フォリーシスカルライナー

二人は町の中を抜け、

城のある方角へと向かった。

城門の前には、

灰色の羽を持つ門番が立っている。

兵士に多い色だと、事前に聞いていた。

エルナは一歩前に出て、用件を告げる。

「通行と、滞在許可を得るために来ました」

門番は頷き、もう一人の兵士に目配せすると、

報告のため城の奥へと向かわせた。

残された門番の前で待つ間、

エルナは周囲を見回す。

その時――

城のすぐ隣に、大きな施設のような建物があることに気づいた。

石造りで、城とは用途の異なる雰囲気を持つ建物。

「……あの建物は、何ですか?」

思わず、近くに残っていた門番に尋ねてしまう。

「あれは――」

門番は特に警戒した様子もなく、答えた。

「デクサルザを研究する施設――『ライザス』です」

「……!」

「け、研究!?」

二人が驚くのも無理はなかった。

デクサルザを研究する施設は、

このイオードリにしか存在しない。

しかも、その存在は

ホシリア族以外には公にされていない情報だった。

だが、この若い兵士は、その事実を知らなかったのだろう。

自分の言葉に、

二人が明らかに動揺したのを見て、

門番は急に顔色を変えた。

「……あ、いや……

い、今のは……」

まるで、取り返しのつかないことをしてしまったかのように、

激しく狼狽している。

そこへ――報告に行っていた兵士が戻ってきた。

事情を聞くや否や、

その表情が一変する。

「何だと!?なぜ、そのことを話した!」

怒鳴り声に、

若い兵士は肩をすくめた。

兵士はすぐに二人へ向き直り、

「この件は、国王様に報告せねばならぬ。

少し待て!」

そう言い放つと、

再び城の奥へと消えていった。

残された二人は、顔を見合わせる。

――どうする?

――まずいことになったかもしれない。

そう思った、その時だった。

城の中から、

低く短い声が響く。

「……ついてこい」

指示に従い、

二人は城の中へと足を踏み入れた。


---

通されたのは、控えの間だった。

「ここで待て」

それだけ言い残し、

兵士は奥の部屋へと姿を消す。

しばらくの沈黙の後、

再び呼ばれ、二人は王の間へと通された。

そこにいたのは、

現国王――ディーリカ。

噂に違わぬ、七色の羽を持つ王。

凛とした佇まいと、

重々しい空気に、

エルナとトリークは自然と言葉を失った。

「……そなたたちか」

王は静かに口を開く。

「我らの重要な秘密を知ったというのは」

その視線が、二人を交互に射抜く。

「よりによって……

一番厄介な、ヒュマンド族か」

低く呟かれた言葉に、

二人は思わず顔を見合わせた。

「無用な争いは、避けたいところなのだが……」

その物騒な言い回しに、

トリークは思わず一歩前に出る。

「他言は致しません!」

思わず声を荒げてしまった。

王は、その様子をじっと見つめ、

「その言葉が信用できたとしても、

何らかの措置は取らねばなるまい」

そう告げる。

二人は、再び押し黙った。

しばしの沈黙の後、王は一言、命じる。

「……アルファッドはおるか?」
8/31ページ
スキ