同姓同名

先ほどいた案内所にほど近い所に

女性と一緒にいるもう1人の荒井 航を見つけた

「すみません、先ほどの方ですよね?」

「あ・・・あなた達は」

さっきの騒ぎの後で動揺している様だが

航達をみて少し笑顔を見せた

近くに喫茶店があるのを見つけ

6人はそこに移動することにした

相手が珈琲を飲み、落ち着いた所で

「先ほどは取り乱したところを・・・」

「いえ、俺らも騒いだりしたのですみません」

と、お互いに先ほどの事を話題に上げ

そこから話を始めた

自分と同じ名前を持つ人物が目の前にいる

2人はその共通の気持ちを持っていた

「えっと、君が〝荒井 航〟君だったかな?」

興味を持った目で相手が自分を見つめてそう言った

「はい、そうです 貴方に会うために俺らは沖縄から来ました」

自分も相手と同じ位の興味を持った目で見返す

「そうか、沖縄から・・・あ、こいつは俺の恋人です」

突然思い出したように、先ほどから隣にいた女性を紹介した

「〝こいつ〟ってなによ 私は片霧 梓(かたきり あずさ) 宜しくね」

女性が自分で自己紹介したので

3人もそれぞれ自己紹介し、話を元に戻した

「それでこの後はどうするんだい?」

「あ、はい 能取岬に行こうかと思ってます」

「そうか・・・じゃあ同じ名前を持つ者として少し案内するよ」

「あ、有難うございます」

そうして、6人は喫茶店を後にした

駐車場に停めてあった車はワンボックスカーで6人が余裕で乗れた

車に乗り込み、能取岬を目指す

「そう言えば君たちは何歳なんだい? 高校生位に見えるけど」

運転士ながら、そう聞いてきたので4人を代表して航が答えた

「はい、高校を卒業したばかりで、卒業旅行で来たんです」

「なるほどね 俺らと4~5歳しか違わないのに若く感じちゃうな」

「何よそのおじさん発言」

和気藹々とした車内の雰囲気のおかげもあって

能取岬までの道のりが短く感じた
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