同姓同名

受付に4人で行き

航が声をかけようとすると

もう1人訪れる人がいた

2人で同時に受付嬢に声をかける

「「すみません荒井ですけど」」

声がハモりビックリした2人は

お互いに顔を見合わせた

「え! うそ!!」

「もしかして」

「同姓同名の人?」

3人は指を刺しつつそう言った。

受付嬢も驚き2人の顔を見比べながら

戸惑ってる

同じ名前の人物が2人も来るとは

さすがに考えなかったらしい

しばらくの間

6人の時間が止まった

あまりにもビックリして

唖然としてしまっているから仕方ないが

3人が大きい声を出した為

周りに人が集まり始めた

同姓同名の人物が

お互いに顔を合わせている現場など

そうそうあるものではない

もの珍しい反応を見せるのは当然だ

ビックリしていた6人も

徐々に出来る人垣と

沈黙に耐えられなくなり

まずは受付嬢が2人の航に声をかけた

「こほん、え~市内からお越しの荒井 航様ですか?」

「あ、はい 僕がそうですが」

と、もう1人の航が答えた

「お忘れ物の財布が届いております」

「あ、ありがとうございます。 ちょっと困ってたんです」

やり取りの後、財布を受け取り

もう1人の航は

逃げるようにその場を後にした

4人もまだまだ出来る人垣を何とか抜け出し

改めてもう1人の航に会う事にした

そのまま立ち去るのも後味が悪いので

軽く会釈しながら人ごみを掻き分け

もう1人の航を追いかけた
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