フォリーシスカルライナー

これから四人が向かうアリスカロンド地方へ至るには、

コルナー山脈とオッテガ山脈のあいだに広がる

『迷いの森』を抜けなければならなかった。

『迷いの森』は、もともとは ただの広大な森だったという。

しかしフォリーシスの後、

地場や道は歪み、 方角や距離を正しく認識できなくなった。

その結果、名の通り、 一度足を踏み入れれば方向感覚を失い、

容易には抜け出せない―― そんな森と化したのだ。

「うわー。鬱蒼とした森だねー」

ラディは興奮が収まらず 走って先に行ってしまった

「ラディ! 先に行ったら危な…」

エルナがそこまで言いかけた、その時だった。

木々の隙間から、低く唸るような音が響く。

姿を現したのは、ダクステムと呼ばれるデクサルザ。

「……っ!」

ラディは足を止め、反射的に扇を構える。

「ミル、来るよ!」

「ギギッ!」 呼びかけに応えるように、

軽く鳴き声をあげながら ラディの足元から、

トゲだらけの小さな影が跳ね出し

そのままダクステムの足元を駆け回り、

鋭いトゲをかすめるように突き立てた。

突然の撹乱に、 ダクステムの体勢が大きく崩れる。

「よし!今!!」 ラディは声を張り上げ、

一歩踏み込み 「や! は!!」

声とともに身を翻し、 舞うような動きで扇を振るった。
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