フォリーシスカルライナー

声をかけられた小人は、

ビクッと体を震わせると、

草むらの奥へ身を隠した。

けれど―― 完全に逃げたわけではない。

葉の隙間から、 こちらの様子を伺っている。

「大丈夫。……大丈夫だから」

ラディはゆっくりしゃがみ込み、

できるだけ柔らかい声でそう言った。

「ラディ!」 エルナの声が、鋭く飛ぶ。

小さな声だったが、

そこにははっきりとした制止があった。

「大丈夫だよ……多分。 ミルも警戒してないし」

「……デクサルザ、いる。

お前ら、恐れない。 何故…敵か?」

「敵じゃ無いよ 安心して

あたいらは迷っちゃったんだ それに…」

そこで、目線をミルファングに向け

「この子はあたいの味方だよ」

「味方…? 嘘、騙す! デクサルザ、怖い!」

「怖くないよ。 …ほら」

ラディはミルファングを、そっと抱っこした

ミルは小さく「グミャ」と鳴き、

ラディの腕の中で静かに丸くなる。

「…」 小人は、物陰からほんの少し顔を覗かせ

「…デクサルザ、噛まない? 本当?」

「うん。 この子はミル 。

あたいの家族なの 。

絶対に噛まないよ」

ラディはミルの背を撫でながら答えた

小人は、ミルファングから視線を逸らさず

「ミル…デクサルザ、違う?」

「デクサルザだけど……違うんだよ。

……うまく言えないけど、ミルは怖くないの」

それを聞いて、 小人は――ほんの少しだけ、

恐る恐る前に出てきた。

ラディは、ミルを抱いたまま、 そっと微笑む。

「ほら……触ってみても大丈夫だよ」

「…」
ポルトの裾から、小さく震える手が伸び、

そっとミルファングに触れた。

ミルは嫌がらず、

そのまま小さく鳴いた。

「ね? 大丈夫でしょ?」

「…大丈夫。 ミル、良い子」
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