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1話目 紫陽花と渡り鳥
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そんな日々の中で、吉報が訪れた。可不可の手術が成功した。父からの知らせに私と楓は泣いた。涙はとどまることを知らず、ぼろぼろとせきを切ったように流れ出す。頭痛がするほど泣いた後、私たちは早く寝た。朝一番に可不可と会いたかった。手術、きっと怖かったよね。もう、独りにはしないから。
病室に入ると、点滴につながれた可不可が横になっていた。開け放たれたカーテンの間から、朝日が差し込む。
私たちは可不可の横で目覚めを待つことにした。そして、運命の瞬間は訪れた。可不可は瞼をうっすら開け、眩しそうに私たちを見た。
「おはよう、可不可」
よかった、生きてた。信じてよかったんだ。
点滴につながれた可不可の腕を見る。腕は細くて、病的に白かった。こんな身体で、過酷な手術を乗り越えたんだ。そう思うと、涙がまた滲んだ。
「友だちになろう、可不可」
泣き疲れて声を出すのも精いっぱいだったけど、たしかに声は届いたみたいだった。
「もちろんだよ、椛ちゃん、楓ちゃん」
やっと、心が通じ合えた。そう思うと、視界は晴れて、これまで過ごしてきた世界以上に、鮮やかな風景が見えた。不思議だった。今まで訪れたどの絶景よりも美しかった。心を震わせる景色は、日常に潜んでいたのだ。きっと、これからどんなことがあろうと、私はこの瞬間を忘れないだろう。
「たしか、まだ入院生活は続けるんだよね。私たちはまた海外に発つけど、お土産たくさん買って帰るね。だから、絶対に忘れちゃだめだよ」
「忘れるわけないよ。どんだけ一緒に釣りしたと思っているの」
たしかに。お兄ちゃんと私がぷっと噴き出すと、疲れた顔をした可不可がわずかに笑みを浮かべた。
「ちゃんと、部屋を片付けておいてね。俺たち、これからめちゃくちゃたくさんお土産買うから。覚悟して欲しい」
軽口を叩いたお兄ちゃんは妙に調子が良い。ちょっと気が抜けたのかもしれない。
「当たり前でしょ。キミよりは部屋綺麗だから」
たしかに、部屋には塵一つ無い。執事の朔次郎さんが掃除しているのだろうか。
「まだ見てないでしょ! ひどいなあ」
「そうだよ、可不可。意外とお兄ちゃんの部屋は綺麗なんだから」
「椛もひどくない?」
あははと三人で声を上げると、笑い声が思ったより大きくなってしまった。まずい、怒られるかも。同じ事を他の二人も思ったのか、すっと同時に静かになる。でも、なんだかそれも面白くて。
三人揃って、声を殺して笑い合った。
病室に入ると、点滴につながれた可不可が横になっていた。開け放たれたカーテンの間から、朝日が差し込む。
私たちは可不可の横で目覚めを待つことにした。そして、運命の瞬間は訪れた。可不可は瞼をうっすら開け、眩しそうに私たちを見た。
「おはよう、可不可」
よかった、生きてた。信じてよかったんだ。
点滴につながれた可不可の腕を見る。腕は細くて、病的に白かった。こんな身体で、過酷な手術を乗り越えたんだ。そう思うと、涙がまた滲んだ。
「友だちになろう、可不可」
泣き疲れて声を出すのも精いっぱいだったけど、たしかに声は届いたみたいだった。
「もちろんだよ、椛ちゃん、楓ちゃん」
やっと、心が通じ合えた。そう思うと、視界は晴れて、これまで過ごしてきた世界以上に、鮮やかな風景が見えた。不思議だった。今まで訪れたどの絶景よりも美しかった。心を震わせる景色は、日常に潜んでいたのだ。きっと、これからどんなことがあろうと、私はこの瞬間を忘れないだろう。
「たしか、まだ入院生活は続けるんだよね。私たちはまた海外に発つけど、お土産たくさん買って帰るね。だから、絶対に忘れちゃだめだよ」
「忘れるわけないよ。どんだけ一緒に釣りしたと思っているの」
たしかに。お兄ちゃんと私がぷっと噴き出すと、疲れた顔をした可不可がわずかに笑みを浮かべた。
「ちゃんと、部屋を片付けておいてね。俺たち、これからめちゃくちゃたくさんお土産買うから。覚悟して欲しい」
軽口を叩いたお兄ちゃんは妙に調子が良い。ちょっと気が抜けたのかもしれない。
「当たり前でしょ。キミよりは部屋綺麗だから」
たしかに、部屋には塵一つ無い。執事の朔次郎さんが掃除しているのだろうか。
「まだ見てないでしょ! ひどいなあ」
「そうだよ、可不可。意外とお兄ちゃんの部屋は綺麗なんだから」
「椛もひどくない?」
あははと三人で声を上げると、笑い声が思ったより大きくなってしまった。まずい、怒られるかも。同じ事を他の二人も思ったのか、すっと同時に静かになる。でも、なんだかそれも面白くて。
三人揃って、声を殺して笑い合った。