同姓同名

飛行機で成田に降り立った4人は、

心なしか安堵していた。

だが、来た事はあるとは言え、やはり東京は都会だ。

彼らは、チェックインを早々と済ませ、

東京見物へと繰り出す。

「東京と言えば、やっぱり銀座よね~」

と言う、飛鳥と美津代の希望で、4人は銀座の町を歩く。

もちろん、お小遣いもいくらか持ってきているので、4人は東京でのお土産を買う。

適当に買ったそれらを、航が1つにまとめ、持って歩く。

「で、ホテルはどっちだっけ」

「確かこっちだ。」

美津代の質問に答えるように、航は残りの3人を誘導する。

だが、行けども行けども、ホテルは見当たらない。

それでもしばらく歩いた。

そうしてようやく迷った事に気づき、学がつぶやく

「もしかして・・・・俺ら迷った?」

その言葉に対し、美津代は

「はっ!?マジで言ってんの? 航がこっちだって言ったんじゃん!!」

と、不満の声を上げるし、皆を誘導した当の本人である航は

「あれ?違ったか? 貰った地図によればこっちで合ってるはずなんだけど・・・・」

と、情けない声を上げている。

「航、ちょっとその地図見せて。」

航は飛鳥に言われるがまま、地図を渡す。

「ちょっと航!何処見てるのよ!! この地図逆さまじゃない!!」

「え!? マジで? そしたら今どこ?」

「この地図で見る限り、位置はこの辺!進んでる方向は逆よ! まったくもう!!」

他の3人が、飛鳥が指を刺した位置を見る。

なるほど、4人が泊まるホテルと、まったくの逆方向だ。

「なんだよ、航~。頼りになんねえな~。」

「ねえ、私もうこれ以上歩けないんだけど・・・・。」

「あたしも~。もうへとへと。」

3人に呆れられ、航はかなり落ち込んだ。

だが、落ち込んでいる場合ではない。

何とかして、信頼を取り返さなければ。(違うだろ

そんなテンパっている航の目に、喫茶店が目に入った。

「あっ、喫茶店があるぞ! ここで休もう。な?」

一杯一杯な航の提案で、4人はその喫茶店でしばらく休む事にした。

「いらっしゃいませ~」

店内に入ると、直ぐに店員がやってきた。

「4名様ですか?」

「はい、そうです。」

「4名様ご案内しま~す。」

店は繁盛してるようで、そこそこ席が埋まっている。

「ご注文は?」

「あたし、チョコレートパフェ!」

「私は、ホットケーキが良いな~」

「あっ、俺も!」

「俺は、ショートケーキとカフェオレ」

「かしこまりました」

そういって、店員は下がっていった。

しばらくして、注文した品が届き、

彼らはそれぞれ頼んだ物を食べた。

そしてしばらく休み、今度こそは間違えないように、

店員に方向を聞き、出発する事にした。

「航! 今度は間違えないようにしてね?」

「ああ、大丈夫だ。現在地も聞いたし、間違えないよ。」

「本当かよ? なんだか信用出来ね~な~」

そんなこんなで4人は出発する事となった。
2/12ページ
スキ