
そして――耳元で、声が響いた。
『美琴――天に守られし者よ』
「……誰?」
身体を動かそうとするが、金縛りに遭ったように指一本動かせない。
声だけは、かろうじて出るようだった。
戸惑う美琴をよそに、声は静かに語りかけてくる。
『美琴。選ばれし者よ。お前には、使命がある』
「……使命?」
『お前は、やがて苦難の道へと進むだろう』
「……苦難の、道?」
『それを乗り越えられるかどうか――それは、お前次第だ』
「…………」
『乗り越えた先に待つものは、希望とは限らぬ。
むしろ、絶望である可能性の方が高い』
「え……!?」
『それでも、お前は受け入れる覚悟があるか?』
「そんなこと……今は……」
『今は分からずとも構わぬ。だが、その時は必ず訪れる』
「……必ず?」
『そうだ。それまで、よく考えるがよい』
その言葉を最後に――
ふっと、身体が軽くなった。
同時に、歪んでいた景色が元に戻り、
見慣れた自分の部屋が、はっきりと視界に戻ってくる。
「……今のは、いったい……何だったの……?」
その瞬間。
空間の一部が揺らぎ、〝闇〟が姿を現した。
「美琴! 大丈夫か!」
「え……?」
「今、〝あがらう者〟の気配を感じたが……」
「よ、よく分からないけど……大丈夫だったよ?」
「……そうか。
だが、なぜ〝鍵〟を使わない」
「え……? だって、寝てたし……」
「……〝人間〟は、これだから」
小さくため息をつき、〝闇〟は視線を逸らす。
「まあいい。今回は無事だったようだ」
「えっと……君は〝人間〟じゃないの?」
「……そんなこと、どうでもいいだろ」
「…………」
「また、奴らは現れるだろう。
仕方ない……バリアーを張っておく」
「ありがとう。
……君って、本当は優しいんだね」
美琴は、にこにこと微笑みながらそう言った。
「ばっ……馬鹿なこと言ってんじゃねぇ!」
「そうかな? 優しいと思うけど」
「お、お前があまりにもどんくさいから、
仕方なくしてやっただけだ!」
「うん。私を守ってくれてるんだもんね」
「っ……/// ふ、ふん! じゃあな!」
〝闇〟はそう言い捨てると、
再び夜の中へと消えていった。
その瞬間、不思議な感覚が全身を包み込む。
まるで身体が、宙に浮かび上がるような感覚。
次第に、周囲の景色が歪み始めた。
暗闇の中にぼんやりと見えていた自分の部屋の家具が、ひとつ、またひとつと消えていく。
代わりに、美琴の周囲を、淡い光のようなものが帯び始めた。
「……?」
そして――耳元で、声が響いた。
『美琴――天に守られし者よ』
「……誰?」
身体を動かそうとするが、金縛りに遭ったように指一本動かせない。
声だけは、かろうじて出るようだった。
戸惑う美琴をよそに、声は静かに語りかけてくる。
『美琴。選ばれし者よ。お前には、使命がある』
「……使命?」
『お前は、やがて苦難の道へと進むだろう』
「……苦難の、道?」
『それを乗り越えられるかどうか――それは、お前次第だ』
「…………」
『乗り越えた先に待つものは、希望とは限らぬ。
むしろ、絶望である可能性の方が高い』
「え……!?」
『それでも、お前は受け入れる覚悟があるか?』
「そんなこと……今は……」
『今は分からずとも構わぬ。だが、その時は必ず訪れる』
「……必ず?」
『そうだ。それまで、よく考えるがよい』
その言葉を最後に――
ふっと、身体が軽くなった。
同時に、歪んでいた景色が元に戻り、
見慣れた自分の部屋が、はっきりと視界に戻ってくる。
「……今のは、いったい……何だったの……?」
その瞬間。
空間の一部が揺らぎ、〝闇〟が姿を現した。
「美琴! 大丈夫か!」
「え……?」
「今、〝あがらう者〟の気配を感じたが……」
「よ、よく分からないけど……大丈夫だったよ?」
「……そうか。
だが、なぜ〝鍵〟を使わない」
「え……? だって、寝てたし……」
「……〝人間〟は、これだから」
小さくため息をつき、〝闇〟は視線を逸らす。
「まあいい。今回は無事だったようだ」
「えっと……君は〝人間〟じゃないの?」
「……そんなこと、どうでもいいだろ」
「…………」
「また、奴らは現れるだろう。
仕方ない……バリアーを張っておく」
「ありがとう。
……君って、本当は優しいんだね」
美琴は、にこにこと微笑みながらそう言った。
「ばっ……馬鹿なこと言ってんじゃねぇ!」
「そうかな? 優しいと思うけど」
「お、お前があまりにもどんくさいから、
仕方なくしてやっただけだ!」
「うん。私を守ってくれてるんだもんね」
「っ……/// ふ、ふん! じゃあな!」
〝闇〟はそう言い捨てると、
再び夜の中へと消えていった。